精神科デイケアとは?対象・目的・費用・利用方法・事例を社会福祉士が解説
精神科デイケアの目的
デイケアは通院治療の一環になります。
主に、日常生活のリズムを整えたり、仲間づくり、地域で生活したりするうえで、必要な技能を身に着けるためのさまざまなプログラム活動などを行う場所です。
デイケアスタッフは、規模によって異なりますが、医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士など数名の医療専門スタッフが備えられています。
また、デイケアは集団的ケアの場ですが、それ以外にも、個々人の抱える問題や悩みなどに個別でも対応し、ひとりひとりに合った援助計画を立ててくれます。
活動時間帯は、大抵9時から15時までぐらいが多いようです。
精神科デイケアの費用
デイケアは、通院治療のひとつに含まれるため、基本的には、3割負担でサービスを利用することができます。
また、外来治療費が安くなる自立支援医療を申請している方は1割負担での利用が可能です。
精神科デイケアの申請方法、利用方法
デイケアを利用したい方は、まずは主治医に相談をしてみてください。
用意する書類などは以下のとおりです。
1.デイケア利用申し込み書
2.デイケア指示箋
3.デイケア利用同意書
4.印鑑
5.保険証
(この5つが主な書類ですが、デイケア施設によっては他の書類などが必要になる場合があります)
デイケアサービスを利用するのにふさわしいと判断されたら、主治医がデイケア指示箋という書類を記載します。
これは主治医によって、利用者がデイケアサービスを受けることに値するという証明のようなものです。
その上で、利用者もデイケアサービスを受けることに同意をするといったデイケア利用申し込み書とデイケア同意書などへの記入が必要です。
それらをデイケア担当スタッフや病院などの事務へ提出することで申請します。
基本的には、自分が通院治療を受けている病院併設のデイケアに参加することが一般的です。
ただ、かかりつけの病院にデイケアがなかったり、自分の受けたいプログラム活動を行っていなかったりなどの場合は、他のデイケア施設の利用を希望することも可能です。
精神科デイケアに該当する事例
【Aさん20代女性】パニック障害で、現在は無職
一般企業での再就職が目標
Aさんは、百貨店で販売員の仕事をしていましたが、不規則な勤務体制と接客業のストレスにより、ある日突然息苦しくなり、通勤もできなくなる状態が続いたことから職場を退職。
精神科病院を受診すると、「パニック障害」と診断され、発作も頻繁に起こっていたことから、入院治療をすることになりました。
3ヶ月後、症状が改善したため退院。通院治療を続けながら、いずれ再就職をできるよう望んでいましたが、病気により再就職へのブランクが空いてしまったため、面接の受け方や人とのかかわり方に自信を失っていました。
そこで、Aさんは再就職するためのアドバイスや技能を身に着けたいと、デイケアの復職プログラムに関心を持ち、主治医に相談しました。
すると、主治医も復職へのリハビリが必要だと感じ、デイケアを勧めましたが、このかかりつけ病院に復職プログラムはありませんでした。
そこで、復職プログラムを持つデイケアを主治医と専門スタッフ、本人で探したところ、B病院のデイケア復職プログラムが見つかり、B病院も受け入れ可ということだったので、AさんはB病院のデイケアに通所するようになりました。
現在、面接のやりとりの練習や人との上手な対話の方法、好感が持てる履歴書の書き方などを学び、再就職を目指しています。
精神科デイケアの注意事項
デイケアには各々の施設で、さまざまなプログラムが実施されています。
そのため、自分のかかりつけの病院のデイケアが自分の求めるプログラムや適するものではない場合もあり得ます。
そのような時は、自分がどういうサービスを求めているのかを再確認したうえで、適切な場所を主治医たちと共に探す必要が出てきます。
また、実際にデイケアプログラムを体験しないと、本当に自分にその場所が向くかどうか分からない場合もありますので、本格的に参加する前に見学や体験通所を行ってみると良いでしょう。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2017年1月14日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。