承認欲求が強い…特徴や原因・3つの対処法って?臨床心理士が解説

2018.12.14公開 2019.05.16更新

承認欲求が強い人の3つの特徴

承認欲求が強い人は、

・自分に自信がない、自分に価値があると思っていない

・自分に対する期待が大きすぎる

・結果に対する要求水準が高すぎる

という特徴があります。

 

なぜそういった特徴があるのか、心理学的背景を見ていきましょう。

 

 

承認欲求が強い原因とは?

①自尊心が低い

承認欲求には「他者承認」と「自己承認」があることを説明しました。

 

「他者承認」欲求が強くなる背景には「自尊心の低さ」が隠れていると考えられます。

 

例えば、子どものこんな仕草を見たことがありませんか?

・先生の顔色を見て、率先的に黒板の掃除をする

・親が喜んでくれるよう、頑張ってテストで100点を取る

こういった行動は、他者から認められることで、「自分が価値のある人間である」という自己評価、つまり「自尊心」を高めるために行っているのです。

 

子どもは、「他者承認」経験を蓄積していくことで、自尊心を成長させていっているのですね。

 

自尊心が低い人の行動って?

それでは、こういった経験が不足しており、大人になっても自尊心が低い人はどんな行動をとるでしょうか?

 

おそらく、

人から認められるために必死に周囲の顔色を伺い、

深夜まで飲み会に付き合ったり、

休日を返上して仕事に取り組んでいる…

のかもしれません。

 

大人になってもなお、他者から承認されることを求め、一生懸命自分自身の自尊心を高めようとしているのです。

 

②自分の能力や結果に対する期待が高すぎる

次に、「自己承認」欲求が強い原因を探っていきます。

 

この欲求の背景には「自分への期待値の高さ」が存在します。

 

あなたは、自分の生活を左右する重要なイベントに対してどんなモチベーションで臨みますか?

 

例えば、今季の給料に反映されるような営業強化月間があったとします。

 

その時、

A「必ず10社と契約して前期の2倍のボーナスを目指す!」

と思いますか?それとも、

B「前期と同じくらいのボーナスをもらえればいいから、2社と契約できるよう目指そう」

と考えますか?

 

Aは結果への期待値が高く、同時に「自分は10社と契約できる能力がある」という自分自身への評価も高い方と言えます。

 

一方のBは、結果と自分自身への期待値は「まあまあ」といったところでしょうか。

 

さて、この強化月間の結果、「4社と契約」が結べた場合、両者はどのように自己評価を行うでしょうか?

 

自分を高く評価しているAは「4社しか契約できなかった」というように「自己への評価が低くなる」、つまり自尊心が低くなります。

 

一方のBは「4社も契約をとれた」と「自分への評価が高くなる」、つまり自尊心が高くなります。

 

言い換えると、実現する結果よりも「自分への期待値」が高すぎる場合、自尊心が低くなってしまうのです。

 

その結果、「自分はこれでよいのだ」という自己承認欲求が満たされず、

ひたすらに承認を求める=承認欲求が強くなってしまう

と考えられます。

 

承認欲求と上手に付き合う3つの方法

他者から評価される経験を積む

もし承認欲求が強いようなら、自尊心が低くないか振り返ってみてください。

 

まだ先生の顔を伺い、黒板を消し続けていませんか?

 

もしくは、本当は持っていた高い自尊心を、大人になって失いつつありませんか?

 

あなた自身を本当に評価してくれる人(親、小さい頃から仲の良い友達)と過ごし、高い自尊心を取り戻しましょう。

 

結果に対する期待値を低める

仕事をしていると、日々結果を求められます。

 

この結果に対する期待値が高すぎると、毎回うまく結果を出せていればよいですが、そうでなければ自尊心が低くなっていってしまいます。

 

自分の能力に見合った適度な結果はなにか、見直してみましょう。

 

自分自身に対する期待値を低める

②と同様に、自分自身に対する期待値が高いとどんなに素晴らしい結果を出していても、

「これは自分の実力じゃない!」

と満たされない気持ちが続いてしまいます。

 

「生きてるだけでまるもうけ」とは極端な例ですが、自分への期待値を少しゆるめてみましょう。

 

ちょっとの成功で、とても幸せな気持ちになれるはずです。

 

 

さいごに

承認欲求の心理学的背景について、詳しく説明させていただきました。

 

自分に自信を持ち、他者に振り回されないことはストレスを減らす上でとても重要です。

 

少しでも皆様のお役に立てますと幸いです。

 

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広瀬絵美

臨床心理士

心理学の大学を卒業後、広告会社にて勤務。退職後、心理系大学院修士課程を修了し臨床心理士資格を取得。精神科病院にて従業員のメンタルヘルスケア業務に従事する。また、国立研究所にて職場組織や妊婦さんのメンタルヘルスに関する研究にも携わっている。理想的な「ワークライフバランス」を目指し、研究と実践の両面から支援を行っている。一児の母。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年12月14日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。