ピアカウンセリングとは?意味・効果・注意事項・事例を専門家が解説
ピアカウンセリングの意味
ピアカウンセリングは、1970年代のアメリカで始まりました。
それ以前は、精神疾患を持つ方は地域で生活するというより、病院や施設に収容するという考え方が主流でした。
ですが、今後彼らは治療の対象というよりも、地域で自立した生活を送りながら自分で決定し、選択しながら社会生活を行うということが目的とされたのです。
そのためには、自分と同じ障害を持つ仲間と自身が抱える悩みを相互に聞き合い、障害を抱えているからこその共感や利用できる制度などの情報収集の場が必要となり、ピアカウンセリングが生まれました。
ピアカウンセリングは、病院や地域社会、個人で発足したグループなどさまざまなものがあります。
ピアカウンセリングの費用
ピアカウンセリングの費用は、高額なことはほとんどありません。
無料で体験できることも多いですし、会費制で行っているところもあります。
ピアカウンセリングの利用方法
ピアカウンセリングは、病院や市町村、個人的グループなどで開催されています。
ピアカウンセリングを受けたい方は、このような各々のグループへ問い合わせてみると良いでしょう。
また、統合失調症専門のピアカウンセリンググループやうつ病専門のピアカウンセリンググループなど疾患別に行われている場所もあります。
精神疾患の種類は問わない場所もありますので、自分に合うところを選ぶと良いと思います。
ピアカウンセリングを利用する際に必要な書類は、以下のようなものがあります。
1.ピアカウンセリング申込書
2.相談内容記入シートなど
(ピアカウンセリングの利用申請をする場合には、インターネット上でできる場合も多いです。また、必要書類の提出も各団体によって異なります)
ピアカウンセリングの事例
Aさん 10代男性 不安障害
Aさんは、高校2年生。いじめにより不登校となり、自宅に引きこもる生活を続けていました。
家族はAさんの気持ちに寄り添い、理解を示していたので、Aさん自身も救われていましたが、不眠や息苦しさ、死んでしまいたいという気持ちなどが現れるようになったため、精神科病院を受診。不安障害と診断されました。
しばらく通院治療とカウンセリングで様子を見ていたAさんは、薬物療法による効果と臨床心理士が悩みを受け止めてくれたことで、身体的・精神的な症状は徐々に改善していきました。
ですが、Aさんは時々ある悩みに支配されることがありました。
それは、「自分は社会から孤立してしまっている」「自分と同世代の話を聞いてくれる仲間がほしい」というものでした。
その思いがなかなか消えないため、Bさんはカウンセリングの際に、このような気持ちを臨床心理士に打ち明けてみました。
すると、不登校の人たちやかつて不登校だった人が集まるピアカウンセリングを行っている団体があるので、そこを1度覗いてみてはということでした。
Aさんは、初回は1人でその場所に参加することが不安だったので、母親とともに参加しました。
その際、Aさんより少し年上でかつて不登校体験があり、うつ病を患っていた人との出会いがあり、彼はAさんの気持ちに寄り添い、熱心に話を聞いてくれました。
また、不登校の人のためのサポート校の情報を教えてくれたり、高校を卒業しなくても大学検定試験に合格することで大学受験にも挑戦できたりするということを知りました。
他の不登校経験者との出会いや未来への希望が見え始めたBさんは、今後自分の進路をどうして行けばいいのかピアカウンセリングを受けながら、模索中です。
ピアカウンセリングの注意事項
ピアカウンセリングは、自分と同じ当事者によるカウンセリングを体験できる点が魅力です。
ですが、それだけに相手に感情移入をしすぎたり、依存関係になってしまったりという危険性もはらんでいます。
同じ疾患を持つ者同士でも、相手と自分の問題を過度に同一視することがないように気を付けることが重要です。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2017年1月18日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。