心が痛くなるのはなぜ?メカニズム・5つの対処法を臨床心理士が解説
どんなときに心が痛いと感じる?
群れや集団からの疎外感
人間は、大昔から「群れ」として生活してきました。
そして群れに適応できるかどうかによって、その個体の生存率が大きく左右されました。
そのため、「群れに適応できていない=生存率が下がる」ことを、いちはやく察知する必要がありました。
そういった経緯から、私たちの脳は、
集団や組織に属せていないように感じると「心の痛み」を覚える
と言われています。
このことは仕事、恋愛、友人関係など、どんな領域においても同じです。
例えば、
・「失恋した」「同僚から無視される」というように個人や集団から拒絶されたように感じる場合
・「クラスになじめない」「新しい部署の雰囲気が苦手だ」というように孤独を感じる場面
などでも、心の痛みは現れてきます。
誰かが拒絶されていることへの共感
また、「誰かが拒絶される」ような場面をみて、自分のことではないのに心が痛く感じる場合もあります。
これは「共感」によるものであり、あたかも自分が拒絶されるように感じるために心が痛むわけです。
大まかにまとめると、心の痛みは、
「個人や集団にストレスが生じることで感じる」
と言い換えることが出来るかもしれません。
心が痛いときの対処法5選
それでは、心の痛みを軽減するために私たちができることはあるのでしょうか。
一緒に考えてみましょう。
「泣く」などして感情を解放する
体に傷がついたら、消毒をして、傷がそれ以上悪化しないよう手当をすると思います。
「心の痛み」も、これと同じです。
泣きたい気持ちであればたくさん泣き、苦しい気持ちであれば誰かに聞いてもらいましょう。
「泣きたいのに涙が出てこない」というときは、あえて悲しい映画を観たり、音楽を聴いたりして「意識的に泣く」ことも良いでしょう。
「泣く」という行為自体が、心のデトックスになるようです。
気分が落ち着いてくるかもしれません。
丁寧な食事と十分な休養
つらい気持ちの時ほど、食事や睡眠といった日課が乱れてしまいがちです。
・食事を作る気力がわかない…
・暗い部屋でベッドに入ると心細くなってくる…
そんな状態になってしまうからかもしれません。
その一方で、メリハリのついた生活リズムは、自律神経の働きを整えて心身をラクにしてくれることが分かっています。
しんどい時ほど食事をしっかりとり、きちんと体を休めることが回復への近道のようです。
アロマを焚いたり好きな音楽を聴いたりして、リラックスできる時間を持つのも良いと思います。
心を許せる人と触れ合う
親密な人と時間を共有することも有効です。
自分自身の居場所を実感することで、孤独な気持ちが和らいでくるでしょう。
また、楽しい時間を過ごすことはストレス発散にも繋がります。
一人でいるのがつらいときは、無理のない程度に、親しい人と電話をしたり食事をしたりしてみると良いかもしれません。
好きなこと、得意なことをする
人の脳は、良いことよりも悪いことの方に焦点を当てやすいと言われています。
ですので、心が沈んでしまうときはポジティブなことを生活に取り入れて、脳のモードを切り替えるよう心掛けてみましょう。
自分の好きなことや趣味の活動をするのもいいですし、得意なことをして自信をよみがえらせることも、元気を取り戻すきっかけになると思います。
意識を内面から外界へ
つらい気持ちや苦しい思いを抱えているときは、どうしても自分の内面に注意が向いてしまいがちです。
そんな時は意識的に外界へ注意を向けるようにすると、落ち込んだ気分が軽減してくることがあります。
この機会に、きっかけがなくて始められなかったことや前からやりたかったことに挑戦してみるのはいかがでしょうか。
・資格の勉強する
・行ってみたかった場所を訪ねる
・新しい習い事を始める
など、自分自身の可能性を広げることにどんどん取り組んでいきましょう。
つらい出来事が今後の糧になるかもしれません。
さいごに
「心の痛み」ということについて考えてきました。
心が痛むことを避けられない場面は、誰にでも訪れるものです。
渦中にいる時は耐えられないような気持ちになることもあるかもしれませんが、前を向く姿勢を忘れなければ、きっといつか霧が晴れてくるものと信じています。
その一方で、激しい痛みのあまり、日常生活に支障をきたす場合は、心の専門家の手を借りるのも選択肢の一つです。
無理を重ねすぎる前に、まずは気軽に相談してもらえればと思います。
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【参考】
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- 本記事は2018年12月11日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。