心配性で疲れる…特徴・原因・4つの克服方法とは?精神保健福祉士が解説

2019.01.08公開 2019.05.16更新

心配性の原因、3つの視点

では、心配性は何が原因で起こるのでしょうか?

 

性格

一番の原因は、生まれつきの気質です。

・遺伝的な気質で、真面目できっちりした性格

・神経質でいろいろなことが気になる性格

という人がいます。同じ親から生まれたきょうだいでも、それぞれ気質は異なります。

 

一般的に、長男長女は、真面目で責任感が強い一方、心配性の人が多いと言われています。

 

これは生まれ持っての気質に加えて、きょうだいの出生順位など生育環境も、性格形成に影響を与えているためだと考えられます。

 

親も初めての子育ては、わからないことばかりで、心配しながら慎重に育てます。

 

このような親の養育態度も性格形成に影響を及ぼすと考えられます。

 

また長男長女には、身近に、モデルとなる年上の子どもがいないので、未知の世界をいつも自分が一番最初に、一人で開拓しなければなりません。

 

更に、子供の中では一番の年上なので、例えば、弟妹の世話や家事など、年齢相応以上の責任を期待されることもあります。

 

子供だけで初めて祖父母宅に帰省する時、長男長女は責任感と不安感から、何度も何度も切符や地図を点検して青い顔をして緊張しているのに、弟妹は、

「お兄ちゃん、お姉ちゃんについていけば大丈夫〜」

と、リラックスしてゲームをしているといった光景は、夏休み、空港や駅でたびたび見かけます。

 

弟妹は、身近にいる兄姉に面倒を見てもらいながら、同時に兄姉の失敗もよく観察しています。

 

そのため、

・こうやれば怒られない

・こうやればうまくできる

といった人生の要領を常に学習しています。

 

もちろん必ずしもというわけではありませんが、弟妹は一般的に楽観的で世渡りが上手な人が多いと言われています。

 

トラウマ

もともとの気質に加えて、長男長女はそもそも心配性になりやすい要件を揃えているのですが、更にトラウマとなるような強いストレスを体験すると、心配性に拍車がかかると言われています。

 

例えば、

・子供の頃、電気ストーブの消し忘れで自宅が火事になった

・鍵の閉め忘れで泥棒に入られた

などが挙げられます。

 

また、

親が借金の問題を抱えた挙句に離婚して、別離した親が自殺した

などのように、金銭絡み、かつ愛着形成にも影響を与えるような大きな出来事があると、金銭や人間関係に対して極端な心配をいだきやすいと言われています。

「当家の長男は代々名門大学に入学している」

「医者の長男だから絶対に医学部に合格してもらわなければ困る」

といったプレッシャーもトラウマになることもあります。

 

病気

メンタルの病気から、過剰な心配性になることもあります。

 

点検癖、手洗い癖が、生活に支障を及ぼすほど病的になってくると、強迫神経症といった病気も疑われます。

 

手を洗うこと自体は悪いことではなのですが、

・何かを触るたびに過剰に不潔だと感じる…

・一日何十回も、皮がボロボロにむけて血が出ているのに手を洗うことがやめられない…

といった状態は病的と言えます。

 

戸締まり点検も、毎日何時間もかかっていては、社会生活を営むのが難しくなります。

 

このように度を越した心配性の場合は、クリニックに相談してみた方がよいでしょう。

 

 

心配性の克服方法、4つ

環境を安心できるものに整えていく

心配性の人が安心して生活するためには、まず、実際に自分の生活環境を見直し、出来る限り、安心できる環境に整えていくとよいでしょう。

 

火事が心配な人は、

・火が出ないオール電化住宅

・一定の温度に達するとオートオフになる調理器具

・防火壁

・煙探知器…

そういった環境を整えることで、実際に安全度も高まります。

 

戸締まりが心配な人は、

・オートロック

・防犯カメラ

・治安の良い町に住む

などで不安が軽減されるはずです。

 

指差し点検

持ち物や戸締まりは、何回点検したら大丈夫というルールを作り、指差し点検していくとよいでしょう。

「財布オッケー」

「スマホオッケー」

「ガスオッケー」

「エアコンオッケー」

「鍵オッケー」

等、声に出すのも効果的です。

 

駅の乗務員さんがホームの安全を確認するやり方を真似するとよいでしょう。

 

テレビをつけながらの「ながら点検」は気が散り、またやり直したくなるので注意が必要です。

 

点検の時は集中して行い、終わったらさっと外出して気持ちを切り替えるのがよいでしょう。

 

貴重品はまとめる

持ち物が多くてバラバラだと、それだけで心配の数が増えます。

・鍵、財布、定期、スマホなど重要なものを一つのポシェットにまとめる

・落とさないように定期や鍵はリールで結びつける

・ポシェットは目立つ色にして、帰宅したらいつも同じ場所に必ずかける

といった工夫で、重要なものをなくしにくく、忘れにくく、心配を減らすことができます。

 

イメージトレーニング

成功体験を思い出して、ポジティブイメージのトレーニングをすることも効果があります。

 

心配性な人はもともと真面目でコツコツ取り組む人が多いのです。

 

日々の努力、今までの成功を記録につけるのもよいでしょう。

「これだけやったのだから、もう安心、絶対うまくいく」

とポジティブイメージの練習をすることで、心配性から来るストレスを克服していきましょう

 

 

さいごに

心配性は悪いことばかりではありません。

 

性格が真面目で、責任感が強く、失敗したくないから心配になるのです。

 

しかし、心配しすぎは疲れてしまいます。

 

克服方法のアドバイスを参考に、心配と程よくつきあう方法を見つけていってくださいね。

 

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桜衣真里

精神保健福祉士

大学院修士課程修了後、専門学校、短大講師等を経て、公的機関の相談員として勤務。精神保健福祉士、保育士のダブルライセンスで、家庭問題、子どもの発達、保育・教育・療育関連の仕事に従事。東京都出身。二児の母。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年1月8日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。