心の疲れのサインは身体にあった!?コンディショニングコーチが語る身体のケア

2019.07.22公開 2019.11.01更新

忙しさに追い詰められて、発症したうつ病

くまの
竹内さんがうつ病を発症したのは、前職の会社で…?
竹内さん
そうです。会社のハードワークや、家庭環境の変化など、いろいろな要因が重なってしまったんだと思います。本当に毎日が忙しく、やらなくていけないことに追われていました。

 

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前職では、管理職に加え、事務や総務、サイト運営などもすべて竹内さんが担当していたそうです。

竹内さん
独身のときは、なんとかやっていました。会社内には、シャワーブースも、仮眠できるベッドもあったので。最悪、泊まることもできたんですよね。
くまの
す、住めちゃいますね…?
竹内さん
はい(笑)

 

ただ、結婚して子どもが生まれてからは、独身時代のような働き方はできなくなりました。ちょうど同じ時期に、仕事でちょっとしたトラブルもあり…。

 

それまであった仕事への情熱が、ぱっと消えてしまったんです。

 

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くまの
火が消えちゃった感じなんでしょうか…。
竹内さん
そうです。

 

今でも覚えているのが、妻と子どもが実家に帰っているときに、ひとりで出社する朝。「今日も気合入れなきゃな!」と思って、玄関で靴紐を結んでいました。

 

そのとき、靴紐がぷつんと切れたんです。その瞬間、「あ、僕もう終わったな」と。

くまの
ものすごく張りつめていた気持ちが、切れてしまった感じ?
竹内さん
そう。靴紐と一緒に、気持ちも切れてしまったんだと思います。

 

精神的に追い詰められていたんでしょうね。突然、涙がボロボロと出てくることもありました。

くまの
辛いですね…。竹内さんは、今は寛解(かんかい)しているんですよね。どのように回復していったんですか?
竹内さん
妻には、とても支えてもらいました。「よくなるまでずっと休んでいたら?」と言ってくれて、焦らずに治療をすることができて。

 

あとは、自分の考え方が変わったことが大きいです。

くまの
どのように変わったんですか?
竹内さん
うつ病になるまでは、頑張れば頑張るほど、人生が豊かになると思っていたんです。給料がよくなったり、役職をもらえたり、会社の事業も広がったり。

 

そんな考え方のときに、うつ病になって…。自分でも、自分が信じられませんでした。

 

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うつ病で、布団から起き上がれなかった時期の竹内さん。

くまの
でも、頑張れば頑張るだけいい!と思う気持ちは、わかります…。
竹内さん
だけど、うつ病の治療で仕事を休ませてもらって、ゆっくり回復していく中で、その気持ちが少しずつ変わっていったんです。

 

家族の時間があって、生きていられる。

 

それまでは自覚していなかったことに、とても幸せを感じました。

くまの
身近な幸せに、うつ病になって気がついたんですね。
竹内さん
そうです。「自分にとっての幸せは、こんなに近くにあったんだ!」って。

 

そのことに気がついてからは、とても気持ちが楽になりました。うつ病の回復にも、とても影響したと思います。

 

地位財と、非地位財。2つのバランスが大切

くまの
独立してから、仕事中の気持ちは楽になりましたか?
竹内さん
なりましたね!どう働くかは自分が決められるので、気持ちにも余裕ができたと思います。

 

ただ、僕は会社が嫌いで辞めたわけではなかったんです。会社の志にも共感していたし、自分の働きに誇りも持っていた。

 

でも、うつ病になって仕事を続けられなかったから、辞めるしかなった。

くまの
辞めたくて、辞めたわけではなかった?
竹内さん
そうです。僕以外にも、そういう人は多いと思います。辞めたくなかったけど、辞めなきゃいけなかった人。
くまの
確かに、退職をせざるを得なかった人も、きっと多いと思います…。
竹内さん
だからこそ、僕は企業に出向いて指導をする、今の仕事のやり方を選びました。

 

身体の痛みが緩和されて業務のパフォーマンスが上がれば、仕事にやりがいも生まれる。そうすれば、人生がもっと豊かになると思う。

 

健康に働けて、家族に元気に「ただいま」を言えたら、最高じゃないですか。

くまの
元気に「ただいま」が言える生活、最高にいいですね…!ただ、自分の健康を後回しにしてしまう人も、きっと多いのかなぁと思います。
竹内さん
僕も、昔は働けば働くほどいいと思ってました。

 

今の僕は、「地位財(ちいざい)」「非地位財(ひちいざい)」を意識しているんです。

くまの
ち、ちいざい…?
竹内さん
ホワイトボードお借りしますね(笑)
くまの
お願いします!

