パニック障害の原因はセロトニン?すぐできる3つの対処法を臨床心理士が解説
手軽にできる対処法は?
セロトニンは脳内物質ですから、コントロールするには薬や生活習慣の改善が必要になります。
しかし、パニック障害の症状に対して、薬でなければ対処できないというわけではありません。
そこで、パニック障害に対して手軽にできる対処法をご紹介したいと思います。
不安思考を見つめなおす
パニック障害に悩まされている人は、その多くが「また発作を起こしたらどうしよう」という不安を持っています。
実は、この不安こそがパニック障害の最大の要です。
「また起こったらどうしよう」という不安思考があなたの心をさらに追い詰めパニック発作を起こしやすくしているのです。
そこで普段から、自分にこんな風に質問してみましょう。
めまいがして倒れてしまうかも
→「めまいがすると、100%倒れてしまう?」
電車に乗ったら、また発作が起こるかも
→「電車=発作の起こる場所と思ってしまってない?」
このように、あなたの不安に対して、あまりにも過剰に心配しすぎていないか見直してみましょう。
多くの方が、一度起こしたパニック発作に対して、過剰に不安を感じすぎてしまい、また発作を起こすというループに陥りがちです。
考え方を変えるには継続的な訓練が必要です。
主治医の方や家族の方にも協力してもらい、「不安に思いすぎていないか」少しずつ考えていくことで、余分な不安を感じる必要がないことに気づくことができれば、パニック発作の回数の減少にもつながります。
不安な状況や場所に向き合う
初めてパニック発作を起こした状況や場所をできるだけ避けようと考えてはいませんか?
実は、こうして特定の物を避け続けたり、精神安定剤になるものを持ち歩く癖をつけすぎてしまうと、本当にその場所で発作が起きやすくなってしまいます。
パニック障害の克服に必要なのは、「避けたい」と感じる状況や場所に少しずつ向き合っていくことです。これはエクスポージャー療法とも呼ばれます。
まずはあなたが不安を感じるもの、場所、状況に、不安の大きさで順位をつけましょう。そうして、不安感が少ないものから克服していきます。
例えば、
「電車(人が多く密集している)に乗るのが怖い(100点)」
「人が多い場所が怖い(50点)」
「下痢止めを常に持っていないと落ち着かない(20点)」
だとしたら、まずは点数の低い下痢止めを持ち歩くことをやめることから始めます。
一週間に一度は、下痢止めを持たずに散歩に出てみて、だんだん回数や距離を多く長くしていくのです。
薬を持ち歩かなくても不安を感じずに出歩けるようになったら、今度は人は多いが密集していない広場などに行ってみる…
といったように、少しずつ不安を感じる場所や状況と向き合い克服していくことで、発作の回数を減らしていくことができます。
ただし無理は禁物です。無理をしたら逆に症状が悪化しかねませんから、主治医の方や周りの人と一緒によく考え、ブレーキ役を作っておくとよいでしょう。
正しい呼吸法を身に着ける
パニック発作が起こると動悸や身体の震えなどだけでなく、過呼吸症状が出ることもあります。
過呼吸になるとうまく息ができず、より「死んでしまうかも」という不安が高まって悪循環になってしまいます。
そこで普段から、正しい呼吸法を意識して身に着けておくと、過呼吸に陥ったときにも対処しやすくなります。
まずはあなたが普段どんな呼吸をしているのか調べてみましょう。
1分間に何回呼吸しているか、息を吸ったとき胸が膨らむか腹が膨らむかなどをリラックスした状態で調べてみてください。
ここでいう正しい呼吸法とは、いわゆる腹式呼吸です。お腹の横隔膜を使った呼吸は深くゆったりしています。
反対に、胸で呼吸をしている人は呼吸が浅くなりがちなので、意識してお腹を使った呼吸法を身に着けるとよいでしょう。
練習方法はいろいろとありますが、人間は寝ているときは必ず腹式呼吸になるので、まずは仰向けに寝てお腹に手を当て、腹式呼吸の感覚をつかんでみましょう。
それから、座っているときや立っているときにも、寝ているときと同じように、お腹が膨らむ呼吸ができるように意識してみると、過呼吸などで呼吸が乱れた時にも、意識的に腹式呼吸に戻していくことで、症状を抑えることができます。
自分のペースで症状と向き合う
今回はパニック障害に関わるセロトニンのお話と、手軽にできる対処法をご紹介しましたが、治療は自分のペースでゆっくりと進めていくのが一番です。
また、薬を使った治療や、精神療法なども有用ですので、主治医の方や家族の方と話し合い、自分に合った対処法を実践するようにしましょう。
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- 本記事は2017年3月1日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。