「検査の数値を下げるために生きてるわけじゃない」透析生活30年の本音と今
1回4,5時間かかると言われる透析。それを週3回。しかも数十年…。考えただけで気が滅入ってしまう人もいるかもしれません。
400人に1人と言われる透析患者。その数は年々増加傾向にあります。ちなみに「透析」とは…
腎機能が正常の10-15%以下になると、透析や移植などの腎代替療法(腎臓の機能を代行する治療)が必要です。日本では、「どのような状態になったら透析を始めたほうがいいか」を判定するための「透析導入の基準」(厚生労働省)があります。症状・所見と腎機能・日常生活レベルとの組み合わせで導入時期を考えます。腎機能が正常の15%以上あっても、尿毒症の症状や高カリウム血症、心不全などがあり、適切な治療によって改善しない場合は透析が必要と判断します。(東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センターHPより)
日常生活の多くを占める透析を長年続けるには精神面での健康はとても重要。その一方で、透析患者に対する社会からの厳しい目もあるとか。
そこで今回は、慢性糸球体腎炎で30年以上の透析生活を続ける、一般社団法人ペイシェントフッドおよび一般社団法人ピーペック代表の宿野部武志さんにお話を伺いました。
〈インタビュアー 近藤(Reme運営)〉
目次
テレビで見る透析患者の“慎ましさ”
一方で、生活習慣が乱れて自堕落な生活をした人が透析を受けている…みたいな報道が多い印象があって、透析患者に対する社会の風当たりの強さも感じます。
原疾患、透析に至る経緯や背景は本当に人それぞれです。
以前、ワイドショーから出演のオファーがあったのですが、「透析患者にあった食事を妻が作り、それを僕が慎ましく食べる画を撮りたい」と言われたので断ったことがあります。笑
今日だって、妻から「韓国料理、食べたい」って言われたので大久保でチャプチェを食べてから来ましたし。
「透析患者」と一括りでとらえず、30万人の透析患者さんそれぞれ違った背景があるんだということを伝え、透析への偏見や誤解を減らす活動をしていきたいと思っています。
「◯◯があっても大丈夫だよ」って言うのが社会だと思っています。
ピーペック(PPeCC)は、「病気をもつひとに力を」という意味。それぞれの力を発揮できて「病気があっても大丈夫」と言える社会を実現をつくることが私達のミッションです。
ちょっと照れくさい話ですが、妻は「透析患者のあなたを好きになったわけじゃない。好きになった人が、たまたま透析をしていただけ」と言ってくれたのは嬉しかったですね。
「患者がつくった透析のほんシリーズ」
じんラボHPより
医学的なところは医師に監修してもらいましたが、本の制作委員はみんな透析患者。経験したからこそわかることがこの本には詰まっています。
ピアサポート活動もやっていますが、全国各地で開催することは難しい。なので、この本は「活字のピアサポート」だと思っています。
けれど、この本を一緒に作った透析患者全員が「透析になっても大丈夫だよ」と口にするんですね。
もちろん諦めなきゃいけないことはあるけど、全部諦めることはない。「大丈夫だよ」というメッセージを伝えられればと思っています。
働いて生活の糧を得るということも大切ですし、働くことが生きる上でのモチベーションにも繋がると思っています。
透析は制度的には恵まれていて自己負担はかなり少ない。そのおかげもあり生活ができているので、社会参加をする患者の生き方をもっと見せていく必要があると思っています。
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- 本記事は2019年11月7日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。