生活訓練(自立訓練)とは?対象・プログラム・利用方法・事例を専門家が解説

 
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生活訓練(自立訓練)とは?

長い間、精神科病院に入院していたり、施設に入所したりしていると、日常生活に必要な能力が低下しがちになることがあります。

 

しかし、退院や退所をして地域社会で生活するようになれば、家事や入浴など身の回りのことを自分でしなければならなくなるため、不安な方も多いですよね。

 

そんな悩みを抱えている方は、自立した生活のための訓練を担ってくれたり、相談を受けてくれたりするプログラムを利用してはいかがでしょうか?

 

ここでは、このような希望を叶えてくれる生活訓練についてお話します。

 

 

生活訓練(自立訓練)の対象

生活訓練のサービスを利用できる対象者は、以下のとおりです。

 

・精神疾患を抱えている方や知的障害を持っている方

・上記のような障害を持ち、地域社会で生活を営むうえで、生活能力向上や維持を行う必要がある方

・精神科病院や施設を退院、退所した方で、生活能力の向上や維持を必要とする方

・特別支援学校を卒業した方または継続して通所している方で、症状が安定しており、上記のような能力の向上や維持を目指すことが必要な方

 

 

生活訓練(自立訓練)のプログラム

生活訓練とは、自立訓練とも呼ばれ、障害者施設や利用者の居宅などで日常生活を送るための必要な訓練を行うプログラムです。

 

たとえば、入浴や排せつなどの基本的なものから、家事などを含めた地域社会で生活するうえで必要な訓練とともに、利用者のADLを向上させることをサポートするものです。

 

また、日常生活に必要な訓練の提供だけではなく、利用者が毎日を過ごすうえでの相談や助言の役割も担います。

 

この手順を踏んでいくことで、利用者が地域社会に定着して過ごすことができるよう支援していきます。

 

 

生活訓練(自立訓練)の費用

利用者は1割負担で、生活訓練のプログラムを受けることが可能です。

 

ただ、家事訓練の際の食費や光熱費などは実費負担になることがあります。

 

 

生活訓練(自立訓練)の利用方法

生活訓練のサービスを利用したい方は、まず最寄りの市役所に申請を行います。申請後、市町村の担当職員が利用者を訪問し、本人の希望や現状の把握を行います。

 

また、計画案を作成する指定特定相談支援事業者の担当者も訪れ、希望するサービスなどの聞き取りをします。

 

その後、指定特定相談事業者が利用者のサービス等計画案を作成し、市町村に提出します。

 

その計画案がふさわしいと認められれば、サービス利用決定通知書と、受給者証が利用者に送付され、再度計画案の調整を行いながらプログラムが開始されます。

 

 

生活訓練(自立訓練)の事例

【Aさん 40代女性】統合失調症・軽度知的障害

Aさんは、20歳の頃統合失調症を発症し、もとも軽度な知的障害もあったため、家族も自宅ですべての面倒を見ることができないということから、長年入院治療をしてきました。

 

そのおかげで、入院時は活発だった幻聴や妄想も安定し、時々は自宅に外泊するなどして、自分と家族のペースを守りながら生活してきました。

 

しかし、Aさんが40歳になったとき、父親が身体を悪くし、Aさんが外泊の際の病院への送迎や自宅で彼女の面倒を見ることが困難になりました。

 

Aさんには母親もいますが、父親の通院への付き添いなどで、すべての時間をAさんに費やすことが難しくなったのです。

 

そのため、月に1回程度自宅に外泊していたAさんは、3ヶ月に1回程度の外泊しかできなくなりました。

 

この家庭の変化に、将来のことが不安になったAさんはそのことを主治医に相談。

 

自分の身の回りのことは、少しでも自分でできるようになりたいとのことでした。

 

ちょうどAさんが入院していた病院には、生活訓練を実施している施設が併設していたため、主治医はAさんに「簡単な家事を身に着ける訓練をしてはどうか」と生活訓練のプログラムを受けることを提案。

 

Aさんも家族も同意したため、市町村に早速申請を行うこととなりました。

 

市町村の担当職員や指定特定相談事業者の職員がAさんを訪問し、彼女の希望や現状などを把握。

 

ゆくゆくはAさんが施設の中だけではなく、実際に自宅でも生活訓練を行いたいとの希望があることを悟った担当者は、サービス等計画案にそのプランも盛り込むことにしました。

 

知的障害も持っているAさんは、環境が変化すると物事を覚えられなかったり、失敗が多くなってしまっていたので、自宅に外泊したときにでも自宅にある物を使い、身の回りのことを行うことに慣れた方が良いと感じたからです。

 

そうすることで、Aさんが父親や母親に手をかけることが少なくなれば、家族全体の負担も軽減していくことでしょう。

 

その後、作成した計画案が認められ、Aさんは生活訓練のプログラムを開始することになりました。

 

まずは、家事の基本を習得するために、病院併設の施設で練習に励んでいます。

 

 

生活訓練(自立訓練)の注意事項

生活訓練のサービスを受けることができる期間は、原則として2年間です。

 

しかし、病院や施設に長期入院や入所していた場合は、3年間の利用が可能となります。

 

また、サービスの途中で在宅生活に移った場合でも、6ヶ月以上相談援助を受けることができます。

 

 

Misudu Kukita【執筆者】

久木田みすづ 精神保健福祉士 社会福祉士

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