うつ病や統合失調症の家族会とは?概要や事例を社会福祉士が解説

2017.01.19公開 2019.05.16更新

家族会の支援内容

家族会の発足は、今から約40年以上前。

 

当時は精神疾患についての理解が浅く、彼らを支える家族の悩みを相談する場所がほとんどなかったと言われています。

 

そんな中、一部の病院や保健所が家族のための学習会を開いたことが、家族会が広まるきっかけでした。

 

今では、家族会の種類も多岐に渡り、家族同士が語り合う機能や情報交換の場という「相互支援の役割」、家族の病気に関する知識を学んだり、活用できる制度を知ったりという「学習的役割」、社会資源の開発や作業所運営、広報・啓発活動などの「社会的運動の役割」を主に行っています。

 

家族会が開催される場所も、医療機関の一室や市町村の会議室、家族自らが立ち上げた作業所内などで展開されています。

 

開催頻度は、月に1~2回という場合が多いようです。

 

 

家族会の費用

家族会の費用は、多くの場合、高価な額を必要とすることはありません。

 

無料で行われることもありますし、会員同士が少額のお金を積み立て、その中から運営される場合などがあります。

 

 

家族会の利用方法

家族会は、病院自体が運営しているものもあれば、個人が運営しているものもあるため、気になる家族会の情報を得たら、その運営母体や担当者に連絡を取り、参加方法や詳細を確認しましょう。

 

もし、どこから手を付けていいか分からないときは、当事者のかかりつけの病院の主治医に尋ねてみたり、市役所などで情報収集をしてみたりすると見つけやすいと思います。

 

また、家族会に参加するには、以下のような書類が必要となることがあります。

 

ですが、各運営団体によって、書類の呼び名や揃えるものは異なる場合があります。

1.家族会参加申込書

2.家族に対して悩んでいる事柄を記載する相談シートなど

家族会の事例

Aさん 20代女性 姉が統合失調症

Aさんには、統合失調症を抱えている姉がいます。今まで家族と離れて1人暮らしをしていたため、Aさんは、姉のことにはほとんど携わっていませんでした。

 

ですが、転勤のため、Aさんは地元に戻ることになり、姉と一緒に実家で暮らすことになりました。

 

Aさんの姉の病状は、いつもは落ち着いているのですが、時々意味不明な言葉を叫んだり、シーツを部屋から大量に運びトイレの便座に入れたりして、トイレを故障させるなどの突破的な行動を取ることがありました。

 

Aさんは、「姉が病気のせいでこのようなことをするのだろう」ということは知りながらも、長年離れて暮らしていた姉の言動に対して、どう接して良いか分からず悩んでいました。

 

また、姉に良かれと思って言ったことが、姉の気持ちを傷つけることもありました。

 

両親は姉の状況に対して上手く対応していたため、Aさんは両親にアドバイスを乞うこともありました。

 

それにより、随分姉へ対する対応が把握できたAさんですが、両親以外にも姉のことについて相談したり、アドバイスを受けたりする機会が欲しいと思うようになりました。

 

そのことを両親に相談したところ、両親が定期的に参加している家族会に今度出席してみてはどうかということだったので、姉のかかりつけの病院で開催されている家族会に参加。

 

Aさんの姉のような家族を持つ参加者がそこにはたくさんおり、Aさんは姉の病状についての理解や悩み、不安などについて打ち明け、同じ状況にいる参加者から色々なアドバイスをもらいました。

 

心が穏やかになったAさんは、月に1度の家族会に定期的に参加するようになり、今では個人的に姉のことを相談できる仲間もできました。

 

 

家族会の注意事項

家族会は、全国で1600にのぼり、各都道府県に設置されている言われていますが、どうしても都心に偏りがちな点があります。

 

そのため、地方に住んでいる方は、家族会が県内にあっても自宅から遠方で通うだけでも大変だという問題も出てくるでしょう。

 

その場合は、個別に医療スタッフなどに相談をすることもできると思いますので、尋ねてみて下さいね。

 

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久木田みすづ

精神保健福祉士・社会福祉士

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2017年1月19日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。