日常生活自立支援事業とは?対象・支援内容・費用・利用方法・事例を専門家が解説

日常生活自立支援事業とは?

地域で生活していると、生活上の悩みや福祉制度の手続きなど、自分自身で行うことは不安な物事が出てくることかと思います。

 

また、周りに代行してくれる家族や友人がいない場合は、なおさらです。

 

そんなとき、当事者に変わって、生活に必要なサービスや手続きをしてくれるのが「日常生活自立支援事業」です。

 

覚えておくと便利なサービスなので、一緒に学んできましょう。

 

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日常生活自立支援事業の対象

日常生活自立支援事業を利用できる方は、以下のとおりです。

 

・精神障害や知的障害、身体障害を抱えている方で、日常生活を営むためのサービスの利用や選択、判断などを適切に行うことが困難な方

 

・日常生活上のサービスの利用や選択、判断をするのに困難であるが、日常生活自立支援事業の契約を行い、利用をすることに対しての判断能力を持っている方

 

 

日常生活自立支援事業の支援内容

日常生活自立支援事業の実施主体は、各々の県や指定都市の社会福祉協議会です。

 

上記対象者に対して、福祉サービスの利用や書類上の手続きの援助や預貯金の振り込みや支払い、解約などを行います。

 

また、日常生活に必要な金銭管理の手助けも援助内容に含まれます。

 

さらに、苦情解決に関する支援を行ったり、対象者の生活に対する見守りをしたりするために、定期的に訪問を行いながら、対象者の生活の変化を把握する手助けをしています。

 

 

日常生活自立支援事業の費用

費用は、各自治体が定める利用料を支払うことになります。利用料は、自治体によって異なりますが、1回の訪問にあたり、1200円程度となっています。

 

 

日常生活自立支援事業の利用方法

日常生活自立支援事業のサービスを利用したい方は、主治医がいる場合は、まず彼らに相談するか、最寄りの社会福祉協議会へ連絡することから始めましょう。

 

いずれにせよ、相談窓口となっているのは社会福祉協議会のため、担当職員から以下のようなことが尋ねられます。

 

・利用者がどのようなサービスを希望しているかや生活状態について、詳しく質問される

 

・利用者本人が日常生活自立支援事業が提供するサービスについて理解し、契約内容について判断能力があるか

 

これらのことを利用者が判断できると認められたら、利用者の希望に沿った(何をしてほしいのか、週に何回訪問してほしいのかなど)支援計画が作成され、サービスが開始されます。

 

 

日常生活自立支援事業の事例

【Aさん60代男性】双極性障害・軽度知的障害

Aさんは、かかりつけの精神科病院に通院治療を続けながら、週に3回程度、生活リズムを整えるためにディケアに通所しながら生活をしています。

 

しかし、最近加齢の影響で、物忘れが以前より増すようになりました。

 

高齢の両親とともに暮らしているAさんは、今後のことを心配しており、自分が利用している福祉サービスの手続きや金銭管理をサポートしてくれる人がいれば心強いと考えるようになりました。

 

Aさんは、ディケア活動での個人面談の際に、スタッフにこの悩みを打ち明けました。

 

ディケアスタッフは、主治医も交えて今後のことについて話し合ってみることを提案。

 

後日、Aさんと主治医、ディケアスタッフでの話し合いの場が持たれ、日常生活支援事業のサービスを利用してみてはどうかという話に行きつきました。

 

このサービスを知らなかったAさんのために、主治医とスタッフが、福祉サービスの手続きを代行してくれたり、金銭管理への相談などを行ってくれたりするものだと説明すると、今の自分に適切だろうということで、Aさんも喜んで同意しました。

 

その後、主治医やスタッフの協力とともに、社会福祉協議会へサービスの申請を申し出たAさん。担当職員とAさんの希望を話し合い、彼の生活状態も把握しながらアセスメントが進められました。

 

しばらく経た後、Aさんのための支援計画書が作成されました。

 

その計画書には、Aさんが受けている福祉サービスの更新日が近づいてきたら、Aさんにその旨を伝え、希望があれば代行申請をすること。

 

加齢などによって生活に不自由な物事が出てきたときは、それをサポートするサービスを紹介すること。Aさんの希望に沿った金銭管理への助言をすることや、彼の相談や支援をより明確なものにするために、2週間に1度、自宅に訪問するという事柄が盛り込まれました。

 

それを見たAさんは、このようなサービスを受けることができれば安心することができると安堵していました。

 

また、彼の両親も今まで行うこともあったAさんのサービス更新の手続きなどを支援してくれれば助かるということで、同意を得ることができました。

 

Aさんは、今までの通院治療やディケア通所に加えて、日常生活自立支援事業というサービスを利用することができるようになったため、抱えていた不安感も随分と軽減されるようになっています。 

 

 

日常生活自立支援事業の注意事項

日常生活自立支援事業は、障害を抱えているために自分自身で金銭管理などを行うことが困難な方を対象としていますが、サービスを利用しているという理解や契約内容を認識している人のみに限られます。

 

それらの判断能力がない方の場合は、このサービスは利用できません。

 

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久木田みすづ

精神保健福祉士・社会福祉士

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2017年9月17日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。