【臨床心理士解説】毒親からの結婚や恋愛への過干渉がひどい…親側の3つの心理とは?
「毒親からの結婚や恋愛への過干渉がひどくて…」
結婚や恋愛に対する親からの干渉が強くて、喧嘩に発展して親子関係にさらにヒビが入ってしまったり、前向きに結婚や恋愛と向き合うことが億劫になってしまうことも少なくありません。
1989年にアメリカのスーザン・フォワードの著書『Toxic Parents』(『毒になる親』)で初めて使われた「毒親」という概念。
結婚や恋愛に対して過干渉してしまう親側の心理とはどのようなものなのでしょうか?
今回のコラムでは、考えられる毒親側の心理とそれらに対する対処法について臨床心理士がご紹介いたします。
「毒親」は医学的用語ではなく、あくまで一般的な呼称(概念)です。
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結婚や恋愛に過干渉な毒親の心理
①不安が強い
親自身が不安定な愛着スタイルを抱えていて、子供の結婚や恋愛を自分から離れていくことや自分の存在意義を否定されることだと感じて強い不安を抱いている場合です。
この場合、親は何かにつけて子供の恋人や結婚相手を批判したり、恋人関係や夫婦関係に繰り返し口出しをしてきたり、
「親を裏切るのか」
「私のことはもうどうでもいいのね」
などと子供に罪悪感を与えるような言動をしたりすることがあります。
それは、親自身のこうした心理からくる言動なのかもしれません。
・子供を自分の手元に置き、子供から必要とされることで自分の存在意義を確かめたい。
・自分の孤独を癒すために子供から常に愛情を得たい。
その場合は、
「お母さんの/お父さんのことは好きだけど(この人と結婚したいの)」
「お母さん/お父さんから離れたいと思っている訳じゃなくて(この人と一緒にいるのが幸せなの)」
などと、親の存在を肯定する一言を付け加えることが有効かもしれません。
しかしそれは、親の気持ちを子供が処理しなければいけないということを意味するのではありません(本来、親の感じている不安は親自身やパートナーが何とかするものです)。
親の不安を解消してあげるためではなく、自分自身の自立を叶えるために一言付け加えるという”作戦”をとる、という心持ちでいられると良いと思います。
②叶えられなかった願望を子供に投影している
親自身が人生や人間関係において叶えられなかった願望があり、それを子供に叶えてほしいと(無意識かもしれないが)思っている場合です。
この場合、親の望みを反映するような形で、例えば・・・
・大学に行きたかったのに行けなかった親が子供の学生時代に「恋愛なんてしてはいけない」と厳しく禁止する
・好きだった仕事を結婚を機に辞めざるを得なかった親が子供の結婚に反対する
・夫婦関係の上手くいっていない親が子供の恋人や結婚相手を批判したり条件を事細かに提示してくる
といった言動をすることがあります。
それは、親自身のこうした心理からくる言動なのかもしれません。
・(無意識かもしれないが)自分の欠乏感や虚しさを埋めるために子供を通して自分の叶えられなかった願望を叶えたい。
・自分の後悔や未練が子供への期待にすり変わってしまっている。
その場合は、親にしてほしいこと/してほしくないことを具体的に伝えることが有効かもしれません。
例えば、
「私の恋人/結婚相手をけなすのはやめてほしい」
「意見を聞きたい時は私から相談するから、お母さん/お父さんはそれまで静かに見守っていてほしい」
こうしたことを手紙に書いて伝えるのも有効です。
してほしいこと/してほしくないことをはっきりと伝えることで、子供と親との間の境界線を明確にすることが大切です。
親がひどく感情的になってしまう場合は「これについてはあなたがもっと冷静になった時に話し合いましょう」とその場を離れるのも良い方法です。
③世間体を気にしたり批判を恐れている
親自身に嫁姑問題があったり、夫婦仲が悪かったり、親の親が毒親だったりして、子供を理想の子にしなければ自分が批判をされると恐れている場合です。
この場合、親が批判されたくないと思っている相手の期待を反映する形で、こういう相手でなければダメだと言ったり、恋人や結婚相手について周りには嘘をつくように言われたり、周囲の意見によって親の意見がコロコロ変わることもあります。
それは、親自身のこうした心理からくる言動なのかもしれません。
・子供が周囲の理想通りになれば私は批判されなくて済む(周囲からの批判がとても怖い)
・子供の出来が自分の成績表である
その場合は、自分の気持ちを確かめること、できそうならそれを親に伝えることが有効かもしれません。
例えば、
・親の望みと自分の望みを分けて考え、自分の望みに注目するように心がける
・「私はこの人のことが好きだから、お付き合いを続けます」と伝える
などです。
親の期待に応えないことに罪悪感を感じる必要はありません。
あなたの人生はあなたのものなのです。
※①~③のいずれの場合でも、自分で対処するのが難しい時などは、必要に応じて医療機関や相談機関を利用するのも良い方法です。
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【参考・引用文献リスト】
水島広子(2018). 「毒親」の正体―精神科医の診察室から― 新潮社
スーザン・フォワード(2015). 毒親の棄て方 娘のための自信回復マニュアル 羽田詩津子(訳) 新潮社
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- 本記事は2021年12月5日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。