メンタルを癒やす自宅での過ごし方を臨床心理士に聞きました
コロナ疲れ、コロナヘイト、コロナ離婚、デマの拡散、買い占め問題…
外出自粛という非常事態が続くだけでもストレスなのに、ネガティブなニュースに触れてさらにイライラが募ってしまっている人も少なくないと思います。
コロナ疲れで、空の青さや人の温かさまで見失っていませんか?
「世の中に安心できる場所はない」と感じてしまってはいませんか?
新型コロナウイルスに伴うメンタルヘルス相談はRemeにもたくさん届いています。
そこで今回は、非常時におけるメンタルケア方法について、日本赤十字社や日本心理学会などの情報に基づいて臨床心理士の三瓶真理子さんに教えていただきました。
三瓶真理子さん
臨床心理士・公認心理師。大学・大学院でロジャーズのカウンセリングを主に学び、その後は認知行動療法のトレーニングを受ける。約13年間にわたって精神科クリニックの心理カウンセラー、企業内の産業保健スタッフ(心理職)、外部EAP(従業員支援サービス)機関の臨床心理士として従事。2016年にEASE Mental Managementを開設
〈インタビュアー 近藤雄太郎〉
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目次
非常時に起こりやすいメンタルの状態
【不確実性からくるネガティブな感情の例】
・この先はどうなるのか、この状態はいつまで続くのかという漠然とした不安
・自分や家族が感染してしまうのではないか、感染してしまったらどうすれば…といった心配
・仕事や収入がなくなったり、生活に必要なものがなかなか手に入らなかったり、持病の通院ができなくなったなどの現実的な心配
・うまくいっていた活動や仕事、期待していたことが突然なくなってしまった「悲しみ」や「落ち込み」
・繰り返されるネガティブなニュースや情報に繰り返し触れることでの「疲れ」や「気分の沈み」
・体を動かすことが減り、日々のルーティンが崩れることでの「だるさ(倦怠感)」
・今まで話ができていた人と話せなくなった、社会的距離が離れてしまったことによる「孤独感」
こうした不安や心配が、不眠や息苦しさ、そわそわして落ち着かない感じとして現れる方もいらっしゃいます。
そして、そのイライラが身近にいる人やSNS上の他人にまで向くこともあるかもしれません。
実際に、「イギリスでは、DVに関する電話相談が65%増加し、フランスでも配偶者間の暴力が36%も増加している」(NHK 国際報道2020)という報告もあります。
【主な相談先】
・DV相談ナビ(内閣府)
0570-0-55210(全国共通の電話相談窓口)
平日の午前9時から午後4時までは、この番号から各地の配偶者暴力相談支援センターにつながります。
・DV相談+(プラス)(内閣府)
0120-279-889
※4月20日からはドメスティック・バイオレンス相談+(全国共通・午前9時から午後9時まで)の対応が始まり、4月29日からは24時間受付とのことです。
※最新情報は上記リンク先等でご確認ください
しかし、毎日憂うつな状態が続いたり、以下の状態が続いているようなら注意が必要です。
【注意すべき抑うつ状態の例】
・毎日気分が沈んでいる
・毎日眠れない、または寝過ぎてしまう
・いろいろなことに興味がなくなり、好きなはずのことも楽しめない
・毎日自分についてネガティブに考えたり、自分を責めたりしてしまう
・毎日何かに集中して取り組むことが難しく、些細な決めごとにも時間がかかる
感染者などを責める心理的な背景
この状況下で、感染者をはじめとする他人を責めてしまうのもやはりストレスなどが理由でしょうか?
「悪いことをした人には悪いことが起こり、良いことをしていれば良いことが起こる、といった決められたルールがあると考える」
という認知バイアスのひとつです。
でも実際、ウイルスへの罹患だけでなく、天災や犯罪被害など望まないことが起こることは誰にでもあるものですよね。
先が見えない状態で、この公正世界信念がネガティブに働いている人が多いのかもしれません。
・私たちは、このようなこころの働きを持ちやすいことを知っておくこと
・責められている人を見たときに、責める側の「公正世界信念」というこころの働きが働いているかもしれないと想像してみること
が大切になります。
「感染した人が教えてくれることから学び、どうしたら自分を守れるかに目を向けよう」
と思うことの方が、長期的にみて安心感に繋がるはずです。
怒りや攻撃的な言動でストレス発散って有効?
怒りや攻撃的な言動は自分の身を守るための表現でもあるからです。
ただ、「何に対しての怒りか」を履き違えてしまうと、それを聞いた人との関係の悪化や、自己嫌悪などにつながりかねません。
「こんな状況でも自分の気持ちに対処しようとしている自分は偉いな」
などと自分を褒めてあげると、気持ちがおさまるのを感じられるかもしれません。
・体を動かすことで発散させたり、場所を変えてみる
・自分の気分が変わる行動をしてみる
・自分が何を守ろうとしているのか考えてみる
といった方法で、ストレスに対処することもあります。
怒りでスッキリできてもその効果は一時的とも聞いたことがあったので、ぜひ実践してみたいと思います。
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2020年4月20日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。