うつ病の夫への接し方…家族だからできる3つのポイントとは?臨床心理士が解説

2018.11.06公開
 

パートナーがうつ病になった時、誰もが戸惑いますよね。

 

それまでとは違う本人の様子に、心を痛めたり不安になったりすることもあるでしょう。

 

そんなときのために、このコラムでは、

「家族として本人を支えるために何が出来るのか」

「その家族の心身を守るために何が必要か」

といったことについて解説しています。うつ病について、家族について、一緒に考えていきましょう

 

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うつ病がもたらす日常生活への影響とは?

うつ病になると「気力がわかない」「何をするにもおっくうだ」と訴える患者さんが多く、よく「心がエネルギー切れを起こしている状態」であると例えられます。

 

そのことが、日常生活にどのような影響を及ぼすのかについて見てみましょう。

 

趣味や好きなことが出来なくなる

うつ病の代表的な症状の一つに、「興味や喜びの喪失」があげられます。

 

それまで好きだったことや趣味の活動などに関心がなくなり、何をしても「楽しい」「面白い」といった喜びの感情を持てなくなってしまいます。

 

その結果、何もせずに横になっていたり、ぼんやりしたりする時間が増えていきます。

 

日課がこなせなくなる

それまで何気なく行うことが出来た生活上の行動にも、支障をきたすことがあります。

 

例えば、

・入浴しなくなる

・身だしなみに気を使わなくなる

・スーパーや郵便局など近所の用事でも外に出ない

・料理や掃除が出来なくなる

といった状態です。会話など、人とのコミュニケーションもとりにくくなります。

 

食事や睡眠が困難になる

うつ病にかかることで、食欲が低下したり睡眠の質が悪くなったり(眠れない、眠りすぎる、朝早くに起きてしまう、夜中に何回も目が覚める、等)することがあります。

 

その影響で日中はぼーっとしてしまったり、イライラする、不機嫌になるといった状態が見られることもあります。

 

 

うつ病の夫が家族・妻に求める接し方とは?

叱責や過度な励ましが負担となる…というのは有名な話ですが、これと同様に、うつ病の患者さんにとって「しんどいな」と感じられる接し方は避けたいものです。

 

こちらでは、本人への接し方の「3つのポイント」についてお話していきたいと思います。

 

無理に何かをさせない

本人の活動が減ったことで、散歩や趣味など何らかの活動を勧めたくなることがあるかもしれません。

 

しかし、症状が強く出ている時(=動くことがつらそうなとき)ほど休養を取ることが必要です。

 

無理に何かをしてもらおうとせず、まずは体と心を十分に休ませることを優先しましょう。

 

本人の話を「客観的に」受けとめる

うつ病を抱えた本人が、些細なことでイライラしたり感情的になったりしてしまうことがあります。

 

また、病気を回復させたい焦りや将来への不安など、苦しい気持ちを抱えていることも多いものです。

 

もしそういった素振りや語りがある場合は、否定したり感情的になったりせずに受け止めてあげて欲しいと思います。

第三者の視点に立ったような「客観的な」受け止め方をする

と、言い換えることもできるかもしれません。

「そんなふうに感じていたんだ」

「しんどいんだね」

「話してくれてありがとう」

と穏やかに寄り添ってもらうことは、本人にとって大きな癒しとなります。

 

特別扱いしすぎなくても良い

誰しも、「自分に気を遣われすぎる環境」は居心地の悪いものですよね。

 

中には、家族に心配をかけたくないために、努めて明るく振舞おうとしたり、苦しい胸の内を明かすことができないと感じたりする患者さんもいらっしゃるようです。

 

心配は尽きないかもしれませんが、普段通りに接して出来そうなことは本人に任せ、自分のペースで過ごしてもらうことを心がけましょう。

 

 

家族がしんどくならないためのポイントとは?

当事者をいつも見守っている家族だからこそ、自身の体や心のメンテナンスは非常に重要です。

 

看病への「息切れ」を起こす前に、気を付けたいポイントをおさえておきましょう。

 

正しい知識を身に着ける

まずは、うつ病にまつわる正しい知識を身につけ、本人の状態を理解することが大切です。

 

特に発症の直後は、うつ病に関する疑問や不安が湧きやすい時期です。

 

本を読んだり担当医に質問したりすることで、疑問を解決したり今後の見通しを立てることができます。

 

また、社会的な支援の利用の仕方についても知っておくと、のちのち役に立つ場合があります。

 

自分の時間や息抜きを持つ

本人のサポートをしている人であるからこそ、日々の生活の中で自分の息抜きの時間を持つことがとても大切です。

・好きなテレビ番組を観る

・美味しいものを食べる

・趣味の時間を持つ

・半身浴をする

など、頭を空っぽにしてリラックスできる時間を持ってください。

 

どんなに性能のいい車も、走り続ければ傷んでしまいます。

 

一日の疲れをその日のうちになるべくリセットできるよう、自分の心身も労わってあげましょう。

 

「分からない」は当たり前

うつ病との付き合いが長くなることで、家族の側にも扱いが難しい気持ちがわくとがあります。

「どうしてそんなこともできないのだろう」

「何でそんな考え方をするのだろう」

と、時には本人を責めたくなるような場面もあるかもしれません。

 

それはそれとして、自然な感情なのですよね。

 

ただ、ケガの痛みを代わってあげられないように、本人のうつの苦しさは「本人にしか分からない」ところが大きいものです。

 

本人の行動や気持ちを全て理解する必要はありません。

 

また、全てを完璧に分かることも、きっと出来ないのではないかと思います。

 

本人への「分からなさ」を周囲がそのまま受け入れることで、気持ちがラクになることがあります。

 

 

問題を家族だけで抱え込まないで

うつ病と家族の接し方との関係について考えてきました。

 

心配は尽きないかもしれませんが、特別扱いしすぎず、本人を「見守る」という姿勢も忘れずにいたいものですね。

 

最後に、うつ病について「家族だけで抱え込む」ことはありません。

 

苦しいときは、医師や心の専門家、同じような境遇にある人など、誰かに力になってもらいましょう。

 

専門的な意見を聞いたり、情報交換をしたり、愚痴を言い合ったりすることで、心がふっと軽くなることもあるかもしれません。

 

困ったときは誰かの手を借りることを、ぜひ忘れずにいてもらえればと思います。

 

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鈴木さやか

臨床心理士

心理系大学院修士課程を修了後、臨床心理士資格を取得。福祉分野のケースワーカーとして従事したのち、公的機関でテスター兼カウンセラーとして勤務。子どもの問題(不登校、非行、発達障害等)や労働、夫婦問題をはじめ、勤労者、主婦、学生など幅広い立場への支援を行っている。

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