自尊心が低くプライドが高い人の生きづらさ、うつの危険信号とは?臨床心理士が解説

2020.08.31公開 2020.09.04更新

自尊心が低い&プライドが高い人の生きづらさ

ではなぜ、このプライドが高く、自尊心が低い状態が生きづらくなってしまうのでしょうか?

 

まず、自尊心が低いと、自分で「自分はこれでいいのだ」と思うことが難しいので、他者から評価されることを求めるようになります。

 

他者から評価されることによって「自分はこれでいいのだ」と確認するのです。

 

他者から評価されるには、他者から見て良い自分でいなければなりません。

 

こうして他者から認められるために、

「完璧な自分」

「華やかな自分」

「良い人」

などを演じることになっていきます。

 

すると、少しでもそのイメージに合わない自分のことは許すことができなくなってしまいます。

 

例えば、

「完璧な自分」でないと周りから必要としてもらえないと思う人は、自分の小さなミスも許すことができなくなり、常に緊張状態で誰にも弱音を吐くことができなくなっていくかもしれません。

「華やかな自分」でなければ周りに認められないと思う人は、自分の少しの流行遅れも許せず、人気の高級バックを自分の趣味ではないのに次々買い求めることになるかもしれません。

「良い人」でないと周りの人が離れていってしまうと思う人は、自分の意見を主張することが許せず、無茶な要求も断ることができなくなっていくかもしれません。

これでは自分らしく振る舞うことができず、常に気を張っていなければなりませんよね。

 

他者からの評価が得られた瞬間は、確かに自尊心も補われるかもしれません。

 

しかし、心の中にはどこか虚しさが残ったり、他者からの評価が得られなかった時には、自分の存在自体が否定されたような大きなショックを受けることになります。

 

これらが生きづらさの理由と考えられます。

 

自尊心が低い&プライドが高い人はうつになりやすい?

上記に挙げた状態が続くと、

・自分はダメなところばかりで良い所なんて1つもない

・自分は誰からも必要とされていない

・自分なんかいてもいなくても同じだ

と、自分の存在自体が無価値であるように思えたり、さらに自尊心が低くなってしまいます。

 

また、自尊心が低くプライドが高い状態の人は、困った時に周りの人に相談することが苦手です。

 

辛い気持ちになった時、人に相談すると考え方が変化したり視野が広がったり、気持ちが励まされたりすることが多いです。

 

しかし、自分一人でネガティブな気持ちを抱えると、他のあらゆることもネガティブに見えてきて、悩みが深まってしまうことがあります。

 

悩みが深まりこのような状態になったら危険信号です。

・一日中気分が沈む日が続く

・以前は楽しかったことや好きなことをしても楽しめない

・消えてしまいたいと繰り返し考える

これらはうつのサインであることもありますから、早めに信頼できる人やカウンセラー、医師に相談することをおすすめします。

 

さいごに

今回は、自尊心の低さとプライドの高さの関係やその背景にある生きづらさ、そして「うつ」との関連性について、臨床心理士にご紹介いただきました。

 

最近ではSNSも普及し、

 

「他人から見られる自分」

「よく見られようとする自分」

 

などばかり考えてしまい、自分を見失ってしまう…といったことも増えてくると思われます。

 

同じような見た目、同じような能力や経歴、同じような経験があっても、自尊心の高さは人それぞれ。

 

見た目や過去の経験自体を変えることができませんが、捉え方を変えたり考え方の癖を見直したりすることで、自尊心を回復していくきっかけを掴みやすくなります。

 

自分の心の声を肯定的に受け入れることに、罪悪感や不安が出てくることもあるかもしれませんが、臨床心理士などの専門家も時には頼りながら、自尊心を一歩ずつ高めていきましょう。

 

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【参考・引用文献リスト】

兄井彰・須﨑康臣・横山正幸 (2013).子どもの自尊感情と生活のあり方との関係についての研究.生活体験学習研究,13,43-50

遠藤由美 (2000).「自尊感情」を関係性からとらえ直す.実験社会心理学研究,39(2),150-167

池田 寛 (2000) 「学力と自己概念」 解放出版社 PP31-32

井上清子 (2015).両親・教師からの褒められ叱られ経験と自尊感情の関連について.生活科学研究,37,97-105

高知県教育センター (2005).子どもの自尊感情をはぐくむ学校についての一考察

内閣府 (2019).我が国と諸外国の若者の意識に関する調査

小塩真司・脇田貴文・岡田涼・並川努・茂垣まどか (2016).日本における自尊感情の時間横断的メタ分析:得られた知見とそこから示唆されること.発達心理学研究,27(4),299-311

横山正幸 (2010).子どもの自尊感情と体験の関係について.生活体験学習研究,10,53-62

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山崎日菜乃

臨床心理士/公認心理師

心理系大学院在学中よりカウンセリング、フリースクールや児童養護施設の訪問、心理検査業務などを経験。夢だった中学教諭としての就職が決まるもうつ病を発症し断念。大学院修了後、うつ病治療に取り組みつつ臨床心理士と公認心理師の資格を取得。うつ病経験者の心理士としてお役に立てることを模索中

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2020年8月31日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。