うつ、過食、最愛の子供の死。無理に生きる意味を探さなくなった今の生き方
目次
「頑張ったね」と言ってほしかった
都会から離れて、自然のある田舎で両親と一緒にいたことで安心感はありました。
ご飯も3食出してくれるし、お風呂も毎日入れる。それなのに、
「なんでこんなに転職を繰り返したのか」
「なんでこんなに自分は何もできないんだろう」
「仕事に復帰できるかと言われても自信がない」
「誰にもうつのこと、言いたくないし」
と、タコの壺の中をずっとグルグルするように考えていましたね。「どうしよう、どうしよう」って。
「別にもう、いつ死んでもいいや」とも思うようになり、死ぬ方法を考えたりもしました。
両親も私の状態を100%理解してくれたかと言われたら、多分そうではないと思っています。
お父さんは特に何も言わずでしたが、お母さんは、
「寝てばっかりしていないで」
「とりあえず病院に行きなさい」
「ちゃんと薬飲んだの? 」
といった感じでした。理解を得ることってすごく難しいですよね。
こちらも日常会話はするけど、うつのことは特に言わない部分もあって。
だけど、本当は認められたかったんだと思います。
「頑張ったね」とか、何でもいいから優しい言葉をかけてほしかった。
実はそのことは、小さい頃から思っていました。
親に褒められたくて勉強も頑張るし、だけど結局は1番にはなれなかった。
私は頭が悪いし取り柄もない。
「◯◯ちゃんはまた1位だったよ」と他の子は言われるけど、私は何も言われない。
もしかしたら、幼少期の経験や記憶も生きづらさを感じる原因の1つなのかなと思っています。
ヨガを通じて思考が前向きに
休職中、死にたいと思いつつ、痛いのは嫌。
「じゃあ生きるにはどうすれば? 」
という思考に変われたのが大きかったと思います。
ヨガにずっと通っていたことも、その理由のひとつかもしれません。
ヨガに通い始めたのは、拒食や過食が始まる前の26歳ごろ。
痩せたい、綺麗になりたいがきっかけで「ヨガだったら、運動嫌いな私もできるかな」と思って始めました。
実際にヨガをしてみると、心も体も軽くなったり楽になる感覚がありました。
頭の中も無になって、心も優しい気持ちに戻るというか、人間に戻る感じ。
ヨガには「八支則(はっしそく)」という哲学があって、
「人のものを盗らない」
「人に感謝しよう」
とか、人として当たり前のことなんですけど、そういった精神的な部分でもすごく惹かれました。
特に「人と比べない」が一番好き。
もちろん、今でも他の人のことが気になることも、羨ましいと思うこともあります。
けれど、それ以上に「自分を受け入れること」を大切にできるようになりましたし、自己と向き合う時間を持てたと思っています。
上手くいかない日だってもちろんありますが、
「そんな日もあるよね」
「今日は疲れていたんだな。疲れていたということは頑張ってたんだな」
と、思考をどんどん変換して、否定的な言葉を吐くことも少なくなりましたね。
本当の死に直面して感じたこと
休職が終わってから、いくつか仕事を転々としていた後、結婚しました。
すぐに妊娠もわかって、食生活にもより気を付けていました。
ところが、元夫との関係が悪化してしまって、また実家に逆戻り。
「シングルマザーでやっていくにはどうしよう…」
と色んなことを調べたり、離婚準備を進めていた矢先。
お腹の中で、息子が亡くなっていることを知らされました。
すごく悔しかったですね。
「私がもし摂食障害じゃなかったら…」
「もし私が弱くなかったら…」
「なんで息子は死んだのに、私は生きなきゃいけないんだろう」
と自分を責めていました。
ただ、息子の顔を見て現実と向き合う中で、心のつっかえが取れて、吹っ切れた感覚がありました。
「この悔しさを生きる大切さに変えていかなきゃ」
「自分の弱さを克服しなきゃ」
と気持ちを持たせてくれました。これから生きていくために。
日々の生活の中では「なぜ生きるのか」と生きる意味を見いだせないこともあります。
むしろ、そういうときの方が多いかもしれません。
無理に生きる意味を見出そうとしたら、つらくなってしまうし。
でも、本当の死に直面して感じることは、今まで感じてきた「死にたい」を生きるチカラに変換したい強い思いでした。
生きる意味を感じられないときがあったとしても、「今、生きてることの大切さ」を忘れちゃいけないんですよね。
そんなことを息子から教わった気がします。
自信を取り戻せたきっかけ
その後、社会復帰に向けて、心理学のスクール(NLP)と職業訓練に通い始めました。
職業訓練では、週5日通えた自信を取り戻せた経験は私の中ではすごく良かったです。
「自分が本当に好きなことって何だろう」って考える機会にもなりました。
あとは、月1,2回のカウンセリングも受けていました。
そこでは過去のトラウマを癒やすより、
「自分がどうしていきたいの? 」
「じゃあどうしていこうか 」
といったやり取りを通じて、未来志向型で深掘りして考えていくいい時間になっていました。
