【引きこもりのご家族向け】8つの対処法を臨床心理士が解説

2016.09.01公開 2016.09.06更新
 
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「家族以外と話をしない」「コミュニケーションはインターネットのみ」

 

このような引きこもりの状態が続くと、次第に人とのコミュニケーションがとれなくなっていきます。また、引きこもり生活によって、ご本人はもとより、ご家族であるあなたの生活リズムも乱れるようになっていませんか。

 

こうした状況を脱出するためには、まずどうすればよいのでしょうか?今回は、引きこもりのご家族向けに、8つの対処法ついて臨床心理士の先生に解説してもらいました。

 

 

引きこもりのご家族向けのプログラムとは?

引きこもりの場合、引きこもりに加えて、OCD(強迫性障害)、または発達障害を持つような状態になると、医療機関ではお薬だけはくれますが、訪問をしてくれるわけではないと思います。

 

そこで、例えば認知行動療法の中には、家族にスキルトレーニングをすることで、本人を治療に繋げるプログラムが存在します。

 

このプログラムは「CRAFT」と呼ばれるものです。元々は、アルコール依存患者に対するものでしたが、現在は引きこもりに対して用いられることが多いようです。

 

 

CRAFTに基づく8つの対処法

このCRAFTの中のコミュニケーション方略が、個人的には秀逸だと思っています。以下、引きこもりに対するCRAFTから抜粋してまとめているので8つになっていますが、元のCRAFTでは、7つの方法になります。

 

①会話する時間を短くする

長い話は、本人を退屈させる。また、過去の話しを蒸し返しやすくなる。なるだけ30秒以内に会話を終わらせる。ポジティブな終わり方をするように心がける。

 

×「また、そんな言い方で怒って!あなたは、昔から、こんなことを繰り返してるのよ。いつもそう。そんな言い方をしているうちは、変わらないよ」

◯「怒ったように言われると、悲しくなるから、もう少し優しい言い方をして、ちゃんと聞くから。」

 

 

②「して欲しくないこと」ではなく、「して欲しいこと」を伝える

禁止をされると感情的なわだかまりが生じ、どんな行動を取っていいか分からない。なるべく、して欲しいことに言葉を変えて伝える。

 

×「インターネットばかりするのはやめなさい」

◯「時々は、外に出て散歩をしてみたら?」

 

 

③特定の行動について言及する

態度、考えを取り上げて会話を進めると変化が分かりづらい。なるべく、特定の行動を取り上げて会話を行うと、本人・家族の両者にとって変化が分かりやすい。

 

×「家にいるときは、手伝いをしてよ」

◯「家にいるときは、お茶碗をあらってよ」

 

 

④自分の気持ちを把握する

自分が怒りを感じた場合、それを遠回しに伝えてしまうと、相手を遠回しに非難しているニュアンスになってしまう。自分の気持ちを伝えるか否かは慎重に考える必要があるが、自分の気持ちを把握することは必要になる。

 

×「そういうことをやっていると、周りの人にどう思われていると思う? あなたは、どう思うわけ?」

◯「そういうことをやっていると、私は悲しくなるのよ」

 

 

⑤本人の気持ちに共感する

共感がないコミュニケーションをとり続けると、相手が頑なになってしまう。本人なりの辛さに共感することで、頑なな態度に理解を示す。

 

×「そういうことばかり言っていても何も始まらないよ」

◯「確かにこの状況だと、もうなにをしても変わらないって絶望的になると思う」

 

 

⑥部分的に責任を受けいれる

変化の過程で、本人は家族にも責任があると言う時がある。その際に、その言い分を認めることで、頑なな姿勢をとき、変化へと繋げる。

 

×「お前が悪いって、いうけれどさ。そういやって人のせいにしかできないと何も変わらないぞ」

◯「確かに、私の言い方が厳しかったり、お前の気持ちに合わないこともあった。」

 

 

⑦悪循環に入っていることを悟らせる(自省を促す)

今の行動を続けていくとどうなるかについて、考えてもらうようにする。

 

×「このまま、家にずっと居ても何も変わらないぞ!」

◯「このまま家にずっといたら、傷つかなくてすむかもしれない、でもそれも何十年も続くわけではないからね」

◯「このままずっと家にいたら、10年後、20年後は、どうなっていると思う?」

 

 

⑧支援を申し出る

たとえ、援助を拒んでいるように見える人でも、何かのタイミングで助けて欲しいと漏らすことがある。また、支援を受けてもいいかなと思う時がある。

 

そのチャンスが巡ってきた時に、支援を申しでて、なおかつ相談機関の受診も迅速に行う。最善の策は、その日に受診すること。

 

×「まずは、外出することからはじめてみなさい」

◯ 「まずは、どんなことから手伝えそう?」「今から、明日受診できるところがないか探してみるね」

 

 

さいごに

引きこもりから抜け出すための特効薬はありませんが、日頃のコミュニケーションといった小さな一歩から変えてみることは、とても大切なことになります。

 

少しずつでも練習し、ご本人やご家族が自信を深めていくことができれば、ご自身を変える一歩になるのではないでしょうか。

 

 

【記事提供】

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矢野宏之 臨床心理士

詳しい情報・お問合せはこちら

 

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