訪問診療とは?費用・申請方法・事例・往診との違いを専門家が解説
訪問診療とは?
精神疾患のために通院治療をしたいけれど、体調がすぐれないために、病院やクリニックまで足を運ぶことができない、または高齢のため施設などに入っており、主治医のところまで受診に行くのが困難な方もたくさんいますよね。
そういう方々にとって、主治医の元に辿り着くことだけでも、大変高いハードルとなり得ます。ここでは、そういう悩みを持つ方にぜひ知ってほしい「訪問診療」についてご紹介します。
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訪問診療の対象
訪問診療を受けることができる方は、以下のとおりです。
1.何らかの精神疾患を持っている方
2.精神疾患の治療を必要としているが、身体的・心理的理由で通院治療が難しい方
3.高齢などのため施設に入所しており、通院が困難な方
4.上記に加え、訪問診療が適切であると主治医が判断した方
訪問診療の支援内容
病院やクリニックへの通院治療が困難な患者さんの自宅や入所中の施設へ、主治医が中心となって診療を行うサービスです。
多くは、月に2回から4回程度の頻度で行われます。
訪問診療を受ける患者さんに個々人について、どういう治療やサービスを行っていくかという計画を立て、それに合わせて診療が施されます。
また、主治医の治療はもちろんのこと、看護師や精神保健福祉士が同行することもあり、服薬指導や福祉サービスの活用についての相談なども受けることができます。
さらに、患者さんの容態が急変した場合などは、緊急訪問をしたり、入院の手続きをしたりなども行います。
訪問診療の費用
訪問診療は、外来診療のひとつとして捉えられます。そのため、基本的には対象者の3割負担となります。
また、自立支援医療を申請した場合には、1割負担で診療を受けることができますので、自立支援医療サービスを申し込むことをおすすめします。
訪問診療の申請方法、利用方法
訪問診療を受けたい場合は、かかりつけ病院の主治医や医療スタッフにその旨を相談します。
サービスを受けるにふさわしいと判断されたら、まず、当人がどのような診療サービスを受けたいのかを聴くことから始めます。
また、現在までの対象者の状況や経緯なども詳しく尋ねることとなります。
さらに、対象者が他の医療機関にもかかっていたり、サービスなどを受けていたりする場合は、その担当者などにも話を聞き、総合的・多角的に情報を収集していきます。
その作業を終えたら、対象者に最適な訪問診療の援助計画を作成し、対象者が目指す方向性に向かって訪問診療を開始します。
その際に、申請者が用意する書類は以下のとおりです。
1.訪問診療申し込み書
2.訪問診療同意書
3.印鑑
4.保険証
(必要書類の呼び名や揃える書類は、医療機関などによって異なる場合があります。また、上記以外にも、揃える書類が必要になることもあります。)
また、訪問診療は対象者だけではなく、彼らの家族が抱える問題や対象者にどのように接していけばよいかなどという悩みにも対応していますので、訪問診療時にそれらの相談を受けることも可能となっています。
また、原則的には、かかりつけ病院における訪問診療を受けることが一般的ですが、かかりつけ病院以外での訪問診療を希望することもできます。
その場合は、現在の主治医に、対象者の状況や今までの病歴などをまとめた書類などを作成してもらう必要があることが多いでしょう。
訪問診療の事例
Aさん 18歳男性 適応障害
人と関わることが苦痛なので、外来受診をしたくない
Aさんは、全日制の進学校に通う高校生。高校3年生になった際にクラス替えがあり、クラスメイトにいじめを受けたことから、不登校となり、頭痛が続いたり憂鬱な気分や不安感が襲ってきたりするようになりました。
息子の様子に心配した母親と共に精神科病院を受診。適応障害と診断されました。
しばらく外来通院で様子をみましょうということでしたが、月に2回の外来通院の際に外出しなくてはならないことと、受付で人と触れ合うことが億劫で、「治療はしたいけど、通院はしたくない」と泣き出すことが多くなりました。
困った母親は主治医に息子の様子を話し、相談したところ、訪問診療サービスを勧められました。息子にこのことを話すと、彼も同意したため、月に2回、主治医がAさんの自宅まで訪問診療をすることとなりました。
また、勉強はしたいけど学校には行きたくないと話すAさんに対して、時には精神保健福祉士も同行し、サポート校や通信制高校などの情報も提供することになりました。
自宅に主治医や他のスタッフが訪問してくれることでAさんの緊張感も解け、今後の進路についても前向きに考えるようになりつつあります。
訪問診療の注意事項(往診との違い)
訪問診療は、主治医が患者さんの家庭や施設を訪問し、医療的処置を行いますが、往診とは性質が異なります。
訪問診療は、確かに医療的処置が中心ですが、患者さんの生活や社会的、心理的問題も取り上げて、それらをも含めた上で、継続的にサポートしていきます。
一方、往診は医療的処置を希望する際に頼む、単発的サービスという位置づけとなっています。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2017年1月25日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。