HSCで不安が強い…わがままで手が負えない…親の対応方法・注意点を臨床心理士が解説
子どもの不安感が人一倍強かったり、手に負えないほどのわがままさから「うちの子、HSCでは?」と必要以上に心配になっていませんか?
HSC(Highly Sensitive Child)とは、「人一倍敏感な子供」という意味で、アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏が提唱した言葉です。
今回は、不安が強かったり、手に負えないほどのわがままな状態の子供が親にどんなことを求めているのか、そして親はどのように対応したらよいかについて臨床心理士と一緒に考えていきたいと思います。
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HSCで不安が強い場合の対処法
HSCの子どもたちには、次の4つの性質があると言われています。(明橋.2018)
D=深く考える
O=過剰に刺激を受けやすい
E=共感力が高く、感情の反応が強い
S=ささいな刺激を察知する
不安な状態とは、見えないことに対して恐怖を感じている状態にあります。
「忘れ物をして先生に怒られないか不安になる子」
「運動会や発表会の前になると不安になる子」
など、“最悪の事態が起きるのではないか”と深く考えることで、どんどん気分が落ち込んでいってしまいます。
ここでは、子どもの不安が強い状況での親の対応を紹介します。
抱きしめる
子どもが強い不安を感じていたり、パニックになっていたりする時は抱きしめて「大丈夫、大丈夫」と安心させましょう。
不安で肩が上がっていることも多いので、お風呂上りや寝る前などにボディーローションやオイルなどを使って、肩や首などを軽くほぐして簡単なマッサージをして安心させるのも効果的です。(明橋.2018)
不安な気持ちに共感し、気持ちを言葉にして返す
子どもが不安な思いをしていたら、その気持ちを不定せず、「〇〇が不安なんだね」と共感してあげてください。
HSCの子どもは特に表現が大げさになりがちなので、「大げさだな」「そんなことでクヨクヨするんじゃない」とつい言ってしまいがちですが、まずは親が子供の気持ちを受け止め、理解しようとする姿勢が大切です。
自分の気持ちに共感してもらえるだけで、子供は安心することができます。
子供は自分の気持ちをうまく言葉にできないので、大人が気持ちを代弁して言葉にしてあげることも有効です。
可能であれば、
「忘れ物がないか不安なんだね。一緒に持ち物を確認しよう」
「運動会の振り付けを一緒に確認しよう」
など、親が協力できる部分は手伝ってあげると良いでしょう。(明橋.2018)
スモールステップを設定する
HSCの子どもは失敗体験に弱く、ダメージを受けやすい特徴があります。
小さな成功体験でも構わないので、「できた!」体験が積み重なるよう、目標を何段階かに分けて1つずつ、達成感をもたせるような関わりを心がけましょう。
また、「〇〇が上手になったね」など言葉でできたことを伝えると子ども自身の振り返りにもなり、達成感につながります。
一番大切なことは「親がどもの不安に巻き込まれない」ことです。
親がどんと構えて「大丈夫だよ」「何とかなるよ」といった姿勢を見せることで、子どもの不安も軽減されるでしょう。(明橋.2018)
HSCでわがままで手に負えない場合は?
HSCの子ども対して、「育てにくい」と感じられている方も多いかもしれません。
「癇癪が激しく、いつも文句を言っている」
「ちょっとしたことで傷ついたり、おおげさに騒ぐ」
「こだわりが強い」
「被害妄想的な受け取り方をする」
など、HSCの子どもの行動に頭を抱えているのではないでしょうか。
子供はどんなことを親に求めていることを求めているのでしょうか?
ここでは、手に負えない状態を建設的に改善していく上で必要な親の対応や注意点、いいわがままと悪いわがままの違いなどをご紹介します。
わがままは「その子が傷ついているサイン」
HSCの子どもは、日常生活の中で人の倍くらい傷つきやすいので、外で気を張っている分、安心できる親の前ではわがままになることが多くあります。
また、自分が傷ついていることを言葉でうまく表現できないので、親に八つ当たりをしてわがままを言う行動に出てしまいます。
あるいは、外で傷ついた分、「こんな自分でも受け入れてくれるか」といった不安を感じ、親の愛情を確かめるために試し行動として出ている場合もあります。
わがままを言われると親もうんざりして、イライラしてしまいます。
HSCの子どもは、人の表情や様子に敏感ですので、親に否定されたと思い込み、余計にわがままがヒートアップすることもあります。
「困った子ども」というのは、実は「困っている子ども」
本当は人一倍繊細で傷ついていて助けを求めているのに、それをうまく表現できないために、逆切れしたり、意地を張ったりする間違った方法でしか表現できないのです。
子どもがわがままを言ってくるときには、表面的な行動ばかりに目を奪われず、「同じ土俵に乗らない」ことが大切です。
まずは「この子は、実は傷ついているのかもしれない」といった視点で見てあげてください。(明橋.2018)
子どもが自分で気持ちをコントロールできるように手助けをする
子どもは、後で自分が困ると分かっていても、反応を止められず、感情的な行動をとって、周りから孤立してしまう(明橋.2018)状況になることもしばしばあります。
親がいなくても、外でトラブルになった時に自分で気持ちをコントロールできるように日頃からサポートをしてあげましょう。
まずは親が少し落ち着き、「なぜ、わがままな状態になっているのか?」を一緒に考えてあげる必要があります。
「おなかがすいていてイライラしていた」
「友達と喧嘩をした」
など、ゆっくりと子供の話を聞くと、子供なりの理由が出てくるはずです。
理由が出てきたら、一緒に対処法を考えましょう。
おなかがすいていたなら、行動に出る前に何かを食べる、
友達と喧嘩をしたのであれば仲直りをする方法を一緒に考える…
といったように適切な行動に移していくことができます。(明橋.2018)
親も落ち着くための「タイムアウト法」
親と子どもが落ち着くための方法の1つに「タイムアウト法」があります。
子の安全が確保された上で「一回、別の場所に行って落ち着こう」と親が少し離れてお互いの気持ちを落ち着ける時間を持ちます。
少し離れても興奮が収まらない場合は、「お話できるようになったら言ってね」と声をかけ、子供が落ち着くまで一人にしてあげます。
気持ちが落ち着いたら、
「何がいけなかったのか」
「どうしてわがままを言ってしまったのか」
を必ず一緒に振り返り、
「そういう時は、言葉で言えばいいんだよ」
「次はこうすればいいんだよ」
と次に起きた時の目標に繋げられると良いでしょう。
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【参考・引用文献リスト】
〇岡田 尊司(2017):過敏で傷つきやすい人たち HSPの真実と克服への道、幻冬舎新書
〇武田 友紀(2018):「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本 飛鳥新社
〇明橋 大二(2018):HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子 1万年堂出版
〇長岡 真意子(2019):敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本 秀和システム
〇池島 徳大・竹内和雄(2011):ピア・サポートによるトラブル・けんか解決法! 指導用ビデオと指導案ですぐできるピア・メディエーションとクラスづくり 本の森出版
〇串崎 真志(2018):高い敏感性をもつ子ども(Highly Sensitive Child)の理解:自閉症・高敏感者・エンパス・不登校 関西大学人権問題研究室紀要
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- 本記事は2021年6月13日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。