うつ病の接し方として「ほっとく」はアリ?OK・NGケースを臨床心理士が解説

2018.10.27公開 2018.11.01更新
 

うつ病を抱えた相手から「ほっといて」と言われた時、私たちはどうするべきでしょうか。

 

その人のことが心配だけれど、当の本人がそっとしておいて欲しがっているし…と、迷ってしまうこともあるかもしれませんね。

 

今回は、「ほっといてもいいのか、そうでないのか」といった判断の難しい状況について、一緒に考えていければと思います。

 

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うつ病の人が「ほっといて」と言う心理

うつを抱えた人が「ほっといて」欲しいとき、その裏側には様々な理由があります。

 

いくつかポイントを絞って見ていきましょう。

 

人と接することへの興味や意欲が持てない

うつ病とは、心のエネルギーが底を尽きかけている状態です。

 

普段行っていた何気ないことも、その人にとっては多大な力を必要とする作業のように感じられます。

 

その結果、何かをすることがとてもおっくうに感じられたり、そのものへの意欲を持てなくなってしまいます。

 

憂うつな気持ちで人と会う気になれない

うつ病の代表的な症状に、「抑うつ気分」があります。

 

抑うつ気分とは「憂うつ」「悲しい」「泣きだしたい気持ち」といったような、気分の落ち込みのことです。

 

抑うつ気分が強くてとても人と接する気になれない…という状態はよく見られるものでもあります。

 

強い倦怠感(体のだるさ、おもさ)のため

うつ病の患者さんの中には、身体症状として強い倦怠感や疲労感を訴える人もいます。

 

ちょっとした行動でもひどく消耗し、疲れきってしまうのです。

 

場合によっては布団から起き上がることも困難といったこともあり、このような症状から誰かと接することが難しいというケースも見受けられます。

 

 

「ほっとく」がOKな3つのケース

うつを抱えた本人から「ほっといて」と言われた時、本人の意思を尊重したほうが回復が早い場合もあります。

 

心配な気持ちは尽きませんが、適度な距離を保つことも時には大切です。

 

ここでは「ほっといてもOKなケース」を考えてみましょう。

 

本人の安全を確認できる人がいる

家族やパートナーと同居していたり、親戚や友人、職場の仲間などがすぐに本人の状態を確認できる場合は、「ほっとく」のがOKなケースと言えるかもしれません。

 

特に、本人の状態が落ち込んできたときに迅速に対応できる人が居ると心強いです。

 

きちんと通院し、本人の気分も安定している

決められた通りに通院してカウンセリングや服薬等も正しく行えている、

かつ、

本人の状態も比較的安定している(極端な、あるいは急な気分の変調などがない)

場合も、本人のペースに任せておくことが許容できるケースです。

 

引き続き、回復への過程を見守ってあげてください。

 

食事や睡眠、日課などを自分で行うことが出来る

食事や睡眠、入浴など、生活上の基本的な行動を自律的に行える場合は、うつ病の症状が穏やかになっているサインであると考えられます。

 

こういったことが見られるときは、無理に接点を持とうとせずに、本人が望めば距離を置いておくのも良いかと思います。

 

 

「ほっとく」がNGな3つのケース

これまでとは逆に、うつ病の人を「ほっておいてはいけないケース」も存在します。

 

その人を守るために、知っておきたいポイントをおさえておきましょう。

 

「死にたい」「消えたい」など命に関わる発言がある

うつ病を抱えた本人が、「死にたい」「消えてしまいたい」というように命にまつわる発言をすることがあります。

 

加えて、妄想がみられる場合や、自身の無価値感(自分に価値がないと思う気持ち)や絶望感が語られる場合もあります。

 

これらは、うつ病の症状が重いことを示しています。

 

本人の話にしっかりと耳を傾け、緊急を要しそうな場合は主治医へ連絡するなどの対応をとりましょう。

 

本人の安全が確認できない

きちんと通院が出来ていなかったり、人間関係が希薄であったりすることから、誰も本人の状態を確認できない場合も、「ほっとく」のは危険であると思います。

 

本人の負担にならない程度に連絡をしたり、家を訪ねたりして安全を確認することが望ましいです。

 

「こちらに構わなくていいので、時々連絡(訪問)させてほしい」と事前に話しておくことで、本人の負担感を軽減できることがあります。

 

普段とは異なる不自然な様子がある

・突然イライラする

・強い不安感を訴える

・極度の不眠

上記のような、普段とは違う不自然な状態がある時も注意が必要です。

 

うつの症状が強くなっているサインであることがあり、場合によっては自分を傷つけることの予兆であることもあります。

 

精神的に不安定な状態ですので、長い間ひとりにしておかないようにしましょう。

 

 

さいごに

うつ病を抱えた方に「ほっといて」と言われた時の対応について考えてきました。

 

便宜上、こちらの記事では「ほっとく」という言葉を使ってきましたが、

「ほっとく=距離をとりながら見守る」

という意識でいることが重要です。

 

うつ病の患者さんは、その症状の特性から孤立してしまいがちです。

 

「ほっといて」という言葉だけに応えるのではなく、寄り添う視点も持ち続けることこそが本人の力になるのではないかと思います。

 

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鈴木さやか

臨床心理士

心理系大学院修士課程を修了後、臨床心理士資格を取得。福祉分野のケースワーカーとして従事したのち、公的機関でテスター兼カウンセラーとして勤務。子どもの問題(不登校、非行、発達障害等)や労働、夫婦問題をはじめ、勤労者、主婦、学生など幅広い立場への支援を行っている。

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