心とはどこにある?心は読める?他者を理解するには?臨床心理士が解説
目には見えない「心」。私たちの生活や人生に、大きな影響をもたらす存在です。
昨今では「メンタルヘルス」「心のケア」という言葉もよく聞かれるようになりましたが、心をめぐる問題には未だに多くの謎が残されています。
今回は、そんな「心」にまつわる疑問について一緒に考えてみたいと思います。
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心って一体なに?
辞書的な意味
「心」について考えていく前に、まずは辞書的な意味をおさえておきましょう。
広辞苑(第六版)によれば、心とは「人間の精神作用のもとになるもの。また、その作用」とあります。
人間の精神的な力や働きの源、といったイメージでしょうか。やはり、表立って見えはしないもののようです。
心理学の心の捉え方(過去〜現在)
それでは、心理学では「心」をどのようにとらえているのでしょうか。
そもそも心理学とは、「心」を調査や統計といった客観的なデータに基づく「科学」として捉え、考えていく学問です。
推測や勘のような根拠のない理屈ではなく、妥当性の高い「根拠」を示して心に関する理論を構築しようとする試み…ともいえるかもしれません。
すると、その研究対象である「心」をどのように定義するかが問題となりますね。
結論から言うと、その問いに関する答えは「一つに絞りきれていない」というのが現状です。
例えば、心理学の始まりである「構成主義心理学」という学派では、心は「意識(=自分だけの経験として、心の中で感じられるもの)」であると考えられていました。
自分の感じることを細かくを観察することで、意識がどんな要素によって成り立っているかを明らかにしようとしたのです。
ところが、「意識を観察するだけでは客観性に欠ける」という指摘が上がりました。
そして、より客観的に測定可能な「行動」を研究対象とする「行動主義」や「新行動主義」の立場をとる人々が現れました。
彼らは、人間が外から受ける刺激によってどんな反応をするのか?という切り口で、意識や心、人間について論じています。
その後も、「ゲシュタルト心理学」や「精神分析学」など、時代が進むにつれて、心理学も様々な発展の道をたどってきました。
その分、心やその働き方に対する考え方もより多様化してきています。
ただ、どんな立場をとっていたとしても、「心というものの正体を明らかにしたい」という真摯な姿勢は変わらないものと思われます。
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- 本記事は2018年11月24日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。