当事者会とは?対象・支援内容・費用・申請方法・事例を社会福祉士が解説
当事者会の支援内容
同じ精神疾患を持つ仲間とともに、自分の悩みを分かち合ったり、相手の相談にのるなどの体験を通して、相互扶助の関係を築いたり、医師などの専門家を呼んで、病気や薬の知識、利用できる制度などについて学んだりします。
また、当事者自身が市役所などで病気に関する講演会を開き、地域社会の人々に、<strong>病気への理解や差別をなくすための啓発活動を行います。
当事者会が開かれる場所はさまざまで、病院や作業所などの一角や市役所、各当事者グループが指定するところなどがあります。
当事者会は、参加者同士がともに創り上げる「インフォーマル」なネットワークだと言えるでしょう。
当事者会の費用
無料で参加できる場所や会費制、低額の利用料などさまざまです。
多くの場合は、高額な費用はかかっていないようです。
当事者会の利用方法
当事者会は、病院や施設、地域社会、市役所、個人などさまざまな場所で開催されていますので、当事者会に参加したい方は、それぞれの窓口に問い合わせをしてみると良いでしょう。
また、主治医や医療スタッフがそれらの情報を知っている可能性も高いので、彼らに尋ねてみると良い情報が手に入るかもしれません。
当事者会に参加したい場合は、上記のような運営主体の窓口へ、以下のようなものを提出することが多いと言われています。
1.当事者会参加申込書
2.現在抱えている問題を記入する相談シートなど
これらの書類は、必ずしも必要ではないこともあります。
また、各団体によって書類の呼び名や揃えるものが異なる可能性も高いです。
当事者会の申請は、直接窓口に申し込むこともできますが、最近ではインターネットのホームページ上から申し込みができるようになっている団体も多くなっているようです。
時間がなかなか取れない方や、目的地までの交通の便が悪い方でも気軽に申し込みができる点が魅力です。
また、パソコンが苦手な方のために、郵送での申し込みを行っている団体もあります。
申し込みの受理までに多少時間がかかるかもしれませんが、高齢の方などには助かる手段だと言えます。
当事者会の事例
Bさん 20代女性 双極性障害
Bさんは、両親とともに実家で生活し、短期のアルバイトを時々しながら暮らしています。
通院治療を行っているので、症状が激しく出ることはないのですが、調子が良くなると服薬を勝手に中断してしまう癖があります。
そのときは、気分が落ち込みがちになり、アルバイトを辞めてしまったり、躁状態になったときは自分が何でも出来る気持ちになり、大量に買い物をしてしまい、後で金銭に困ったりという事態になるなどの問題を抱えていました。
この様子を見ていた両親は、Bさんに自身の病気のことをもっと理解する必要があると感じ、主治医に相談。
すると主治医は、Bさんが病気の詳細やそれに対する考え方、注意点などを双極性障害専門の当事者会で学んでみてはどうかとアドバイスされました。
それを両親はBさんに伝えると、Bさんも興味を持ち、市役所にそのような当事者会がどこかで開催されていないかを尋ねてみました。
すると、近郊の市役所で当事者会があることが分り、早速参加してみました。
その当事者会は、精神医療分野に精通している専門家を月替わりで呼び、病気について医学的観点からや生活的観点などから説明してくれるものでした。
そこでBさんは、自分の調子が良くなっても、服薬を続ける必要性があること、そうしないと症状が悪くなってしまい、他人も自分自身も傷つけてしまう可能性があることがよく理解できるようになりました。
その後もBさんは、定期的に当事者会への参加を続けています。
当事者会の注意事項
当事者会は、同じ精神疾患を抱える方たちにとって、心強いネットワークです。
ですが、まだ全体的には当事者会の数は少なく、自分が住んでいる場所の近くに適する当事者会があるとは限りません。
自分で当事者会を探すことに限界を感じたら、市役所や保健所に地域の当事者会の情報を尋ねてみることがおすすめです。
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- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2017年1月21日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。