不登校の親ができること9選を臨床心理士が解説【怒るは逆効果】

2019.06.14公開 2019.09.10更新

不登校初期に親ができる3つのこと

1.学校との連絡を途絶えさせない

連続して休むようになってくると、学校の様子がわからなくなり、どんどん周囲から置いていかれるような感覚に陥ります。

 

何もせずにいると、授業のプリントやお便りなども手に入らなくなり、学校との距離も生まれ、学校復帰が遠のくばかりです。

 

こういった事態を避けるために、

最低でも週に一度はお子さんの家での様子を学校に伝えつつ、プリント類を取りに担任の先生に会いにいく

ようにしましょう。

 

授業が終わってからの夕方以降に、出来ればお子さんと一緒に職員室を訪れるのも一つです(夜間登校とも呼びます)。

 

しかし、お子さんに抵抗があるようであれば無理はさせず、親御さんだけでも結構です。

 

学校行事やテストの時だけ登校してみるということも出来ますので、よく担任の先生と連絡を取り、相談しあうようにしてください。

 

2.身体の状態を常にチェック

不登校傾向にあるお子さんの精神状態は大変繊細で傷つきやすく、また自責的でもあります。

 

ストレスから体調不良になる場合もあれば、みずから自傷行為(リストカット)に及んでしまう場合もあります。

お子さんの身体の状態には、常に気を配っていてください。

 

気になる症状がある場合(ストレス性の腹痛や喘息の悪化など)、対症療法的としてまずは小児科を受診することをお勧めします。

 

どこも異常はないのに身体の不調が続く場合は、思春期の子どもの対応をしてもらえる心療内科へ相談してみましょう。

 

3.少しでも学校に行ける可能性を探る

「学校へ行きたくない」と言っても、お子さんが「こういう形であれば学校に行けそう」と思える手立てや条件がみつかる場合があります。

 

保健室登校に代表されるような、「別室登校」がその代表的な方法です。

 

時間は必ず朝からでなくても良く、お子さんが「今なら行ける」と思えるタイミングで登校して、過ごせる時間だけ過ごします。

 

一般的なのは、30分~1時間程度からはじめて、給食の時間までとか、徐々に滞在時間を延ばしていき、放課後までいられるようになることも多いです。

 

給食の時間にはクラスの友達が「教室で一緒に食べよう」と呼びに来てくれることもあります。

 

教室に入ることが難しい場合、お友達が別室で一緒に給食を食べてくれたりすることもあります。

 

どのような過ごし方が良いかは、お子さん自身が決めて構いません。

 

教室にさえ入らなければ、登校できるケースは多くありますので、どういった条件であれば学校に行けるのかをまずは探っていきましょう。

 

 

不登校が長引いている時に親ができる3つのこと

 1.親子一緒に遊び、スポーツ、ゲームを楽しむ

学校を休んでいるからといって、ずっと家で自習していなければならないなどということはありません。

 

今は疲れてしまった気持ちの回復に徹するときであると割り切って、とことん遊びに付き合ってあげましょう。

 

遊びやスポーツ、特にゲームを禁止してしまう親御さんがいらっしゃいますが、反発を招き、かえって逆効果になる場合が多い印象を受けます。

 

お子さんの気持ちを尊重しながら、節度ある範囲で許容していく方が、よりお子さんの精神面は安定するといえます。

 

ただし、日中家で「何をしているかわからない」といった状態は避けたいものです。

 

お子さんの関心ごとに注目し、親も一緒に楽しむくらいの気持ちで接してあげることがポイントです。

 

2.人とかかわる場面をセッティングする

学校から離れると、人と接する機会が薄れてしまうことが何より辛いところです。

 

子ども同士に限らず、家族以外の人との関わりがなくなり、人と接することをどんどん避けるようになってしまうのが不登校になったお子さんの傾向のひとつです。

 

こういった状況が続くと、いずれ集団生活に戻ろうとしたときにスムーズに入っていくことが出来ません。

 

けれど不登校のお子さんのほとんどが、対人関係において自信をなくしており、自ら動けないでいるのです。

 

そこで、親戚や親同士が友人である家庭などを通じて、週末や長期お休みの際にお子さんと接する機会を積極的に作っていきましょう。

 

いとこのお兄さん・お姉さんとのかかわりや、家族ぐるみで付き合いのある友人と接していくなかで、気持ちに自信をつけていくケースはよくあります。

 

お子さんの趣味や習い事を通じて、知り合った友達というのも大変有効ですので、ぜひ誰かと触れ合う場面作りをしてあげてください。

 

3.部活の退部(休部)届を出す

不登校になるお子さんの原因として、部活の問題は根強くあります。

 

ただでさえ教室に入れない状態であるのに、部活のみんなにも迷惑をかけてしまうと思い悩むお子さんが多いのが実際のところです。

 

学校復帰までまだ時間を要するような場合は、部活を辞める(または休部する)手続きを取ることで、お子さんのプレッシャーが解放され、ぐっと楽になることがあります。

 

 

不登校に対して大切な親としての心がけ

そのお子さんにとって本当に学校へ行かせるのがよいのか、正解は見えないところにあります。

 

ゆっくり気持ちを回復させていけば、徐々に登校できるようになる力のあるお子さんであっても、

周囲が急かしてしまうと、気持ちが休まらずに復帰時期を延ばしてしまう結果

にも繋がります。

 

不登校の形はお子さんの数だけあります。

 

どのような登校刺激であれば問題がないか、家での過ごし方をどのようにしていくかは、ぜひそのお子さんの状態に合わせた試行錯誤が大切になります。

 

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鈴木なつこ

臨床心理士 公認心理師

心理系大学院在学中よりフリースクールスタッフ、精神障害者の共同作業所などを経験。修士課程修了後、スクールカウンセラーとして従事。電話相談業務も兼ねる傍ら、臨床心理士を取得。現在は公認心理師資格を取得し、公立小中学校のスクールカウンセラー。専門は不登校と発達障害。一児の母。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年6月14日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。