【臨床心理士解説】完璧主義を克服したい!思考の癖と克服方法とは?

2023.02.18公開

(質問)完璧主義を克服したいし、完璧主義の性格から抜け出したいです。完璧主義の人が陥りやすい思考の癖や克服する方法を教えてください。

 

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完璧主義にありがちな思考の癖と克服法

「~するべき」「~しなくてはならない」

「べき思考」と呼ばれる思考の癖です。

 

「~しなければならない」

「~するべきだ」

 

と考え方の偏り(認知のゆがみ)があるために、融通が利かず、自分や他人にそれを強く求めてしまったり、大きなプレッシャーとなったりすることがあります。

 

この思考を克服していく上で、以下の対処法を挙げましたので参考になれば幸いです。

1.「本当にそうだろうか」と考えてみる

→自分の中の「当たり前」「普通」の基準の見直しを図る。

2.「理想」と「現実」を分ける

→「~あるべきだ」という理想のイメージと、現実には実は乖離があることが多い。

 

現実にはどこまでできるか、どこまでできれば「合格」か、基準を見直す。

3.「できなかったらどうなる?」を想像する

→達成できなかった場合、最悪の場合にはどのようなことが起こるか、現実的にイメージをしてみる。

 

イメージの中では大変なことが起こる気がしていても、現実的にはそこまで陥る可能性はどれくらいかを落ち着いて見直すことも大切です。

 

失敗を恐れる・許せない

完璧主義で苦しまれる方の多くには、失敗を過度に恐れたり、失敗したときに自分の場合にはひどく落ち込んだり、他人の場合には厳しく当たってしまうことがあります。

 

失敗をしたら、もうすべてがおしまいかのような、大変な絶望感に苛まれ、今後同様のことに取り組む意欲がなくなってしまうこともあります。

 

この思考を克服していくためには、

1.「失敗は誰にでもある」ことを理解する

失敗は誰にでもあります。人は生きている限り、大なり小なり失敗をするものです。

 

ですから、自分も他人も、失敗はつきものであること、いつでも失敗をして良い存在であることをしっかりとわかってあげることはとても大切です。

2.「ドンマイ」「まあいっか」のマインド

失敗はいつでもだれにでも起こりえます。

 

失敗でなくても、完璧には至らないことは少なくありません。

 

そんなときには「ドンマイ」「まあいっか」という気持ちが大きな支えにもなります。

 

これは同時に失敗や完璧に至らない状態を認めてあげることにも繋がります。

 

そのうえで、これから何が出来るか考えてみる、というのもいいですね。

3.できたことに目を向ける

何かに挑戦して結果は失敗でも、そのプロセスの中で出来たこと、頑張ったことはたくさんあるはず。

 

そこにしっかりと目を向けて、褒めてあげることは、モチベーションを高めるためにも大切です。

 

できなかったことにフォーカスしてしまうときには、理想イメージの100点満点から、減点をしていくような見方となりまうが、

 

できたことにフォーカスしてみると、まっさらな0点の状態から出来たことを見つけていく加点方式になっていきます。

 

そうすることで、より出来たことに意識が向けられ、達成感を得られやすくなります。

 

ついこだわってしまう

完璧の理想的なイメージがある分、そのイメージから外れるときには大変なストレスに感じられたり受け入れられなかったりすることが生じてきます。

 

家事や仕事など、時間が限られていることであれば、時間内に完成させることが出来ずに結果的に遅れてしまうことも。

 

この思考を克服していくためには、

1. 優先順位をつける

絶対に外せない信念やこだわりたいこと、そこまででもないこと…と優先順位をつけてみる。

 

絶対に外せないことがあるとすればそこは大切にしつつ、そこまででもないことに関しては達成の基準を下げる、後回しにするなどしてバランスを整える。

2. 制限時間を設ける

完璧を目指すあまり時間がかかってしまうことがあるため、「○○までにおわらす」「○○分で切り上げる」などと時間で区切ることも大切です。

 

時間が来て途中に感じられても、時間が来たら切り上げます。

3.完成度は100%ではなくていい

完璧を100%としたら、その合格ラインはどこにできそうかを考えてみる。

 

内容によりばらつきは生じるでしょうが、80%でも60%でも「完璧ではないけど達成したね」というラインを定めることは、目標を定め達成感を得るためにも大切です。

 

②でもお伝えしたように、出来なかったところに目を向けがちですが、できたところはしっかりと評価をしてあげることと同時に、達成したラインを定め、それを認めてあげられることは、その後のモチベーションにも繋がってきます。

 

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【参考】

自己に求める完全主義” と抑うつ傾向および絶望感との関係 桜井茂男, 大谷佳子 – 心理学研究, 1997

完全主義傾向をもつ母親の子育て場面における原因帰属・感情・対応 三重野 祥子, 濱口 佳和,2008

完全主義が抑うつに及ぼす影響の二面性: 構造方程式モデルを用いて 小堀修, 丹野義彦 – 性格心理学研究, 2002

「こころの力」の育て方(きずな出版): レジリエンスを引き出す考え方のコツ 大野裕

こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳 大野 裕

ほか、臨床の中での経験と研修による知識によって作成されています

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花井菜美

臨床心理士/公認心理師

心理系大学院修了後、渡米。現地NPOサポート団体に所属し活動をする。帰国後精神科や発達障害児支援施設にて勤務。学生、主婦、子ども、夫婦関係など様々な問題を抱える方の支援を行う。2児の母。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2023年2月18日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。