対人関係コンプレックス克服法3選!心理学的視点で臨床心理士が解説
対人関係コンプレックスの3つの心理
1.劣等感を抱いている
幼少期において、「人より劣っている」と感じる経験があると劣等感を持つことになります。
例えば、
期待より低い偏差値の大学へ行くこととなった、
通信簿がいつも悪かった、
運動音痴だった、
常にニキビがあり、見た目に自身がなかった
などです。
こういった劣等感があると、自分に自信がないため、人とのコミュニケーションも苦手になっていきます。
当然コミュニケーションを避けがちになり、さらにどんどんコミュニケーションが苦手になっていく、という負の連鎖に。
その結果、「自分は対人関係が極端に苦手である」というコンプレックスとして認識されてしまいます。
2.原因論的思考グセがある
人はものの考え方を次の2種類に分けることができます。1つは原因論、もう1つは目的論です。
原因論的思考グセがある場合、対人関係をコンプレックスと捉えがちになり、悪循環が生じます。
例えば、
【原因】ひどいニキビがたくさんあるせいで人から避けられてしまう
↓
【結果】友だちができない
↓
【性格】私は人に話しかけるのが苦手である
↓
【行動】ずっと話しかけられない
このように、「自分が〇〇なせいで対人関係が苦手である」という捉え方をしていると、残念ながらこのループから抜け出せない可能性が高いです。
3.これまでの行動から自分の世界を狭めている
人間は自分の行動から「私はこうである」と知覚します。これを心理学では【自己知覚理論】と呼びます。
例えば、
【行動】パーティーに行くといつも端っこで一人で立っている
↓
【自己知覚】私はコミュニケーション能力が低い
という具合です。
対人関係コンプレックスを持っている場合、当然対人関係を避ける行動が多くなります。
すると、「私は対人関係が苦手!!」という自己知覚がどんどん強まっていきます。
対人関係コンプレックス克服法3選
1.目的論的思考になる
「嫌われる勇気」で有名な心理学者アドラーは、「人間の行動には常に目的がある」と考えていました。
例えば、先ほどの原因論のお話で出てきた“ニキビのせいで友だちができない方”の例を見てみましょう。
【原因】ひどいにきびがたくさんあるせいで人から避けられてしまう
↓
【結果】友だちができない
↓
【性格】私は人に話しかけるのが苦手である
↓
【行動】ずっと話しかけられない
これを目的論的に捉え直します。
【目的】話しかけて拒絶されたくない
↓
【行動】話しかけない
↓
【結果】友だちができない
そう、実はニキビが原因で友だちができないのではないのです。
拒絶される不安を回避する目的があるからこそ、話しかけないという行動が生じているのです。
人は目的に突き動かされて行動します。
本当の目的を知ることができれば、誤った行動を修正し、正しい行動に置き換えることができます。
【本当の目的】友達がたくさん欲しい
↓
【正しい行動】身なりを整えて、傾聴力をつけて友達から好かれる努力をする
↓
【結果】徐々に人との会話が増える
コンプレックス克服のために大切なのは、
・あなたが望む「本当の目的」を知ること
・正しい行動に修正すること
なのです。
2.行動を変えて自分のラベルを塗り変える
上述したように、人間は、
「自分の行動」⇒「私はこうである」
というラベルをつけます。
このラベルを変えれば、本当になりたいあなたに近づくことができる、とアドラーは提唱しています。
ではどうすればよいか?簡単ですね、行動を変えればよいのです。
対人関係が上手な人をじっくり観察しましょう。
あなたが取り入れられそうな行動を少しずつ真似してみましょう。
徐々にあなたのラベルも変化していくはずです。
3.あなたのコンプレックスのいい面を探して伸ばす
対人関係コンプレックスには良い点もあります。
例えば、人からの評価を気にしがちなので、人と接するときはとても丁寧に接しているかもしれません。
人と上手にコミュニケーションを取るため、このように心理学コラムを呼んで勉強していらっしゃいますよね。
心理学の知識を人に教えてあげれば、あなたは「心理学に詳しい面白い人」と評されるかもしれません。
コンプレックスの良い面に光を当ててみましょう。
その部分をしっかり伸ばしていけば、コンプレックスを克服できるほどの“あなたしか持っていない才能”にきっと気づくことができるはずです。
さいごに
コンプレックス克服には、
・思考のクセを変えること
・行動を変えること
が重要です。
何よりも大切なのは、“自分は対人関係をコンプレックスと感じているかもしれない”と気づくことです。
あなたのコンプレックスは、生きる原動力に変えることができます。ゆっくり取り組んでいきましょう。
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- 本記事は2019年4月4日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。