【臨床心理士解説】アダルトチルドレンの克服方法。手軽に始められる5つの方法
(質問)アダルトチルドレンの克服方法について教えてほしいです。通院やカウンセリング以外で日常生活で取り入れやすい、手軽な方法などぜひご紹介してほしいです。
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※アダルトチルドレンは診断名ではなく医学的な概念ではありません。
アダルトチルドレンの回復のプロセス
「アダルトチルドレン」という言葉は医学的な診断名ではなく、機能不全家族の中で心に傷を負って育ち、そのために日常生活の中で人間関係などに生きづらさを感じている人たちのことを指す言葉です。
アダルトチルドレンの特徴を持つことで、二次的に精神的な苦痛や障害を生じやすくなることがあります。
アダルトチルドレンの回復のプロセスとして、
自分の子供時代に喪失したもの、あるいは理想化した親の喪失を認め、
それを受け入れる作業を通し、
自分の感情(怒りや悲しみなど)を表現することも必要とされています。
安全な場所・人に心理的な欲求を満たしてもらうことで自己を癒しながら、自分の中にある、培われてきたあなたを苦しめる信念などに気づき、新しい考え方やスキルを習得していきます。
日常生活の中で耐えがたい苦痛や困難さがある場合には、通院やカウンセリングなどを利用して専門家とともに克服を図っていく必要がでてくることもあります。
自分で手軽に始める方法は?
一方で、通院やカウンセリングってほどではないけれども、自分がアダルトチルドレンなのではないかと感じ、なにか心に引っかかっていることやお困りごとについて「なんとかしたい」と考えておられる方もおられると思います。
通院やカウンセリング、当事者会への参加以外で、日常生活で取り入れられそうなアダルトチルドレンの克服方法として、以下のような方法が考えられます。
①気づいてあげる
なによりも、あなたのなかでの生きづらさ、苦しくなることを認めてあげてください。
「こんなときにはこんな風に苦しくなるんだ」
「こういうときにはこういう不安に襲われてしまうんだ」
などといったように、善悪の判断抜きに、それとしてまずは受け入れてあげてほしいのです。
いいことや悪いことという価値判断は、案外自分の中の普通や価値観の影響を受けていて、他の人とは異なったり、じっくりと考えてみたら案外そうだと思っていたことが実はそうでもなかった、ということも少なくありません。
価値判断を抜きに、まずは生の自分の心の声を聴いてあげてください。
あなたが苦しいと感じれば苦しいのですし、辛いと感じたらそれは辛いのです。
人と比べたり、「そんなはずはない」とあなたの気持ちを否定される必要はありません。
まずは心の声に耳を傾けてあげることで、あなたが本当はどんなことがいいのか、嫌なのかなど、知っていくことが出来ます。
それに気づくことで、苦しさや辛さを回避したり和らげていくための方法を考えていけるようになっていきます。
②安心できる人と話をする
あなたの身の回りに、あなたが安心してお話が出来る人はいますか?
アダルトチルドレンの方は他者と親密な関係を結びづらい特徴があることも少なくないため、なかなか難しいかもしれません。
親身になって話を聴いてくれる、あるいはこの人になら話してもいいかも、と思えるような人がいる場合には、その人に胸の内を聴いてもらうのもいいでしょう。
あるいは、SNSも大変に普及していますから、同じような境遇の人の話を読んだり、慎重に見分ける必要もあるかとは思われますが、安全な場所であれば自分も相談をしたりしてみることもいいかもしれませんね。
こどもの頃に満たされなかった気持ちを少しずつ満たし、他にも仲間がいることを知り、自分は一人ではない安心感を抱けるようになることはとても大切なことと考えられます。
③安心できる場所で過ごす
仕事や学校以外でも、参加しているコミュニティなどで、あなたが安心して過ごせるような場所はありますか?
心が落ち着いて、リラックスして過ごせる場所はあなたの心の支えとなりえます。
音楽の場所、ボランティアの場所、スポーツの場所…どんなところでも構いません。
そういった場所の中で、活動することで心を満たしたり、あるいは可能な場合には自分自身について少しずつ振り返ってみたり、どんなことで苦しくなるのか考えてみるなど、少しあなたの心の声に耳を傾けてあげてもいいですね。
ただし、あまりにも辛くなる過去がある場合には、一人で振り返ると気分が悪くなる場合がありますので注意が必要です。
④現在のあなたと過去とのつながりを考える
②や③のような場面でやってみると、一定の安全が確保されているのでより安心して行いやすいかと思います。
今のあなたの生きづらさや困っていることは、過去のどんなことに関係していると考えるか、どんな気持ちがあったか、など、自分の中で喪失したものや感情を解放してあげることは、アダルトチルドレンによる困難さや生きづらさを和らげる方法として大切なポイントとされています。
ただし、②と同様にあまりにも辛くなる過去がある場合には、一人で振り返ると気分が悪くなったり混乱してしまう恐れがありますので注意が必要です。
その場合には、専門家と一緒に取り組まれることをお勧めします。
⑤ひとりでも出来る認知行動療法に取り組む
現在ではネットや書店でひとりでできる認知行動療法について紹介されているものや、付録のワークがあります。
そういったものを活用して、自分が辛くなる場面や状況を振り返り、客観的に見つめなおすことで、あなたを苦しめる考え方を見つけ、苦しさを和らげるための新しい行動や考え方を見つけ、身につけていくことも期待できます。
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【参考】
・こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳 大野 裕(著)
・発達障害とトラウマ 杉山 登志郎
・毒親概念の倫理1 ―自らをアダルトチルドレンと「認める」ことの困難性に着目して
高倉 久有 ・ 小西 真理子
・サブシステムに着目した家族機能とアダルトチルドレン傾向との関連について 井村 文音
松下 姫歌
・家族機能認知とアダルト・チルドレン傾向 諸井克英
ほか、臨床経験と講義資料より構成
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2023年4月23日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。