【臨床心理士解説】毒親の過干渉でストレスが限界…過干渉を疑う10のチェックリスト

2021.10.24公開

事あるごとに親から口出しされて有難いこともあるけど、何度言っても改善されずストレスが限界…。

 

そのような場合、単純に世話好きというより「毒親」「過干渉」の可能性もあり、何らか対処が必要な場合があります。

 

1989年にアメリカのスーザン・フォワードの著書『Toxic Parents』(『毒になる親』)で初めて使われた「毒親」という概念。

 

そこで今回は、毒親の過干渉についての10のチェックリストを臨床心理士がご紹介いたします。

 

「毒親」は医学的用語ではなく、あくまで一般的な呼称(概念)です。

 

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過干渉?親の愛?

「過干渉」なのか、「親の愛」なのかは線引きが難しいところです。

 

ある行動が過干渉なのかどうか判断することが難しいのは、親と子との関係性によってその行動の意味合いが大きく変わってくるからです。

 

なので、以下にご紹介するリストにある行動は過干渉となる可能性を含むものではありますが、これに当てはまるからと言って必ず過干渉だと判断することは難しいです。

 

親子内でのある程度の依存や、”世話焼きな親”ー”親に甘えながらだんだんと自立していく子供”といった関係、時と場合によって役割を柔軟に変えることができる関係なら問題ありません。

 

しかし、

 

「いつも片方が、もう一方を自分に依存させて、相手が元来持っている人としての能力を無視するような関係の作り方」

 

である場合、共依存関係や過干渉であると考えられます(斎藤, 2015)。

 

過干渉かも?10の問題行動例

1.子供のプライバシーを侵害する

子供のスマホを勝手に見たり、ノックなしに部屋や浴室に入る、勝手に家に押し掛けるなどの行動を繰り返し、かつ子供がそれを嫌といってもやめてくれない。

 

2.いつまでも子供扱いする

「あなたは親がいなければ生きていけない」

「あなたにとって一番良いことは親である私が知っている」

 

というメッセージを繰り返し与えて自信を奪い、子供が自分で決断したり自立することを妨げる。

 

3.子供の成長や自立を裏切りとみなす

子供が成長し、自立していくこと(例えば、一人暮らしを始める、恋人ができる、結婚するなど)を親への裏切りとみなして攻撃したり罪悪感を与えるような言動をする。

 

4.親に対してNOを言うことを許さない

親からの関わり方を嫌だと言う余地を与えなかったり、親との予定をキャンセルできなかったりする。

 

NOの意思表示をすると、感情的になって怒ったり泣いたり寝込んだりして拒否される。

 

5.常に子供について回る

子供が一人で出掛けたり、子供だけの(親とは関係のない)コミュニティに属したり、子供一人で何かをすることを嫌がり、親もその場についてこようとする。

 

子供がそれを嫌といってもやめてくれず、親が子供の人生の中で最も重要な人物になることに必死である。

 

6.子供のやることに常に先回りをする

子供が成功するように、失敗しないようにと子供への手助けを欠かさず行ったり、「あれをしなさいこれをしなさい」と絶えず指示をする。

 

かつ、それが子供の自立のためではなく、子供の自信を奪うために行われている。

 

7.頻繁な電話やメールで子供の生活に入り込んでくる

子供の全てを把握しようとしたり、子供が息苦しく感じるほどの連絡をとってくる。

 

かつ、それを嫌だと伝えても改善されない。

 

8.お金やプレゼントで子供を繋ぎ止めようとする

お金や物を与えるのが子供のためではなく親自身の欲求を満たすためである。

 

お金や物を与えることで、子供にとって親がなくてはならない存在になろうとしたり、子供をコントロール・支配しようとする。

 

9.子供の気持ちや要望を無視したり考慮しない

子供自身の趣味や考え、価値観には共感してくれず、親と同じ意見の時や同じ価値観の話しか聞いてもらえない。

 

「あなたのために」

「あなたを思って」

 

などの言葉で子供の意見を聞かずにいつも親が勝手に動いてしまう。

 

10.親と子の間の境界が曖昧である(子供を一人の人間として尊重しない)

子供に親と同じように感じることを求めたり、子供が親と違う価値観や意見を持つことを許さないような言動や無言のプレッシャーがある。

 

子供に親と一心同体でいることを求め、そのために子供を批判して無力感を植え付けたり、「あなた(子)なしでは生きられない」と罪悪感を抱かせたりする。

 

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【参考・引用文献リスト】

斎藤学(2015). 「毒親」の子どもたちへ メタモル出版

スーザン・フォワード(2015). 毒親の棄て方 娘のための自信回復マニュアル 羽田詩津子(訳) 新潮社

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山崎日菜乃

臨床心理士/公認心理師

心理系大学院在学中よりカウンセリング、フリースクールや児童養護施設の訪問、心理検査業務などを経験。夢だった中学教諭としての就職が決まるもうつ病を発症し断念。大学院修了後、うつ病治療に取り組みつつ臨床心理士と公認心理師の資格を取得。うつ病経験者の心理士としてお役に立てることを模索中

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  • 本記事は2021年10月24日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。