【臨床心理士解説】毒親の特徴(過干渉・暴力暴言・ネグレクト)の8つの具体的な言動
「自分の生きづらさの原因、いつも怒っていた母親との関係にあるのかも…」
過干渉や暴言・暴力などで、子どもを思い通りに支配したり、自分を優先して子どもを構わないなどの親の言動に苦しめられたり、親自身がそういった言動を繰り返してしまうことで悩んでいる方は多くいます。
いわゆる「毒親」という概念は、1989年にアメリカのスーザン・フォワードの著書『Toxic Parents』(『毒になる親』)で初めて使われました。
その後、その概念は日本にも広まり、
”子供に悪い影響を与える親”
という意味で広く使われるようになりました。
では、子供に悪い影響を与える親とはどういうことなのか。心理学の視点から臨床心理士が簡単に解説します。
「毒親」は医学的用語ではなく、あくまで一般的な呼称(概念)です。
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毒親とは「不安定な愛着の基盤を作る親」
子供は親(養育者)との関係の中で愛着(情緒的な絆)を形成し、その関係をもとに人間関係の基礎を身に付けていきます。
親(養育者)との間に安定した愛着を築けると、その関係をもとに、
”自分は他者に愛される存在なのだ”
”危険な時には頼れるから大丈夫”
といった自分や周囲の人の捉え方の基盤が作られ、それがその後の人間関係や物事の捉え方の基礎となっていくのです。
一方で、親(養育者)との愛着が不安定だと、上記のような自分や他者への安心感が上手く育まれず、大人になってからも生きづらさを感じてしまうことも多いです。
毒親とは、この後者のパターンのように、”不安定な愛着の基盤を作る親”ということができます(水島,2018)。
毒親の特徴は大きく分けると3つあります(斎藤,2018)(クローズアップ現代,2019)。
・過干渉
・暴力や暴言
・ネグレクト
それぞれについて、特徴的な言動を以下ご紹介しますので参考にしてみてください。
【毒親の特徴①】過干渉
子供のやることに全て先回りしたり、子供の考えや行動を強くコントロールしようとします。
①子供に自由な言動や選択をさせず親の意見や価値観を押し付ける
特徴的な言動例:
「絶対に○○大学に行きなさい」
「あなたは医者になるのよ」
「あの人は結婚相手にふさわしくない」
などと言って、
・子供の将来を親が勝手に決める
・子供の趣味や服装を頭ごなしに否定する
・子供が自分の意見を言ったり感情を表現すると激怒したり涙を見せて抑え込もうとする
②行き過ぎた過保護やコントロール
特徴的な言動例:
・「こんなのじゃダメ」と子供の宿題を親が代わりにやってしまう
・子供のスケジュールや人間関係を細かく監視しコントロールしようとする
・「あれをしなさい、これをしなさい」「あなたのためだから」と言って絶え間なく指示する
・子供が失敗することを許さない、認めない
③子供を一人の人間として尊重しない
特徴的な言動例:
・「あなたは何もできないんだから」といつまでも子供扱いする
・厳しすぎる禁止事項やルールを押し付ける
・「あなたには無理だから、親の言う通りにだけしていなさい」と子供が新しい経験をすることを阻害しようとする
【毒親の特徴②】暴力や暴言
子供を虐待したり暴力や暴言を振るって、子供との関係を主従関係や恐怖によって解決しようとします。
④子供に暴力や体罰をする
特徴的な言動例:
・親の思い通りの言動をしないと暴力を振るう親の決めたルールや指示に従わないと体罰をする
・子供が親に対して意見したり感情を表現すると暴力で抑え込む
⑤子供に暴言を吐く
特徴的な言動例:
子供の存在を否定する暴言
「あなたさえ生まれてこなければ」
「あなたのせいで私は不幸」
子供に罪悪感を与える暴言
「あなたのためにお母さんは何もかも我慢してきたのに」
「恩を仇で返すつもりか」
⑥親が自分の非を決して認めない
特徴的な言動例:
・子供が親の非を指摘すると「親に逆らうつもりか」と逆上する
・「あなたのためを思って言っているの」と子供に親の意見を押し付ける
・親を褒めることや親の味方でいることを強要する
【毒親の特徴③】ネグレクト
子供に全く目を向けなかったり、親としての責任を放棄してしまう。
⑦子供とコミュニケーションをとらない
特徴的な言動例:
・子供の話を聞かない
・子供と目を合わせなかったりスキンシップを全くとらない
⑧親の役割を放棄する
特徴的な言動例:
・お酒やスマホ、ゲームなどに依存して子供の世話をいつも後回しにしたり適切な世話をしない
・親自身がすべきこと(自分の親の世話、家事、子供の世話など)をいつも子供に押し付ける
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【参考・引用文献リスト】
NHKクローズアップ現代+ (2019). 毒親とは 専門家が語る特徴と対策 過干渉や暴言はどうすれば・・・ (参照2021-08-24)
水島広子(2018). 「毒親」の正体―精神科医の診察室から― 新潮社
斎藤学(2018). 毒親と子どもたち Webマガジン「みらい」, (2), 1-8.
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2021年9月3日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。