「精神疾患を理解しない人はいる」うつ病を4度経験した精神科院長が伝えたいこと
「精神疾患なんて甘えだろ」
「やる気がないだけじゃないの?」
精神疾患に対して、そんな理解のない言葉をぶつける人も、悲しいけれど確かに存在します。そんな人に会ったとき、どう対応すればいいの?ぐっと我慢して、気持ちを押し殺すしかないの?
モヤモヤした疑問をどうにか解決したいと思い、今回は精神科院長の岡本先生に、詳しいお話を聞いてきました。
岡本先生は、ご自身も4回うつ病を経験しています。精神疾患を理解しない人の接し方に加えて、病気になったときのおすすめの考え方、精神科を受診するときの心構えなど、たっぷり教えていただきました。
【岡本浩之(おかもと ひろし)】
埼玉県「北本心ノ診療所」の院長。中学、高校、大学、社会人時代に、自身も4回のうつ病を経験。精神科医として診療を行うとともに、心の不調に悩むスポーツ選手のサポートもしている。
〈インタビュアー くまのなな〉
目次
「精神疾患は甘えだ」と言う人には、どう対応すればいいの?
昔と比べて、精神科医に相談しやすい環境になってきたのは確かだと思います。当院でも、昔だったら自分だけで抱えて我慢していたようなことでも、相談に来ていただけることが増えました。
精神科の敷居が下がって、入りやすくなっているように感じますね。
岡本先生が院長を務める「北本心ノ診療所」の外観。とても綺麗で、マンションのような入口です。
支え合うことが少なくなって、精神的に崩れやすくなっている。
例えば、「仕事に行きたくない」と言っている人がいたとして、うつ病の人の「仕事に行きたくない」は、健康な人の「行きたくない」とはレベルが違うんです。
「そんなわけないだろ!」って言いたいですけどね。
その負担を受けた人が、「精神疾患って言ったもん勝ちじゃん」と不満を溜めてしまう場合があるんです。
ただ、「全部を理解して支えてあげましょう」となってしまうと、周りの人にとって負荷になって、精神疾患のイメージがマイナスになってしまいます。
「病気はこういうものだ」と知ってもらった上で、どこまで自分で対応できるのか、どんなときに助けが必要なのか、そのラインを伝えるようにしましょう。
例えばなんですけど、お子さんがうつ病で、お母さんはうつ病の症状を理解しようとしているのに、お父さんは「うつ病なんて気の持ちようだ!」と否定的な家庭ってあると思うんです。同じグループというか、コミュニティで、考え方が割れているような…。
「残念ながら、珍しいことではないんです」
できるなら、「どうしてそんなに理解しようとしないのか?」と、相手の言い分を聞くところから始めるといいですね。甘えだと思うようになった背景が、きっとあるはずなので。
くまのさんが言っていた場合だと、お子さんのうつ病を理解しているお母さんが、お父さんと話をしてみるといいと思いますよ。
あとは、どれだけ対話しても、理解してもらえない人はいますから。どう頑張っても理解されないのなら、「じゃあ、家ではこういう役割をお願いするね」など、ある程度は割り切ることも大切です。
意見を対立させていがみ合うよりは、お互いが納得できる落としどころを探してほしいですね。
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- 本記事は2019年7月29日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。