これまで自分が頑張ってきたことを肯定的に受け入れてもらったり、褒めてもらえたことで、
「当たり前だと思っていた生き方って、実はすごく辛かったんだ」
「こんな私にも良いところがあるんだ」
と、ここでも自信を取り戻す機会を持つことができました。
今は3食ちゃんと食べることや、湯を張ってお風呂に浸かることは心がけています。
日々の生活の中で、自分がホッとする時間を必ず設けるようにしていますね。
休職中に始めたのですが、1人カラオケも良かったです。
歌うことって結構体力を使いますし、なにより発散できるのが自分に合っていましたね。
そして、とにかく無理なダイエットはしない。
体重計に1日3回は乗っていましたが、今は多くても週に3回程度にしています。
言葉ひとつで変われる
体調の波はあります。病気じゃない人だって、大なり小なりありますよね。
今では「そんなときもあるよね」と捉えて、病気と安易に結び付けないようにしています。
「体調が悪い=うつ」とばかり考えてしまっていたら、脳がうつのことばかりになって、必要以上に辛くなってしまう気がして。
今はあえてそういった暗い内容を考えず、頭の中を楽しいこと…それも大きいことではなくて、日々の小さいことに目を向けるようにしています。
例えば「明日の朝、何のパンにしようかな」とおいしいお店を調べてみたり。
日常にある「小さな幸せ」を感じ、感謝すること自体がすごく幸せなことだと思っているので、Instagramを使って実践しています。
自分が楽しくなることに意識がいきますし、振り返ったときに見てもネガティブになる心配がないんですよね。
特に、うつの人ってネガティブ思考になりがちだと思います。
普段の言葉遣いや思考の癖を変えることで、前向きになれる気がしています。
それは実は本当に単純で。
言葉の言い方ひとつ変えることを毎日意識すれば、誰だって変われるのではないでしょうか。
同じ人間とわかったら楽になった
心理学の資格も取得し、現在はフルタイムで働く傍ら、ヨガの学校にも通っているので、ヨガスタジオ、カウンセリングルーム、料理教室、この3つを合わせた”poyoビル”を作ることが、今の夢です。笑
「うつってどこからが病気なの?」
「言いづらくて、誰にも言えなくて」
「精神科に来たけど、薬は怖い」
と思っているグレーゾーンの人っていっぱいいると思います。
私自身、バレないように取り繕った結果、過食や拒食で体調を崩してしまった…。
なので、メンター的な存在が増えて、
「私、今のままでもいいんだな」
って、本当に自分を受け入れることはこれからもっと大切になっていくと思います。
だってみんなが強いわけではないし、一見強そうな人でも、弱い部分って病気に限らずみんな持っているもの。
「みんな、同じ人間なんだよ」とわかったらすごく楽になったんです。
病院も何箇所も行きましたが、「症状を診て、また2週間後に来て」みたいなのは、正直私には合わなくて。
薬漬けになる不安もありましたし、やっぱりちゃんと話を聞いてほしかった。
一方で、カウンセリングは毎回行くことがすごく楽しくて。
1回1万円ほどなので頻繁には行けませんが、やっぱりそれほど効果があるから高いんだなと納得することができています。
日常の小さな幸せに気がつけるように
最近では「東京メモ魔会」というコミュニティにも参加しています。
前田祐二さんの書籍で『メモの魔力』があって、その本の中に自己分析1000問があるんです。
それをひたすらみんなで書き出したり、シェアする会なんですけど、
「自分って、こうだったんだ」
という気づきが、何も取り柄がないと思っていた私にとっても本当に多いです。
今まで、ブランド品を持つことで自分を認めていた部分がありましたが、お金に対しても捉え方がすごく変わりました。
お金を稼ぐことが幸せではないし、私は今アルバイトで収入が半分になったけどすごく楽しいんです。
やりたくない仕事でお金をたくさん貰うより、やりたいことをやって生活をできる今の生き方にすごく幸せを感じられています。
結婚や子どもを産むこともそうです。それらが女性の幸せだと聞かされ、それを疑わずに生きてきた部分もありました。
でも、色々なことを経験して、今まで当たり前だと思っていたことが実は全然当たり前じゃない…と気づくこともたくさんありました。
それも心の持ち方ひとつ、ですよね。
今では、「本当に好きなことをしていくことが人生をより豊かにしてくれる」と思える自分がいます。
日常の小さな幸せを積み重ねていくことで、「今、生きてることの大切さ」を実感することも増えるのではないでしょうか。
そうしたら、目の前に見える世界が少し良いものに変わっていくと思っています。
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2019年7月5日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。