自己暗示でなりたい自分に!効果・方法・危険性は?臨床心理士が解説

2018.11.24公開 2019.05.16更新

自己暗示の3つの効果

常日頃から「ポジティブ」でいられる

自己暗示がうまくかかると、気持ちに変化が生まれます。

 

先の実験では「私は囚人役だ…」と思い込むことで、メンタルヘルスに不調が生じたり、実際に病気になり入院してしまった人もいました。

 

これをポジティブに活用することができたらどうなるでしょうか?

「私は芸能人のAさんのように、笑顔で周囲への気遣いを絶やさない人になるんだ」

という自己暗示をかけていたとします。

 

Aさんのような「明るい」人物像をイメージしているため、

「今日はお世話になっている取引先の方にお会いするから、何か季節の手土産を買っていこう」

 

「昨日は体調が悪かったから、暗い顔をしていたかもしれない。今日はなるべく笑顔でいるよう心がけよう」

といったように、心を明るく保つことができるようになります。

 

気分が変わることで行動が変わる

気持ちと行動はつながっています。

 

したがって普段の気持ちの持ち方が変わることで、行動も変わります。

 

落ち込んで暗い気持ちでいるときは、家に引きこもりがちになり、さらに考え込む…といった悪循環に陥りがちですが、ポジティブな気持ちで過ごしているならどうなるでしょうか?

 

少しの時間を見つけて喫茶店へ出かけたり、途中で見かけた可愛い雑貨を購入し、友達にプレゼントしようと考えるかもしれませんね。

 

周囲からの評価が上がる

ポジティブな気持ちによって行動が変わることで、

周囲からのあなたの「見方」も変わってきます。

 

人間関係が好転する

自己暗示によって生じた「気持ち」の変化によって、様々なメリットが得られることがお分りいただけたと思います。

 

ポジティブな思考は、ポジティブな行動を生み出すため、結果的に周囲からの評価も上がります。

 

「好意の返報性」のように、ポジティブな相手に対して、人間は自然とポジティブな対応をとる傾向があるため、周囲とも円滑な関係を築いていくことができますね。

 

【関連記事】

>>好意の返報性とは?3つの例と効かない2つの原因を臨床心理士が解説

 

夢が叶う

これは自己暗示の最も嬉しい効果ですね。心理学では、「予言」が成就されやすいことがわかっています。

 

実際に、「あの銀行は潰れるらしい」と某メディアが予言したことで、それを見た人たちが契約を解約し、銀行が潰れてしまったこともあるほどです。

 

この「予言」の効果をポジティブに自己暗示に取り入れたらどうなるでしょうか?

「私は必ず社長になる」

「この仕事で1番の成績を残す」

「次の試験で必ず全国1位になる」

といった自己暗示は「予言」になり、成就しやすくなるのです。

 

 

自己暗示の3つの方法とは?

「こうなりたい」というイメージ

自己暗示をかけるために最も重要なことは「こうなりたいというイメージ」です。

 

そして、そのイメージはより具体的である方が成功します。

 

例えば、

・いつも仕事で輝いているA先輩

・大ファンで出演しているテレビは全て録画している芸能人B

といったように、身近でよく観察できる人や、自分がとても詳しく知っている人がオススメです。

 

なぜなら、「こういったときどう考えるか」「どう行動するか」といった具体的な例を思い浮かべやすいため、自己暗示をかける際のヒントになりやすいのです。

 

服装や持ち物などの「外見」

冒頭で紹介した実験では、普段は善良な市民でも、警棒や警笛を持っているだけで、すぐに看守役になりきってしまい、囚人を罵倒するようになりました。

 

つまり、人間は外見からの影響をとても受けやすいと言えます。

 

自分の理想イメージとする人物は、

「どのようなブランドの服を着ているか」

「カバンを持つか、持たないのか」

「髪型や髪の色は?」

など具体的にイメージして取り入れてみましょう。

 

「話し方」で自己暗示をかける

人間は自分自身の行動によって、自分自身を評価することがあります。これを心理学では「自己知覚理論」と呼んでいます。

 

例えば、

席を譲った自分 → 自分は優しいんだ

というように、行動から自分を認識することがあるのです。

 

これを活用し、より自己暗示を高めていきます。

・普段はすぐに返信するが、少し控えてみる

・これまでは利用しなかったエリアで休日を過ごす

など、行動を変えることで自己認識が変わり、自己暗示をより強固にかけることができるようになります。

 

 

自己暗示の3つの危険性は?

強引になっていないか注意深く振り返る

今までの自分ではなく、新たな自分にチャレンジしているので、ときに失敗してしまうこともあるかもしれません。

 

実験でご紹介した「看守役」のように横暴になっていないか、振り返る時間を設けましょう。

 

本当の自分と心が乖離していないか

「理想の自分」を実現することに夢中になりすぎると、「これまで培ってきた自分」と離れすぎてしまい、心が空っぽになってしまう危険性があります。

 

「自分らしさ」をよく理解した上で「自己暗示」を活用し、

「ここは自分らしさとかけ離れすぎているから、取り入れないでおこう」

といったチェック機能も大切になってきます。

 

自分とキャラが遠すぎないか

これまでの自分とあまりにも異なる場合、「急にどうしたんだろう?」と周囲に違和感を感じさせてしまいます。

 

自己暗示をかけるときは、急激な変化ではなく、小さな部分(例:まずはお礼の言い方から変えてみる)から変えていくと違和感は生まれないかもしれません。

 

 

さいごに

自分の理想を実現するために非常に効果の高い「自己暗示」。

 

日々、「自分がどのようになりたいのか」を意識することから自己暗示は始まります。

 

ご紹介した方法を活用し、夢の実現に一歩でも近づけるようお手伝いできれば嬉しいです。

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広瀬絵美

臨床心理士

心理学の大学を卒業後、広告会社にて勤務。退職後、心理系大学院修士課程を修了し臨床心理士資格を取得。精神科病院にて従業員のメンタルヘルスケア業務に従事する。また、国立研究所にて職場組織や妊婦さんのメンタルヘルスに関する研究にも携わっている。理想的な「ワークライフバランス」を目指し、研究と実践の両面から支援を行っている。一児の母。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年11月24日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。