うつで退職…その後の治療・お金・再就職はどうする?精神保健福祉士が解説

「うつのときは重大な決断をしないほうがいい。」とよく言われます。

 

仕事も「とりあえず辞めずに続けたほうがいい」と言われることのほうが多いです。

 

そんな中、「もう仕事に行くことも想像できない。」という状態になってしまい、退職される方もいらっしゃいます。

 

うつに限らず、病気による退職は予測できることではありません。

 

生活費のことや次の仕事のことなど、不安がたくさん出てきます。

 

そこでここでは、うつ病で思わぬ退職となった後のお金のことや生活について、お伝えしていきます。

 

【関連まとめ】

>>【うつと退職】治療・お金・退職の手続き・再就職【精神保健福祉士解説まとめ】

 

うつで退職、その後の治療の進め方は?

基本的に、精神科の治療は通院治療になります。

 

うつの治療は、向精神薬を用いた薬物療法を行うことがほとんどです。

 

精神科の治療になじみがないと、

 

「入院して、点滴でもすれば治るのではないか?」

「薬を使わなくても、少し休めば気持ちが回復するのではないか?」

 

と感じることもあるかと思います。

 

しかし、うつは過度のストレスや不眠などの理由で、脳がうまく働かなくなってしまう病気です。

・ストレスを取り除き、休養すること

・脳のはたらきをサポートする薬を使用すること

の両方が必要です。

 

もし、退職までに病院にかかっていなかった方は、精神科や心療内科を受診しましょう。

 

適切な治療を受けることが、回復への近道になります。

 

服薬が始まったら、ちょうどいい薬の量までは、処方を変えながら様子を見ることが多いです。

 

向精神薬(抗うつ剤)で、減ってしまったセロトニンという神経伝達物質の量を調整し、不眠があれば睡眠導入剤を使用します。

 

治療の初期は、「どうして何度も処方が変わるんだろう?」と不安になるという声をよく耳にしますが、精神科の薬は調整しながらの処方が一般的です。

 

家で休息をとりつつ、定期的な通院で症状を改善していくことが、治療の進め方です。

 

場合によっては、そこにカウンセリングや認知行動療法など、服薬以外の治療を組み合わせることがあります。

 

 

うつで退職、その後のお金の心配を解消するには?

退職して、収入がなくなることは大きな変化です。

 

貯金や生活費の余裕は人それぞれですが、保険や助成制度を活用していきましょう。

 

精神科自立支援医療制度

「退職したものの、金銭的に厳しく、病院から足が遠のいてしまう…」ということは避けなければいけません。

 

精神科自立支援医療制度は、通常3割とされている医療費(薬代も含む)の自己負担が、1割になる制度です。

・主治医の診断書

・マイナンバー

・所得証明や非課税証明書など市民税の負担についてわかるもの

・保険証

をお持ちの上、お住いの地域の保健所で申請手続きをします。

 

処方の状況によりますが、精神科の受診料と薬代を合わせると1ヵ月5000~10000円になることもありますから、負担がこれまでの1/3になるのは金銭的に助かるところです。

 

【参考記事】

>>自立支援医療制度とは?条件・メリット・デメリットを精神保健福祉士が解説

>>自立支援医療制度の申請方法・更新手続きとは?精神保健福祉士が解説

 

傷病手当金

在職中に加入していた健康保険から、傷病手当金を受け取れる可能性があります。

 

退職後に傷病手当を受け取れるのは「退職日当日に労務不可(病気やけがによって働けない)」の状態にあった場合です。

 

退職日まで連続3日以上、仕事に就けない状態が続いた場合、最大で1年半手当を受け取ることができます。

 

【参考記事】

>>傷病手当金の申請期間・書き方・金額・申請先を精神保健福祉士が解説

>>【傷病手当金】退職後の申請・任意継続の手続きを精神保健福祉士が解説

 

