中年の危機とは?期間・乗り越え方11選を心理学視点で臨床心理士が解説

2019.06.09公開 2019.08.26更新

中年の危機の期間とは?

上述したような悩みの多くは、40-65歳の間に発生することが明らかになっています

 

(Freund and Ritter, 2009 https://www.researchgate.net/publication/26335091_Midlife_Crisis_A_Debate)

 

また、その期間は個人の精神的脆弱性、仕事や家庭でのストレスレベルなどによって異なるため、数ヶ月で切り抜けられる方もいれば、数年単位で続く方もいらっしゃいます。

中年の危機の乗り越え方11選

1.まずは現在の健康状態を知る

上述したように、中年の危機と健康状態には深い関連があります。

 

そのため、健康状態の改善に取り組むことは、中年の危機を乗り越えるために非常に重要であると考えられています。

 

まずは医学的な観点から、ご自身の健康状態を確認し、どれだけの負荷をかけて良いのかチェックしてもらいましょう。

 

2.小さなことから運動を習慣づける

ご自身の健康と活動を維持するために、運動習慣が重要になってきます。

 

しかし、そうはいってもこれまで行っていなかった運動を、突然習慣化させることはなかなか難しいですよね…。

 

新しい行動を起こすために重要なことは【できるだけ具体的な目標を立てること】です。

・3ヶ月以内に体脂肪率を○%にする

・6ヶ月後の市民マラソンに出場する

・夏までにあのデニムを履けるようにする

などなど。

 

また、新しい行動を定着させるために重要なことは【小さなことを少しずつ始める】ことです。

 

新しいことを一気に始めると、心が拒否反応を示してしまうので注意しましょう。

 

運動を習慣化することで、

・糖尿病、関節炎、高血圧、癌、骨粗鬆症、鬱病

などの慢性疾患を予防できることが明らかになっています。

 

また、緊張やストレスを軽減し、人々が性生活の向上に役立つことも明らかになっているため、40代を超えた皆さんには特に意識して取り組んでいただきたいと思います。

 

(Psychology Today https://www.psychologytoday.com/us/conditions/midlife

 

3.栄養バランスを見直す

栄養価の高い食事は健康な体を維持するために欠かせません。

 

アメリカのガイドラインでは、

・ビタミンやミネラルを摂取すること

・脂肪やコレステロール、ナトリウム、砂糖の摂取量を減らすこと

が推奨されています。

 

加齢とともに体重が増える方が多いのは、多くはホルモンの影響を受けていると考えられます。

 

しかしながら、必要量以上のカロリー摂取や運動不足による影響も否定できません。

 

4.実現可能な目標を見つける

あなた自身が「本当はこんな自分になるはずではなかった…」と思う過去の願望や夢は現実離れしすぎているかもしれません。

 

そしてそういった過大な願望が、現在のあなたを苦しめている可能性があります。

 

経済・家族・恋愛・キャリア・健康状態について、実現可能性。を考慮した上で、目標を明確にしていきましょう。

 

5.人と比較しないためにSNSから離れる

自分自身が人生で達成したい目標を明らかにする上で、他人との比較は意味をなしません。

 

まずはSNSから離れ、じっくりと自分と向き合いましょう。

 

6.自分の人生を高く評価する

あなた自身、仕事での責任を日々まっとうしようと懸命に取り組んでいるはずです。

 

現在の仕事は、小さい頃から描いていた理想や夢とは異なるかもしれません。

 

それでも、これまで責任をもって取り組んできたこと、そして取り組むチャンスを人から与えられてきたということを評価しましょう。

 

7.人からの感謝に気づく

人は一人では生きていくことができません。

 

しかし、どうしても自己中心的な視点になりがちです。

 

メタ認知的視点に立ち、ご自身が周囲に生かされていることに気づくことも大切です。

 

【関連記事】

>>メタ認知の効果・高め方・人間関係への活かし方とは?臨床心理士が解説

 

8.役割があることに感謝する

経済的に家庭を支える立場にある場合、稼いだお金を子どもや家族に自由に使われることに苛立ちを感じるかもしれません。

 

しかし、そういった役割があるということは非常に尊いことであり、その役割によってご自身の成長も促されてきたはずです。

 

9.心を満たす方法で幸福感を感じるようにする

中年期の危機の特徴として、

ストレス発散方法が破壊的な行動になりやすい

という傾向があります。

・離婚を選択しようとする

・高額商品を購入する

・会社を辞める

・浮気をする

・アルコールやドラッグに依存する

などの行動化です。

 

このような行動は一時的に心を満たすのみで、本当の問題解決には繋がりません。

 

また異なる問題を生じさせる原因ともなりうるため、おすすめできません。

 

趣味を充実させる、友達と話をするなどの本当に心が満たされる方法を選択しましょう。

 

10.衝動的な行動は控える

上記のような破壊的行動が衝動的に生じる可能性があります。

 

そういった場合は心の専門家に相談されることをおすすめします。

 

11.若さを取り戻すことが答えではない

中年期の危機の特徴として、

“若さを取り戻すことが解決策である”

と考える傾向があります。

 

その結果、若い人と交際しようとしたり、過激なアンチエイジングを行ったり、ご自身の年齢にそぐわない考え方や行動をしてしまうことがあります。

 

こういった行動は一時的な心理反応であり、根本的な解決につながらないということを意識しましょう。

 

大切なのは、じっくりとご自身の心と向き合うこと、人生において実現したいことをしっかりと描くことにあります。

 

 

さいごに

ついつい、心だけの問題と捉えられがちな中年期の危機。

 

しかしながら、発生の引き金にもなる“身体問題”を改善することで、精神的な悩みが軽くなる可能性を秘めています。

 

心と体は表裏一体。俯瞰的に問題を捉えつつ、総合的な課題解決を目指していきましょう。

 

もちろん一人で困ったときは、心理の専門家に頼ることも重要ですね。

 

【関連記事】

>>中年の危機・ミッドライフクライシスの男性対処法5選を臨床心理士が解説

>>中年の危機でうつかも…5つのチェックポイントと対処法を臨床心理士が解説

>>中年の危機で離婚する夫婦の特徴と後悔しないための5つのポイントとは?

>>中年の危機による転職はNG?5つの視点から3つの選択肢を臨床心理士が解説

 

【参考】

https://www.researchgate.net/publication/26335091_Midlife_Crisis_A_Debate

https://www.wikihow.com/Overcome-a-Midlife-Crisis

https://www.psychologytoday.com/intl/conditions/midlife

https://www.wikihow.com/Overcome-a-Midlife-Crisis#references

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広瀬絵美

臨床心理士

心理学の大学を卒業後、広告会社にて勤務。退職後、心理系大学院修士課程を修了し臨床心理士資格を取得。精神科病院にて従業員のメンタルヘルスケア業務に従事する。また、国立研究所にて職場組織や妊婦さんのメンタルヘルスに関する研究にも携わっている。理想的な「ワークライフバランス」を目指し、研究と実践の両面から支援を行っている。一児の母。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年6月9日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。