転職時にうつ病を隠す?申告する?それぞれのリスクを精神保健福祉が解説

2018.10.29公開 2019.05.16更新

転職を考えている時、会社にうつ病を隠したままにするのか?打ち明けるのか?迷いますよね。

 

面接時に「実はうつ病なんです…」なんて打ち明けたら、採用の合否に影響するのではないかという不安もある一方、

 

うつ病を隠して転職したら職場でのストレスによって病気が悪化してしまうのではないかという不安もありますよね。

 

そこでここでは、うつ病を申告して転職した場合(クローズ就労)とうつ病を隠して転職した場合(オープン就労)についてお伝えしていきます。

 

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うつ病を隠して転職する事例は?

では、どういった人がうつ病を隠して転職するのでしょうか?

 

“働きたい” “働かなければ”と思った時、「うつ病を打ち明けたら就職できないのでは?」という不安を持つ人は少なくないと思います。

 

こういった「採用重視」でうつ病を隠して転職をする人がいます。

 

もし採用されたとしても、

・うつ病を理由に自分に仕事が回ってこないのではないか、

・任される仕事が減ってしまうのではないか、

つまり、給料が減ってしまう不安がある人もうつ病を隠して転職する理由の一つです。

 

また、うつ病の方は人間関係にも敏感です。

 

そのため、うつ病を打ち明けたことにより、職場内での偏見や同情に耐えられないという人も中にはいます。

 

 

うつ病を申告して転職する事例は?

一方で、うつ病を申告して転職する場合はどうでしょうか。

 

そもそも、うつ病を申告したら採用されないのでは?という不安もあるかと思います。

 

しかし、前の職場では上手くいかなかったが故に、次の職場ではそうならないために自分の症状を職場に理解してもらおうと、うつ病を申告して転職する人が増えてきています。

 

例えば、「腰痛があって力仕事はできれば避けたいが、頼まれると断れない」なんていう人は、面接時に伝えることで力仕事の代わりに他の自分の得意分野を任され、その分悩みの種が減ったという人もいます。

 

他には「通勤時の混雑が苦手」なんていう人は、勤務時間をずらして人が少ない時間帯に通勤する人もいます。

 

こういった職場上配慮してもらうことで、うつ病でありながらも上手く働いていく方法があります。

 

また、障害者雇用や障害者の就労支援を行っている機関から支援を受けながら働く方法もあります。

 

 

うつ病を隠して転職する3つのリスク

「それでもうつ病は隠して転職したい」という方にうつ病を隠して転職する際のリスクと対処法についてお話します。

 

職場の配慮がないためストレスが溜まる

もちろん、転職先はうつ病のことを知らないので健常者と同じように扱います。

 

そのため、

「なんでこんなこと言われなきゃいけないんだ」

「自分はうつ病だからこうしてほしいのに…」

という事案が発生する可能性があります。

 

体調が悪いとき職場の理解が得られない

うつ病の症状でどうしても体調が優れず、出勤できない時があると思います。

 

そんな時、休みの連絡を会社に入れたら、

「急に休まれても困る」

「どうしても出勤できないのか?」

なんて言われたら余計体調が悪化しますよね。体調が悪いとき職場の理解が得られないのもリスクの一つです。

 

 

困ったとき自分でなんとかしなければならない

うつ病を隠して転職したということは“うつ病でない人”として働いていかなければいけないのです。

 

前述したようにストレスが溜まった時、体調が悪くなった時に“うつ病でない人”として対処していかなければならないのです。

 

これらの対処法としては、うつ病を隠して転職しましたが、やはり上司や職場の誰かにうつ病を打ち明けることが必要になってくると思います。

 

それがどうしても嫌な人は退職し、また次の職場を探すことになると思います。

 

 

うつ病を申告して転職する際の注意点は?

次にうつ病を申告して転職する際のリスクと対処法についてお話していきます。

 

採用されにくくなる

うつ病を申告した場合、やはり一番のリスクになるのが「採用されにくくなる」ことです。

 

障害者雇用をしている会社でも断られるケースはあります。

 

仕事が限られる

次のリスクとして、採用されたとしても「仕事が限られてくる」可能性があります。

 

「自分はもっと仕事をしたいのに」と思っていても、会社の人があなたの負担になってしまうと判断した場合は任される仕事が限られてきます。

 

職場の負担が重くなる

最後に、「職場の負担が重くなる」ことです。

 

会社側はあなたのために様々な配慮をしてくれるわけですから、当然職場の負担は大きくなります。

 

「自分が迷惑をかけてしまっている」とあなたのストレスになる場合もあります。

 

これらの対処法として、先述したように障害者雇用や障害者就労のサポートを利用する方法があります。

 

障害者雇用を行っている企業では、職場適応援助者(ジョブコーチ)と呼ばれる障害者雇用を専門とする人たちが関わっている場合が多く、これらのリスクに上手く対応してくれます。

 

また、障害者就労のサポートには

・障害者職業センター

・障害者就業・生活支援センター

・障害者移行支援事業所

・就労継続支援A型事業所

など様々な機関があり、就労や生活面をサポートしてくれます。

 

こういった機関を利用することも対処法の一つです。

 

 

さいごに

ここまでうつ病を隠して転職するか、申告して転職するかについてお話してきましたが、一番大切なのはあなたの体調です。

 

働ける状態なのか主治医に相談することが第一歩になると思います。

 

それからは障害者の就労支援を受けてみるのはいかがでしょうか?

 

就労だけでなく、生活面など様々な面で支援してくれます。

 

うつ病は見えない病気、故に一人で抱え込まないで周囲の助けを借りることで、うつ病と上手く付き合えるのではないでしょうか。

 

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中川里沙

精神保健福祉士 訪問型職場適応援助者 認定心理士

心理学の大学を卒業後、精神保健福祉士養成の専門学校に通い、精神保健福祉士を取得。障害者就労継続支援B型事業所の支援員として障害者の就労支援に関わる。その後、NPO法人の訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)として精神障害者を中心に就労支援を行う。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年10月29日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。