自立支援医療制度の申請方法・更新手続きとは?精神保健福祉士が解説
みなさんは継続して治療している病気はありますか?
風邪や急性胃腸炎など、短期間の治療でしか病院にはかかったことがないという方もいるかもしれません。
精神疾患の場合はどうでしょうか?
精神科治療は短くても半年、長いと何十年と続きます。
入院を避けて、なるべく今の生活を続けていくために定期的な通院と服薬が必要です。
精神科に継続して通院するとき、治療に専念したくても治療費が気になってしまいますよね。
働けなかったり、収入が限られている状態ではなおさらです。
継続治療を支えるために「精神科自立支援医療制度」があります。
公費による助成を受けて、治療を続けやすい環境を整えましょう。
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自立支援医療制度の申請方法
まず、精神科自立支援医療制度の利用対象者は、精神疾患をお持ちの方で通院による精神科医療を継続して必要としている方です。
その上で、自立支援医療制度の申請方法についてですが、年金などの手続きに比べて簡単です。
診療情報提供書を医師に書いてもらう
まず、医師に診療情報提供書を依頼します。
書式は医師が知っているので、自立支援医療制度を利用したいことを伝え、手続き用の診療情報提供書を書いてもらってください。
費用はだいたい4000~5000円程度で、ご自身で支払う必要があります。
診療情報提供書の発行には一週間程度かかります。
保健所で申請の手続き
診療情報提供書を受け取ったら、お住いの地域の保健所で申請手続きをします。
自立支援医療制度の実施主体は都道府県のため、お住いの地域によって申請書が少しずつ異なります。
都道府県のホームページから申請書をダウンロードすることもできますが、保健所で直接受け取るほうが簡単です。
申請書は保健所内にありますので、マイナンバーカードと健康保険証、所得確認のための書類を持参します。
所得確認のための書類は保健所内で取得できる場合が多いです。
保健所の窓口で精神科自立支援医療制度の申請をしたいことを伝えると、保健所の職員が申請書の記入について教えてくれます。
職員に従って、申請書の記入を進めましょう。
申請書は住所、氏名、電話番号などの基本情報のほか、自立支援医療制度を利用したい医療機関名と住所を記入する欄があります。
精神科自立支援医療制度では、基本的には通院している精神科と薬を処方してもらう薬局を1か所ずつ申請することができます。
必要があって、2か所以上の医療機関へ通院している場合には、そちらも申請書に記入しましょう。
また、医療費負担を軽減させる制度なので、訪問看護なども対象になります。
自立支援医療制度の対象となるのは指定医療機関です。
利用している医療機関が指定医療機関であるか、診療情報提供書を依頼するときに医師に確認してみてください。
医療機関と薬局の名前と住所、医療機関コードを記入します。
医療機関コードは保健所職員が照会してくれるのでそれを記入しましょう。
書類を記入し終わったら、申請は完了です。
生活保護を受給している方は、健康保険証などは必要ないので担当ケースワーカーに自立支援医療制度を利用したことを伝えて必要なものを確認してください。
申請から手続き終了まで
自立支援医療制度の手続きが完了すると、お手元に自立支援医療受給者証が届きます。
期間はだいたい2か月から3か月かかります。
その期間中、医療費の負担が続くわけではなく、申請時に保健所で申請書の写しをもらえるので医療機関にはそちらを提出してください。
しかし自治体によって、いつから助成が開始されるかにはばらつきがあるようなので、詳しくは手続きの際に確認が必要です。
自立支援医療制度の更新手続き
自立支援医療受給者証の有効期限は1年間です。
毎年、保健所での更新手続きが必要になりますのでご注意ください。
診療情報提供書の提出は2年に1回です。
申請のときと同様にマイナンバーや保険証を持参して保健所で手続きを進めましょう。
受給者証の初回手続きと更新手続きは記入事項がほとんど同じです。初回同様、更新書類を記入します。
更新手続きは更新月の2か月前から行えます。うっかり忘れてしまうこともあるので、早めに手続きすることをおすすめします。
もし手続きを忘れてしまった場合、診療情報提供書の提出年でなくても再度書類の提出が必要になります。
また、負担額も3割負担に戻ってしまうので忘れずに手続きするようにしてください。
さいごに
精神症状の治療は、継続した服薬がとても大切です。
理由で治療を中断してしまうと、必要な服薬ができず症状が再燃してしまったり悪化してしまったりする場合があります。
医療費が理由で治療を続けられないということがないように助成制度を利用していきたいですね。
経済的にも安心して治療を続け、症状が回復していくように祈っています。
精神科治療のほかにも公費助成制度は思いのほかたくさん種類があります。治療中の疾患について利用できるものがないか、区市町村や保健所に問い合わせてみるといいかもしれません。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2018年5月22日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。