子育てでイライラしない人があえて実践する感情コントロール術とは?

2020.07.01公開 2020.07.02更新

子育てにイライラする人しない人の違い

近藤
子育て中にイライラする人、しない人の違いってどんなところにあるでしょうか?

子育てにイライラする人、しない人の違いは、その人の怒りの許容範囲など性格的な特徴だけでなく、以下の違いがあるといわれています。

 

周囲からの様々なサポートがあるか

「夫と家事育児を分担して行っているか」

「困ったときに頼れる人が近くいるか」

などといった周囲からのサポートの有無が子育てへの感情に大きく影響しています。

 

また、

・母親自身の1人で家事育児を囲い込んでしまいやすい傾向(今村・鈴木、2019)

 

・周囲とのつながりがあっても浅い付き合いである(宮本、2018)

といったことも、育児へのネガティブな気持ちにつながると言われています。

 

つまり、実際のサポートがあるかということに加え、母親自身がそのサポートをどのようにとらえているか、ということもポイントなのかもしれません。

 

子育てをどうとらえているか

仕事をしている人もしていない人も、子育てに生きがいを感じていると答えた人のほうが子育てのネガティブな気持ちは低いようです。

 

また、子育てに限らず、「生きがいは模索中である」と答えた人ほど育児へのネガティブな気持ちが強いという研究があります(宮元、2017)。

「子育てが自分の人生の中で、どのような意味を持つものなのか」

ということを、子育てでの役割に圧倒されることなく、考えてみることも大切なことなのかもしれませんね。

 

イライラを解消するためには?

近藤
子育て中にイライラしそうな境遇に遭っても、イライラせず感情をコントロールするにはどうしたらいいでしょうか?

 

イライラしそう!に気づく

イライラは段階があります。

 

はじめは「ちょっとイラっとする」からどんどん気持ちが強くなり、最終的には「あーもう!」と、気持ちが抑えられなくなるまで…。

 

そのため、気持ちが爆発する前に自分の感情に気が付くことが大切です。

 

イライラしてきたら、「今、自分の怒りは何パーセントかな?」と目を向け、怒り100%になる前に

・その場から離れる

・誰かに話す

・深呼吸をする

・水を飲む…

など様々な対処行動をすることで気持ちが爆発してしまうことを防ぎましょう。

 

自分のイライラ癖を知る

人は同じ出来事に遭遇しても、とらえ方や考え方によって反応は変わってきます。

 

自分はどんな場面でどのような出来事で怒りやすいのか、その背景にはどんな考えがあるのか、ということを事前に知っておくことが大切です。

 

例えば、「いつも家を出る前にぐずられ、イライラしてしまう」のであれば、

「いつもより10分早く家を出る準備をする」

「少しくらい予定通りいかなくても大丈夫と考えてみる」

などイライラを爆発させないために視点を変えたり、別の方法を考えておいたりすることも大切です。

 

それでもイライラしてしまったときは?

近藤
それでもイライラしてしまったら、どう鎮めたらいいでしょうか?

怒りをコントロールしよう!と思うと、我慢しないといけない!と思ってしまいがちです。

 

怒りでカッとなっている最中は脳の一部が興奮状態にあり、理性的に考えることが難しくなっています。

 

そのため、実際に怒りやイライラをコントロールすることは難しいのです。

 

ただ、怒りとの付き合い方をかえるだけで、怒りが小さくなったり、気持ちがおさまりやすくなります。

 

そのための心構えのポイントとして、以下3つほどご紹介します。

 

切り替える、やり過ごす

脳の興奮による衝動的な行動を防ぐために、3〜5秒が必要だといわれています。

 

数を数えたり、水を飲んだり、別の部屋に移動したり、少しの時間をやり過ごしましょう。

 

イライラを認めてみる

「怒り」は悪いことではなく、「嫌なことが起きている!」「不快だ!」」というサインでもあります。

 

そんなイライラの気持ちをあえて「大切な気持ち」と思うことも大切です。

 

「怒る」よりも「叱る」を

「怒る」は、相手に感情的に怒りをぶつけることです。

 

一方で、「叱る」は相手に教育的な考えを伝えることです。

 

怒りの目的が相手のことを思っているか、自分の気持ちのためなのか、という大きな違いを頭にいれておくことで、どんな形で相手に怒りを表現すればよいか考えやすくなるのではないでしょうか。

 

さいごに

今回は、実体験や心理学的な視点から、ママさん臨床心理士に、子育てでのイライラを減らしていく方法などについて解説していただきました。

 

怒りやイライラは「止めたい」と思えば思うほど、かえって意識してしまい、イライラが溜まる一方…となってしまいます。

 

子育てでイライラしないように見える人でも、全くイライラしないわけではなく、イライラが生じても上手く気をそらしてみたり、あえてイライラを前向きにとらえたりして、イライラをコントロールできているのかもしれません。

 

子育てでのイライラを消そうと頑張るのではなく、どうイライラをとらえていくかといった視点から、少しずつ今のおつらい状況を改善していきましょう。

 

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【参考文献】

〇今村 三千代, 鈴木 由美(2019):父親の育児家事参加と母親の育児不安の検討(2)―家庭内ゲートキーパーに着目して―、日本教育心理学会総会発表論文集 61(0), 517,

〇宮本 純子(2017):乳幼児をもつ母親の生きがいと育児不安および時間的展望との関連 ライフコースに着目して、日本心理学会大会発表論文集 81(0), 3A-028-3A-028

〇宮本 純子(2018):乳幼児をもつ母親へのサポートと育児不安―生きがいに着目して―、日本心理学会大会発表論文集 82(0), 2EV-024-2EV-024

〇原田正文(2006):「子育ての変貌と次世代育成支援―兵庫レポートにみる子育て現場現場と子ども虐待予防」名古屋大学出版会

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飯田杏奈

臨床心理士 公認心理師

心理系大学院修士課程を修了後、臨床心理士資格を取得。教育機関や療育施設、カウンセリングルームにて勤務。未就学児から大学生、大人までさまざまな悩みに向き合っている。二児の母として子育て奮闘中

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2020年7月1日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。