自立支援医療制度とは?条件・メリット・デメリットを精神保健福祉士が解説
自己負担額が1割に
では、自立支援医療制度とは具体的にどんなものなのでしょうか。解説を進めていきます。
自立支援医療は通院治療が必要な精神障害の症状に対して、その自己負担額を軽減させるものです。
公費つまり、普段納めている税金から負担されます。
医療費の自己負担額は3割という方がほとんどだと思いますが、この制度を利用すると【1割】の負担で済みます。
先ほど、一回の受診で5,000円程度かかるとお話しましたが、これが1,500円から2,000円程度になります。
精神科に限らず、長期的に通院を必要とする病気は医療費の負担が大きくなりますので、負担が少なくなるのは経済的に助かりますね。
自立支援医療制度の利用条件
自立支援医療制度を利用するには、所得や納税額に応じた制限・区分があります。
収入の計算は世帯によりますが、「世帯」のとらえ方が一般的なイメージと異なります。
自立支援医療制度における「世帯」は医療保険と同じであり、家族の中でそれぞれが働き異なる保険証を持っている場合、別世帯として計算されます。
わかりやすくいうと「誰と同じ保険証を持っているか」ということです。
ご夫婦で暮らしていても、それぞれが働いて医療保険の加入者になっている場合、本人収入と納税額が自立支援医療制度の基準になります。
同じ医療保険に加入している世帯の構成員で、住民税をどれだけ納付したかによって、自立支援医療制度の上限負担額が決まります。
住民税23万5,000円以上を納めていると、公費負担の対象外です。
年収でいうと、およそ500万円以上の方が対象外といえます。
対象外とされる方も、毎回の自己負担は軽減されるので申請しておくとよいと思います。
自立支援医療制度のメリット
ここで、自立支援医療のメリットを整理しましょう。
医療費負担が1割になる
自立支援医療制度を利用して、何より実感するのは医療費負担の軽減です。継続して治療を受けやすくなります。
受診料だけでみると、1回につき400円〜500円程度になるため、精神科専門療法の点数を考えても支払いやすい料金になるでしょう。
訪問看護やデイケアなども対象になる
精神科医療が対象となりますので、通院だけでなく、地域で暮らしながら治療を受けるための医療ケアも負担額が減ります。
入院せずに治療を続けていくためには、病院だけでなく、他の機関も利用して服薬管理などをする必要があるかもしれません。
自分の負担を減らして必要な機関へ協力をお願いしましょう。
月の自己負担額に上限負担額がある
住民税の納付額に応じて、0〜20,000円の上限が設けられています。
ひと月の通院回数が変わってしまっても費用の負担は抑えられます。
納税額が多い方は、この上限負担が対象外となりますので、申請時にご自身の所得区分をよく確認しましょう。
自立支援医療制度のデメリット
特筆すべきデメリットはありませんが、自立支援医療制度を利用するには注意点があります。
精神科医療以外は対象にならない
自立支援医療制度は申請した精神疾患にのみ適用されます。
他の疾患で病院にかかった場合、1割負担とはなりません。精神科を受診した際に、ついでに湿布や軟膏を処方してもらっても助成の対象とはなりませんのでご注意ください。
入院治療は対象外
通院治療のための制度なので、精神科入院は医療費助成の対象になりません。
医療保険が適用される治療のみが対象
病院外のカウンセリングなど、もともと医療保険の対象外だった治療には制度は適用されません。
医療保険が適用される病院内のカウンセリングは自立支援医療制度の対象となります。
さいごに
精神科に限らず、病気の治療に対して医療費で悩みたくありませんよね。
思いもよらない病気によって働けなくなってしまったり、収入が限られてしまったり、金銭的な負担は意外と大きなものです。
公的な制度を利用して治療に専念できる環境を整えましょう。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2018年5月9日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。