うつ病の部下への接し方…部下のSOS・NG対応・3つの心構えとは?臨床心理士が解説

2018.10.24公開 2018.10.30更新
 

職場の部下がうつ病を抱えている、うつ病のように見えて気にかかる…。

 

そんな難しい状況に置かれた時、戸惑いが生じるのは当然のことです。

 

その接し方や、声のかけ方に悩むことも多くあるかと思います。

 

そんな時のために、「うつ病の部下への接し方」について考えてみたいと思います。

 

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うつ病の部下が上司に出すSOSとは?

うつ病を発症する前には、「気になる兆候」が見られる場合が多いものです。

 

この兆候をいち早くつかみ、適切な対応を取ることでうつ病の発症や進行を食い止めることが出来るかもしれません。

 

遅刻や欠勤が増えた

うつの症状は、早朝から午前中にかけて特に強く出現し、夕方から夜にかけてやや軽くなっていく特徴があります。

 

これを「日内変動」と呼びます。出勤時間帯は症状が強く出る時間帯でもあり、遅刻や欠勤が増えるケースが多くみられます。

 

痩せ始めた、顔色が悪い

・急に痩せ始めた

・顔色が悪い

・食事を摂っている様子がない

といったこともよくあります。

 

うつ病によって食欲がなくなったり、何を食べてもおいしく感じられなくなってしまうためです。食事の回数が減ることもあります。

 

集中力がない、ミスが増えた

うつの症状の一つに、「寝ようとしても寝られない」「朝早くに目が覚める」といったような睡眠の不調があります。

 

ぐっすりと眠ることが出来ないので、日中にぼーっとしてしまったりうっかりミスが目立ってきたりします。

 

これとは逆に、1日中でも寝ていられるほどの「過眠」を呈する人もいます。

 

この場合も、眠気によって作業に支障をきたすことがあります。

 

口数や付き合いが減った

これまで普通にできていたことが負担となり、口数が減ったり、付き合いの場に来なくなるといった状態も見受けられます。

 

人と接するような明るい気持ちになれなかったり、付き合いそのものに多大な努力が必要となってしまったりするからです。

 

 

うつ病の部下への接し方でやりがちなNGの接し方

何気ないコミュニケーションでも、知らず知らずのうちに相手を傷つけてしまうことがあります。いくつかポイントをしぼってご紹介します。

 

【NG対応1】叱る

うつ病を抱えた人の中には、自責感や罪悪感を強く抱いていることがしばしばあります。

 

「どうしてこれくらいのことが出来ないのか」

「甘えた気持ちでいてはいけない」

 

といった本人の頑張りを否定するような叱り方は、自分へのネガティブな感情を大きくさせ、苦しい気持ちを増幅させてしまいます。

 

【NG対応2】むやみに励ます

「頑張って早く治そう」「病は気からと言うから」などと、本人のペースを乱したり無理に元気を出させようとする励まし方も良くありません。

 

うつ病とは、心のエネルギーが底を尽いている状態です。

 

その人はこれ以上できないほど頑張っているばかりでなく、心身ともに疲れきっています。

 

症状を軽快させるためには、頑張るのではなく休養することが必要です。

 

【NG対応3】あいまいな指示

一緒に仕事をする時は、大雑把な指示をしないようにしましょう。

 

うつの症状に「思考力の低下」があり、

・ものを考えにくい
・忘れっぽい
・判断力が鈍る

というようなことがよく見受けられます。

 

何を、どれだけ、いつまでにやるのか、といったことを明確にし、仕事量が本人にとって適正か注意深く見ていくことが重要です。

 

 

接し方で失敗しないための3つの心構えとは?

うつ病だからと言って、基本的には特別な扱いをする必要はありません。

 

それまで通りの自然体で接する方が、返って本人も気持ちがラクになることが多いものです。

 

その一方で、本人をうかつに傷つけてしまわないために「おさえておくと良いポイント」もあるようです。

 

本人は想像以上に苦しいと理解する

まずは、うつ病を抱えた本人は、

 

「こちらが想像もつかないくらい苦しい気持ちでいる」

「その苦しさは、味わっている本人にしか分からない」

 

ということを理解しましょう。

 

本人は、それまで通りに仕事が出来ないことに焦りや罪悪感を感じがちですが、

 

「今はそれで良いんだよ」「十分だよ」と、その頑張りを認めるのも大切なことです。

 

話しやすい雰囲気を心がける

心身ともに疲れてきた時に、弱音を吐ける雰囲気を作っておくことも重要なことです。

 

うつ病を抱えた人のためだけにではなく、相手の意見に耳を傾ける姿勢や自分の考えだけを押し付けない柔軟な態度を、普段から心がけておくと良いのかもしれません。

 

重要な決断ほど先送りさせる

場合によっては、部下から離職や配置換えといった重要な相談をされることがあるかもしれません。

 

しかし、うつの状態によっては、必要以上に悲観的になっていたり自信を無くしてしまったりすることがあり、そのことを思いつめたが故の行動であることも考えられます。

 

重要なことほど本人が回復した時に決めてもらうようにし、まずは治療をサポートする姿勢でいることを伝え返してあげてください。

 

 

さいごに

部下がうつ病になってしまうことを想定し、その接し方について考えてきました。

 

最後に、これまで見てきたことと同様に不可欠なことは「うつ病に関する正しい知識を身につける」ということです。

 

「うつ病は甘え」と言われることがあったように、誤った理解は本人を傷つけ、余計に苦しめてしまいます。

 

誰もが無理なく働くことのできる職場づくりのためにも、正しい知識と適切な接し方を一人ひとりが学んでいく必要があるように思います。

 

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鈴木さやか

臨床心理士

心理系大学院修士課程を修了後、臨床心理士資格を取得。福祉分野のケースワーカーとして従事したのち、公的機関でテスター兼カウンセラーとして勤務。子どもの問題(不登校、非行、発達障害等)や労働、夫婦問題をはじめ、勤労者、主婦、学生など幅広い立場への支援を行っている。

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