怒る上司が無能な5つの理由。怒らない上司との違いとは?産業カウンセラーが解説
怒る上司はなぜ無能か。5つの理由
それでは上司が怒ることによって、どんなことが引き起こされているのでしょうか。
アンガーマネジメントが話題になりましたが、その考え方をもとに、私独自でまとめたポイントを5つあげてみましょう。
①怒りによって、相手のネガティブな感情を引き出してしまう
②コミュニケーションが一方的になる
③気分に左右される(自己を抑制できない)
④相手に対するリクエストを上手く伝えられない
⑤許容範囲が狭くなっている
これら5つの事象を見てみると、上司としては無能であるとも言えるのではないでしょうか。
アンガーマネジメントとは、アンガー(怒り)をコントロールするという目的で1970年代にアメリカで始まり、心理教育や心理トレーニングとして体系化されたものです。
何十年も前から、怒りのコントロールは大切だと考えられてきたのです。
また、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会の代表理事である安藤俊介氏は、「怒り」についてこう述べています。
「今まで、あなたは自分を怒らせる原因は全て外にあると考えていました。ところが本当に自分を怒らせている原因は自分の中にあったのです。」
(出典:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 ホームーページ)
上司を怒らせている原因は上司の中にあると考えると、少し救われますよね。
怒らない上司との3つの違いとは?
怒る上司から言わせれば「怒っているのではない。叱っているのだ!」と反論するかもしれません。
しかし、アドラー心理学を解説した岸見一郎氏の著書『嫌われる勇気』では、
怒ることも叱ることも、相手に矛先を向けるという意味において同義
だと考えられているようです。
残念ですが「叱っているのだ!」は言い訳にはなりません。
それでは、怒る上司と怒らない上司は、何が違うのでしょうか。
再び、冒頭で挙げた私がファイルを誤送信した例から考えてみます。
①部下を責める
怒る上司は部下を責めることで、自分がスッキリしたいと思っています。
「オマエはアホか!」と言い放った上司は、さぞかしスッキリしたことでしょう。
しかし、本来のゴールは、目の前の問題を一刻も早く解決して仕事を前に進めることです。
一番迷惑なのは顧客なのですから、部下である私を責めたところで、問題は解決しません。
怒らない上司は怒ることによって悪い影響があることを良く知っていますので、部下を責めることはしません。
②感情的になる
「オマエはアホか!」と言われても、部下は「申し訳ございませんでした」と言うしかありません。
そんなことよりも、すぐにでも嫌な気持ちを払拭して、仕事に集中したいというのが部下の本当の気持ちでしょう。
感情的に怒られた部下の私は、ネガティブな感情が後を引き、次のアクションを取るまでに時間がかかってしまいました。
怒らない上司は問題解決までの時間が遅くなることを良く知っており、感情的になることはないでしょう。
③部下を支配する
怒る上司は、委縮した部下を支配しようとします。
支配することで部下をコントロールできるので、自分の思い通りに仕事が進められるのです。
しかし部下にしてみれば、上司の指示を待たなければ動けなくなり、指示待ち人間になってしまいます。
一方、怒らない上司は部下を支配しません。
部下が自主的に考えて行動できる方が、ゆくゆくは大きなシナジーを生むことをよく知っています。
いかがでしたでしょうか。あなたの周りにいる「怒る上司」と「怒らない上司」の違いに当てはまりましたか。
さいごに
「怒った先にどんな影響が出るのか」
それを上司自身が考えられなければ、ある意味上司としては無能と言えるでしょう。
怒らない上司は、怒ることによる悪影響をよく知っています。
怒る上司が無能なのだと思えば、怒られているあなたの心は、少し軽くなるのではないでしょうか。
しかし、上司を怒らせてしまうという事態を招いているのは自分自身だという見方もできます。
怒る方も怒られる方も「自分自身に変えられるところはないだろうか」と客観的に自己を振り返ることが、本当は必要なのかもしれませんね。
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- 本記事は2019年5月13日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。