LGBTとは?知っておくべき3つのポイントを臨床心理士が解説

こんにちは、LGBT当事者かつ臨床心理士の大賀一樹です。LGBTの存在は、最近マスメディアでも広く報道されるようになりました。

 

その数は、実に13人に1人と言われるほど(※1)。

 

13人に1人といえば、一般的な学校のクラスに1~2人もいる計算になるのです。皆さんは、この「LGBT」についてどれくらい知っているでしょうか?

 

そこで今日は、LGBTについて「全然知らない」という人向けに、3つの要点を押さえながら、解説していきたいと思います。

 

【関連まとめ】

>>LGBTとは?割合・カミングアウト対応例・インタビュー【臨床心理士&当事者まとめ】

 

LGBTとは?LGBTの語源って何?

LGBTは、それぞれのアルファベットに意味があり、下記のように分類されます。

 

L…レズビアン

女性同性愛者、女性として女性が好きな人

 

G…ゲイ

男性同性愛者、男性として男性が好きな人(同性愛者全般を指すこともある)

 

B…バイセクシュアル

両性愛者、男性にも女性にも恋愛感情や性的欲求を抱く人

 

T…トランスジェンダー

自身の性別に違和感を抱く者、与えられた性別ではない性別に自分らしさを感じる人

 

また現在は、上記のセクシュアリティ(性のありよう)に加え、広く「性的マイノリティ」と呼ばれる様々なセクシュアリティを包括する言葉として扱われることも増えてきました。

 

 

「性的指向」と「性自認」の視点を身に着けよう

「同性愛と性同一性障害って何が違うの?」

「オネエはどれに入るの?」

 

等、疑問が浮かんできた人がいるかもしれません。

 

このような疑問を解消する切り口として、「性的指向」と「性自認」について解説します。

 

性的指向

どんな性別の人を好きになるか(恋愛や性愛の対象とするか)という、人間の根本的な性傾向のこと。大きく「異性愛」、「同性愛」、「両性愛」に分類される。

 

性自認

自身がどの性別に属するかという感覚、自己の性別認識のことを指す。

 

身体の性別と一致することもあれば不一致となることもある。大きく「男性自認」、「女性自認」、「その他の自認」に分類される。

 

性的指向と性自認の例

例えば、ゲイの当事者の方は、性的指向が同性に向く「同性愛者」のため、性的指向のことで悩むケースがあります。

 

また、性同一性障害の方は、性自認が体の性別と一致しないため、性自認や身体のことで悩むケースがあります。

 

 

このように、性的指向で悩んでいるのか、性自認について悩んでいるのか、という視点で考えると、悩むポイントが違うことがわかりますね。

 

 

LGBTと芸能人

いわゆる「オネエ」の方々については、色々な方が混ざっています。

 

性自認と身体の不一致で悩み、身体や戸籍を女性に変更し、女性として生きていこうとされている『KABA.ちゃん』もいれば、

 

自分自身は「男性だ」と認識した上で「女装家」として活動されている『マツコ・デラックス』さんもいます。

 

『マツコ・デラックス』さんの場合、性自認と身体の性別はどちらも「男性」であり一致しています。

 

しかし、男性として男性が好き、つまり性的指向が同性に向く「同性愛者」のため、思春期頃は性的指向について悩んだことがあったのかもしれませんね。

 

 

セクシュアリティは多様

セクシュアリティは、LGBTだけでなく、すべての人間が有している「性のありよう」です。そしてその存在は、実に多様性にあふれています。

 

「異性愛者」もその中の一つのセクシュアリティなのです。

 

「同性を好きなわけじゃないけど、異性を好きになれなくて悩んでいる…」という人も、「性的指向の悩み」を持っているといえます。

 

そして、このような悩みを持つ人に対し、私は一臨床家として「異性を好きになるための努力」を強いることはしません。

 

 

アセクシュアル(無性愛)

例えば、「アセクシュアル」と呼ばれるセクシュアリティがあります。

 

これは、「無性愛」と呼ばれ、「他者に対して、恒常的に恋愛感情や性的欲求を抱かない」人のことを指す時に使われます。病気ではなく、一つの性のありようです。

 

もしかしたら、「異性を好きになれなくて悩んでいる…」という人の中には、アセクシュアルという、一つのかけがえのないセクシュアリティを持っている方がいるかもしれません。

 

実際、「異性を好きになろう」と頑張って苦しみ、うつ状態だったけど、アセクシュアルという一つのセクシュアリティを知り、

 

「無理に誰かを好きになろうとしなくていいんだ」と思えるようになり、気持ちが軽くなったという経験を持つ方と接したことがあります。

 

様々な悩みの解決策を「一つの当たり前とされる方向に、無理やり導こうとする」のではなく、多様なセクシュアリティを理解することが、本人が「本当はどうであったら自分らしいのか」「どうあるのが自分なのか」、ということを見つける手立てとなることもあるのです。

 

 

様々なセクシュアリティを尊重しよう

このように、3つの要点に絞ってお話をしましたが、LGBTについて考え理解しようとすることは、異性愛者の方も含まれる多様な性のありよう、そしてひいては、それぞれの個人の「自分らしさ」について考えることのきっかけにもなります。

 

皆さんが「自分らしく」いられるときは、どんなときですか?

 

この記事を読んで下さったあなたも含めた、すべての人が自分らしく生きられる社会になればと、切に願っています。

 

※1 電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2015」を参考。

 

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大賀一樹

臨床心理士

1988年、島根県生まれ。幼い頃から自身の性別に違和感を覚え、大学2年時に「Xジェンダー」という言葉を知り、自らのセクシュアリティを認識する。ジェンダー/セクシュアリティの多様性やクィア・スタディーズをベースに臨床やカウンセリングを実践。臨床心理士として、東京都教育委員会公立学校スクールカウンセラーとして従事するかたわら、早稲田大学スチューデントダイバーシティセンター専門職員や、NPO法人の理事も務める。

大賀さんのインタビュー記事はこちら

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2016年10月21日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。