ストレスコーピングとは?臨床心理士が具体例を挙げて解説

2016.10.30公開 2019.05.16更新

思考の簡単エクササイズ

分かりやすいように、簡単な例えを挙げてみましょう。

 

ミッキーマウス、スヌーピー、ドラえもんなど何でもかまいませんので、皆さんのお気に入りのキャラクターを想像してみて下さい。

 

目を閉じて、心の中で、そのキャラクターの鮮明な詳細を見つめてください。

 

それが、どのように見えるか正確に思い浮かべてみましょう。

 

そして、そのキャラクターについて約15秒間考えてください。

 

思い浮かべることができたでしょうか。

 

今度は、次の30秒間、そのキャラクターについて「考えないように」ベストをつくしてください。

 

思い浮かべたキャラクターを思考から追いやってください。

 

その一方で、自分自身に正直になって、思考の中に、どれだけ頻繁にそのキャラクターが表れるかを認識してください。

 

いかがでしたか?

 

思い浮かべたキャラクターについて考えないことは、結構難しいものではなかったでしょうか?(中には切り替えが上手な方は出来るかもしれませんが)

 

 

忘れようとすればするほど

事実、思い浮かべたキャラクターについて考えないようにすればするほど、そのイメージに多くの力を与えることになり、脳によってそれが思考に持ち込まれることが多くなってしまうのです。

 

まるで、何かを忘れようとすればするほど、脳はさらに一生懸命にそれを憶えていようとするかのようです。

 

起きたことについて、自分自身に忘れさせようとしても不可能なのはこのためです。

 

また、望ましくない感情(怒りや悲しみ、寂しさなど)を感じないようにしたり、なかったことにしようとしても余計にそれらの感情が強くなってしまうのもこのためです。

 

 

思考から注意をそらす

大事なことは、記憶や思考を忘れさせようとする代わりに、その他の記憶、または創造的なイメージで、その思考から注意をそらすようにすることです。

 

要は、考えてしまうことは変えられないので、違う内容を考えるように心掛けてみることです。

 

例えば、

・自分が楽しみにしているイベントや趣味、ワクワクした過去の出来事などを、出来る限り詳細に思い出してみる

・自分の周りの外の自然世界に目を向け、花・木・空、そして風景を出来るだけ詳しく観察してみる

・好きな音楽や歌手を思い出してみる

などが挙げられます。

 

 

練習すれば身につくスキル

ちょっと難しい言葉を使えば、これらの能力のことを“コーピングスキル”と言います。

 

ストレスに対応する技術の一つです。

 

あくまで「スキル」なので、日頃から心掛けて、繰り返し練習することで、身についていく技術となり、ストレスに対する免疫力を高めてくれます。

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佐藤文昭

臨床心理士

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  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2016年10月30日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。