 

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ホワイトボードを使って、分かりやすく説明してくれる竹内さん。

竹内さん
「地位財」は、お金やキャリア、ポジションのことです。

他人と比べられるものですね。他人と比べて、あるかないか。

 

「非地位財」は、健康や心、愛情のことです。

他人と比べずに、幸せを感じられるもの。

くまの
ふむふむ。
竹内さん
地位財と、非地位財。

 

幸せが長続きするのは、非地位財と言われています。

くまの
そうなんですか!
竹内さん
お金って、得た瞬間はとても嬉しいですよね。

 

例えば、20万給料が上がるとしたら「やったぜ!」ってなるじゃないですか。

くまの
えー!なります!すっごく嬉しい。
竹内さん
ただ、きっと半年後にはさらに欲しくなっていると思いますよ。お金は人と比べられるものだから、「あの人あんなにもらってるんだ。私ももっと欲しいな」って。
くまの
そ、そうかも…!とめどないですね。
竹内さん
もちろん、お金も大切ですよ。

 

ただ、幸せを感じながら生きるには、健康であるとか、心がいい状態であるとか、帰る場所があるとか。そんな、形のないものがとても重要なんです。

くまの
先程、うつ病の症状が回復したのは、ご自身の考え方が変わったおかげだとおっしゃっていましたよね。「地位財」と「非地位財」についても、うつ病になってから考えるようになったんですか?
竹内さん
そうですね。

 

僕も、昔は地位財ばかりを求めていたんです。頑張れば頑張るだけ豊かになれると思っていました。

 

役職も意識していたし、年収も高くしたかった。かっこいい服を着るとか、良いマンションに住むとか、そういうことがしたかったんですよね。

くまの
着る服や住む場所は、確かに成功の証として分かりやすいですもんね。
竹内さん
でも、それだけが大切ではないことに、僕は身を持って知りました。

 

家に帰る時間がないくらい働いていたあの頃よりは、年収は下がった。でも、感じている幸せは、今のほうが大きいと思っています。

 

家族と過ごす時間も増えたし、自分も健康になったし、健康になることでチャレンジもできるようになりました。

くまの
お金だけでは、幸せを感じることはできない?
竹内さん
まぁ、お金がなくては生きていけないですからね(笑)お金は絶対に必要。でも、必要なのはお金だけじゃない。

 

「地位財」と「非地位財」、2つのバランスが大切だと思います。

 

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「地位財(ちいざい)」と「非地位財(ひちいざい)」

 

竹内さん
僕は、仕事で「心」を扱っているわけではありません。でも、「身体」の健康を大切にすることで、心も健康になると思っています。
くまの
身体が健康じゃないと、心が健康になるのは大変そうですもんね…。
竹内さん
本当にそうだと思います。

 

僕は、企業は社員ひとりひとりの幸せの総量だと思っているんです。個人が幸せなら、結果的に仕事のパフォーマンスも上がる。

くまの
個人の幸せの総量が「企業」…!なんだか素敵です。
竹内さん
僕がうつ病になって、妻にはとても心配をかけたと思っています。健康で働けることは、その人も幸せだし、周りも幸せになるんですよね。その状態で働いてくれたら、会社もいい方向に行く。

 

その流れが起きるといいなと思って、今は行動しています。

 

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「自分がしてほしかったことを、周りの人にシェアしているんだと思う」と話してくれた竹内さん。身体の健康が、心の健康にも繋がると教えていただきました。

竹内さんがうつ病になって気がついた小さな幸せは、現代の私たちが忘れがちなものなのかもしれません。日々を健康に過ごせること、笑いあえる家族や友人、恋人がいること。

そんな身近な幸せを、毎日の忙しさに追われてどうか忘れないように。自分にとっての幸せがなにか、ゆっくり考えてみるのもいいのかもしれません。

竹内さんのTwitterはこちら>> @takeuchishuhei
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くまのなな

ライター

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年7月22日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。