
「うつ病でも好きなことを諦めたくない」カメラが広げてくれた私の世界
常に感じていたのは、重い水の中で溺れるような息苦しさ



結局離婚はしたんですが、母は再婚相手ともうまくいかなくて…。何回か、離婚と再婚を繰り返していました。

「母と父が怒鳴り合っている声は、聞きたくなかったですね」

父や再婚相手は、私がうつ病だとは知らなかったと思います。「今日も学校に行かないんだなー」くらいは思っていたかもしれないけど。


母には、「学校に行かなくてもいいけど、勉強はしっかりしろ」と言われていました。テストの点数が悪いと、叩かれたりすることもあって…。


高校の人間関係にもうまく馴染めなくて、苦しくて自分を傷つけてしまうこともありました。だんだん高校に通うことが難しくなって、最終的には退学して、高卒認定試験を受けたんです。






でも、引きこもっているのもつらいんです。「このままじゃ駄目だ…」って罪悪感はあるのに、まったく起きられなくて。重い水の中で溺れているような息苦しさは、常に感じていました。








先月と比べると、今のほうがずっと楽なので!大丈夫ですよ。

引きこもっていた自分を、外の世界に連れ出してくれたカメラ

前に勤めていた会社に、カメラが大好きな人がいたんです。その人と仲がよくて、カメラがいかにすばらしいか熱弁されて(笑)


あとは、写真を始めたら、もっといろんなところに行けるかなと思ったんです。


だから、外に出ていくきっかけになればいいなと思って。


とても活動的になったと思います。

「写真を撮るために、出かけることも増えました」

人からの言葉って、自分の励みにもなるから。




自分のできないことが目に付いて、「こんなこともできないのか」と思ってしまったり。「周りに迷惑をかけているのに、遊んでいいのか」と思ってしまったり。


無理に他人に合わせなくてもいいし、興味があることがあるなら「ちょっとやってみよっかな~」くらいの気持ちで始めてもいいんじゃないかなって。


最初は、メルカリで標準レンズが付いているものだけを買ったんです。撮影をしていくうちにのめり込んで、外付けのレンズを買うまでになりました。

あるとさんが撮影した写真。



ただ、自分がなにがしたいのか、なにが好きなのか分からない人も多いと思います。そういう人は、身近な人が楽しんでいることを見たり、話を聞いたりすれば、なにか発見があるかもしれないですよね。


実際に、「カメラを始めたくなりました!」と言っていただけることもあるんですよ。



病気で苦しむ以外の時間も、大事にしてほしい

どうやったらうつ病がよくなるとか、自分のやりたいことができるかとか…。試行錯誤しながら生きている感じです。


気持ちが下がっている理由と、それに対しての対策を自分なりに見つける感じですね。



「人を撮影するときは、やっぱり緊張するんです」




最近は、考え方ってとても大事だなと思っているんです。


まずは、自分を大切にすることを意識してほしいなって思うんです。人に嫌われてもいいから、自分を労わって、褒めてあげることが大切だと思う。


カメラを始めたことでも、「活動できている」ことが自信になって、自己肯定感が高まって、自分のことを考えられるようになって…。いい循環が起きているなと思います。



あるとさんが撮影した写真。

つらい中もがいて生きてるからこそ、病気に潰されてほしくない。
好きなものは美味しく食べてほしいし、好きな音楽はリラックスして聴いてほしい。病気で苦しむ以外の時間も、大事にしてほしい。


どうか病気に潰されないでほしい。つらいときは周りを頼って、楽しいことを見つけてほしい。
自分らしく、生きてほしいと思います。

小学生からうつ病の症状に苦しんでいたあるとさん。もがきながらも、自分の好きなことを諦めずに、前に進んできたのだと思います。
インタビュー当日は、撮影をされる側になってきたそうです。自分で着たい制服を購入して、写真を撮ってもらったのだとか。カメラのことをお話しするあるとさんは、とっても表情豊か!目がキラキラしていて、本当に写真が好きなんだなぁと伝わってきました。
病気になっても、自分の好きなことを我慢する必要はないのだと、あるとさんの生き方で教えていただきました。どうか、ときには周りの声よりも、自分の心の声を優先して聞いてあげられますように。
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- 本記事は2019年8月9日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。