障害年金

病院でうつだと診断されてから、1年6カ月以上経過していれば、障害年金を受給できる可能性があります。

 

障害年金には、障害基礎年金、障害厚生年金それぞれ1、2級と、障害厚生年金のみ3級があります。

・うつによってはじめて病院にかかった日がわかる(初診日)

・初診日までの間に年金の滞納がない(納付するか、免除申請をしている)

・初診日から1年6カ月経過している

上記の条件を満たすことで、障害年金の申請ができます。等級については「ひとりで日常生活を送れるか」を基準として主治医の診断書をもとに判断されます。

 

【参考記事】

>>障害年金とは?等級・金額・所得制限について精神保健福祉士が解説!

>>障害年金の受給資格・申請方法のポイントって?精神保健福祉士が解説

 

④失業保険

傷病手当金の支給期間が終わった後、就職活動を行うことを前提に失業保険を受け取ることができます。

 

働いていた期間が1年以上であれば、働いていた期間に応じて給与の2/3程度を受け取ることができます。

 

失業保険の申請には「在職中、雇用保険に加入していた」「現在無職で、就職活動中である」ということ以外に、条件はありません。

 

仮に、傷病手当金や障害年金の受給に至らなかった方でもほとんど受け取ることができます。

 

申請は、最寄りのハローワークで行うことができ、国民年金免除申請についても説明があるので、詳しくはハローワークで聞いてみるとよいでしょう。

 

 

うつで退職、その後の再就職の進め方は?

「症状が和らぎ、また働こうかな」という気持ちになったら、気になるのが再就職の進め方です。

 

療養期間を経て、多くの方が心配をするのが生活リズムの変化と体力の低下です。

 

朝、なかなか起き上がれず、通勤が不安になってしまったり、退職前にフルタイムで働いていたことが果てしなく遠いことのように感じられたり…。

 

「少し体を慣らさないと無理だな。」と感じる部分が出てきます。

 

3~4時間程度の短時間のアルバイトから働くことに慣れていくというのもよいですが、社会資源を利用してみるのもいいと思います。

 

近年は、病院でリワーク(復職)支援を行っていることも多いです。

 

精神科デイケアで、プログラムを通して復職のためにリハビリを行います。

 

また、福祉サービスの中には、精神疾患の方が利用できる障害福祉サービスというものがあります。

 

働く訓練をするには、就労継続支援事業所と就労移行支援事業所があり、施設で働く練習をしていく就労継続支援A型・B型と一般就労を目指していく就労移行支援事業所があります。

 

就労移行支援事業所では、精神科デイケアのリワーク支援と同様に、再就職するためのプログラムを行っています。

 

精神科デイケアのリワーク支援と就労移行支援の違いは「医療機関であるか」「地域・企業の支援であるか」です。

 

プログラムそのものに大きな違いはありませんが、実際に訪れてみて働く環境に近いところを選ぶといいと思います。

 

Remeでも、就職活動や働く中での悩みをサポートしているので是非ご活用くださいね。

 

【参考記事】

>>就労移行支援とは?期間・対象者・利用料を精神保健福祉士が解説

 

 

さいごに

うつで退職という決断をされた方、これまでお疲れ様でした。

 

不安もたくさんあるかと思いますが、ひとつの職場を辞めることは悪いことではありません。

 

病状がよくなったら、ゆっくりその次を考えていけるように、うまく社会資源を活用していきましょう。

 

【関連まとめ】

>>【うつと退職】治療・お金・退職の手続き・再就職【精神保健福祉士解説まとめ】

菊池恵未

精神保健福祉士

精神保健福祉士として、都内NPOにて精神障害者の支援を行う。就労支援担当として面接同行や就職後の業務メニュー作成などをしてきた。障害年金や生活保護受給の相談にものっている。JCTA日本臨床化粧療法士協会認定のもと臨床化粧アドバイザーとしてメイクアッププログラムを実施。

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