【臨床心理士ワンポイント解説】職場でのアサーションDESC法を実践例でご紹介
職場の人間関係を改善する上で、日ごろのコミュニケーションにアサーションを取り入れることも一つです。
そこで今回は、アサーティブコミュニケーションの実践例・会話例について、DESC法をベースに臨床心理士にワンポイント解説していただきました。
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アサーションコミュニケーションDESC法とは?
プロジェクト会議や取引先との交渉、上司や部下とのやりとりなど、ビジネスシーンで関わる相手は多岐にわたりますから、コミュニケーションスキルを身につけておくことはより重要なことでしょう。
またビジネスシーンでのアサーションは、これまで示してきたような側面に加えて、より簡潔で分かりやすいコミュニケーションが望まれるように思います。
その時に役立ちそうなのがDESC法です。DESC法とは、
① D(Describe:描写)
…その時の状況を客観的に(相手や自分の気持ちは含めずに)描写する
…客観的事実に対する自分の主観的な気持ちを説明する
…①②を踏まえて提案する
…相手の答えに対して次の選択肢を示す(提案を受け入れられた時とそうでない時の対応を考える)
という4つのステップに従って相手に伝えたいことを整理する方法です。
【実践例】上司に仕事を振られたが断りたい場面
例えば、【上司に仕事を振られたが断りたい場面】を想定してみましょう。
今の自分は抱えている仕事が沢山あって余裕がなく、振られた仕事にすぐに取り掛かることが出来ないものとします。
この時の状況をDESC法にのっとって考えてみると、
① ふられた仕事をする時間的な余裕がない
② 期待に応えたい気持ちはあるが現状難しい
③ 今すぐには出来ないが、午後からなら対応できそうだ
④ それで遅ければ他の人に頼むか、出来そうな人を紹介するのはどうか
と考えることができます。
「私も今すぐに対応できる余裕がなく、仕事させてもらいたい気持ちはあるのですが難しいです。午後からなら対応できますがどうでしょうか?もし遅いようであれば、対応できそうな人に声をかけてみます。」
【実践例】ミスの目立つ部下に気をつけるよう促したい場面
また、【ミスの目立つ部下に気をつけるよう促したい場面】では、
① 先日、提出してもらった書類にミスがあった
② 部下の頑張りは伝わるものの、ケアレスミスの多さが気になる
③ 1度でなく2度見直すようにしてはどうか
④ それでもミスが減らないようなら同期や先輩にダブルチェックを頼めないか
といった感じです。
発言例:
「この間提出してもらった書類にミスがあったよ。君の頑張りはよく伝わってきているけどケアレスミスが多いのはもったいないから、見直しの回数をふやしたらどうかな?それでもミスが減らなければ、先輩や同僚にダブルチェックをお願いするのもいいかもね」
【実践例】同僚からの食事の誘いを断りたい場面
次は【同僚からの食事の誘いを断りたい場面】です。
① 同僚から仕事後の食事に誘われた
② 今日中に終わらせたい仕事があり、そちらを優先したい
③ 今日は食事をやめておいて、次に行けそうな日を設定するのはどうか
④ お互いに予定が立ちにくければ、また今度こちらから声をかける
発言例:「気持ちは嬉しいんだけど、どうしても今日中に仕上げたい仕事があるから今日は行けそうにないな。今日じゃなくて、別の日に行くことにしない?いま予定を立てるのが難しかったら、近々こっちから声をかけるよ。
もちろん、DESC法はビジネスシーンだけでなく以下に挙げるようなシチュエーションでも使うことが出来ますので、練習してみると良いかもしれませんね。
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【参考】
・園田雅代(2002)「概説:アサーション・トレーニング」、創価大学教育学会教育学部論集(52)
・野末武義、内田利広ら(2019)「『心の教育』を考える-家族の理解とその支援-(特集Ⅰ:第21回リカレント教育講座シンポジウム抄録)」、京都大学大学院教育学研究科付属臨床教育実践研究センター紀要
・三田村 仰、松見 惇子(2010)「相互作用としての機能的アサーション」、パーソナリティ研究 第18巻 第3号
・特定非営利活動法人アサーティブジャパン「人間関係のしんどさに悩んでいる方へ」
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- 本記事は2021年8月5日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。