【臨床心理士解説】愛着障害・回避型の5つの特徴とは?口癖は、面倒・コスパ?

2023.06.05公開 2023.06.08更新

(質問)昔から親友と呼べる人がおらず、一人でいることが楽なこともあり、友達作りも苦手なまま大人になりました。色々調べる中で、回避型の愛着障害という存在を知りました。そこでこの回避型の愛着障害についてわかりやすく教えてほしいです。

 

(回答)1人でいることが楽だと感じているものの、人との関わりを自分の生活から完全に排除することができないために生き辛さを感じている回避型の人も少なくありません。

 

また、現代ではこの回避型の愛着障害を抱える人が激増している、とする専門家の声もあります。

 

愛着障害の回避型の人には以下のような特徴があります。ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

【関連記事】

>>【臨床心理士解説】アダルトチルドレンの特徴…6つのタイプと機能不全家族との関係

>>【臨床心理士解説】愛着障害・不安型の3つの特徴、根本にある欲求とは?

>>【臨床心理士解説】愛着障害の恐れ・回避型の3つの特徴とは?原因は親子関係?

>>【臨床心理士解説】愛着障害の原因とは?背景にある4つの親の態度とは?

>>【臨床心理士解説】愛着障害の克服は大人になってからも可能?回復のステップとは?

 

人と親しい関係になることが負担

そもそも人と親密な関係になりたいと思わず、むしろ一人でいる方が好き、誰かと親しくなるのは「面倒くさい」と感じがちです。

 

休日は一人でのんびり過ごしたり、ショッピングや映画、外食なども基本的に一人が好きです。

 

新しい場所(職場や学校)では、誰かに話しかけられると無下にもできず(明確にお断りするのも面倒くさいから)、

 

ランチに誘われたりすると「本当は一人で食べたいんだけどな」と思いつつも表面的には仲良くすることもありますが、必要以上にプライベートには踏み込ませず、踏み込まれると負担に感じます。

 

家庭・子どもを持ちたがらない

「結婚して子どもを持つのはコスパが悪い」

この言葉は実際に回避型の愛着障害の診断を受けた方の言葉です。それも一人ではありません。

 

結婚をした場合の、結婚式や新生活の準備にかかる費用、それに子育てにかかる費用を考え、一人で生きている方が「コスパが良いから1人が良い」という意味です。

 

家族を持つことの精神的な繋がりといった面は、回避型の愛着障害をもつ人にとっては重要ではないため最初から考えに入っていない可能性もあります。

 

結婚や子育てをネガティブなものとして受け止めがちで、「お付き合いはしてもいいけど結婚は嫌です」という考えを持つ方もおられます。

 

相手の気持ちに鈍感

普段から人と積極的にかかわろうとしないため、そもそもコミュニケーションの機会が通常よりも少なくなります。

 

その経験不足と他人への関心の低さのために、相手の表情から気持ちを読み取ったり、言葉の微妙なニュアンスから言葉の裏にある意味を見つけることがとても苦手です。

 

相手の気持ちに共感することもあまりないため、人から相談をされたときに見当違いな返答をすることもあります。

 

そのため知らず知らずに相手を傷つけてしまったり、怒らせてしまうこともあります。

 

時にはその特徴が発達障害と誤解されることも。

 

責任を負いたがらない

この特徴は、特に職場で現れることが多いものです。

 

仕事の責任を負うことが嫌なため、出世に強いストレスを感じます。

 

できれば誰かの指示で(誰かの責任で)言われたことを淡々とこなしていく方が性に合っていると感じるため、自ら正社員になることを拒否して契約社員やアルバイトで生計を立てること好んでいる場合もあります。

 

また、責任を負いたくないため、新しいことにチャレンジすることにも消極的です。現状に特段の不満が無ければ、向上することを目指して意欲的に活動することは基本的にありません。

 

傷つきそうなもの(場面)を避ける

特に対人関係において、自分が傷つく可能性のある場面を徹底的に回避しようとします。

 

例えば恋愛においても、

「Aさんのことは好きだけれど、告白して振られると傷つくから言わない」

 

「Bさんはたぶん私のことが好きだけど、絶対とは限らないから自分からは何もしない」

といったように、受け身的な恋愛をすることがしばしばあります。

 

本音を言わない

誰かと分かり合おうとせず、むしろ人と分かり合うプロセス自体を「面倒くさい」とさえ思っていることがあります。

 

意見が衝突そうなときや話し合いが必要そうな場面になると、本音を明かすよりも建前や表面的な言葉だけを伝えて身を引くこともしばしば。

 

回避型の愛着障害を持つ人は、「分かり合う」ということをとても荷の重いことに感じるという特徴があります。

 

さいごに

回避型の愛着障害を持つ人には以上のような特徴があります。

 

人間関係を回避する傾向が強いため、誰かと大きなトラブルを経験せずに日々を過ごしている人もおり、親密な人間関係を誰とも築いていないとしても自分自身では特に困っていない、という人も少なくありません。

 

一方で、この回避の傾向が強いために社会に出ることが億劫でひきこもりになってしまう、というケースもあります。

 

もしも上記の特徴によって過度に生き辛さを感じていたり、日常生活に大きな支障が出て困っているという場合には、一度心の専門家に相談してみるのも手です。

 

【関連記事】

>>【臨床心理士解説】アダルトチルドレンの特徴…6つのタイプと機能不全家族との関係

>>【臨床心理士解説】愛着障害・不安型の3つの特徴、根本にある欲求とは?

>>【臨床心理士解説】愛着障害の恐れ・回避型の3つの特徴とは?原因は親子関係?

>>【臨床心理士解説】愛着障害の原因とは?背景にある4つの親の態度とは?

>>【臨床心理士解説】愛着障害の克服は大人になってからも可能?回復のステップとは?

 

【参考文献】

〇岡田尊司(2011):愛着障害 光文社

〇岡田尊司(2013):回避性愛着障害 光文社

〇岡田尊司(2016):愛着障害の克服 光文社

〇愛甲修子(2016):愛着障害は治りますか? 花風社

〇中野日出美(2019):それは、“愛着障害”のせいかもしれません。 大和出版

〇米澤好史(2022):愛着障害は何歳からでも必ず修復できる 合同出版

シェア
ツイート
ブックマーク

福丸みお

臨床心理士/公認心理師

臨床心理士・公認心理師。大学院修了後、精神科やメンタルクリニックにてカウンセリング業務やデイケア、生活相談等に従事。心の病から日常生活での悩みまで幅広く対応し、多くの相談者の心に寄り添う。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2023年6月5日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。