発達障害で仕事のミスが多い…すぐできる3つの対策とは?臨床心理士が解説

2018.11.08公開 2019.05.16更新

最近、成人の方で「自分は発達障害かもしれない」と相談にいらっしゃることが増えています。

 

なぜ大人になってから気づくのかといいますと、社会に出ると困難な場面にたくさん遭遇するからです。

 

学生の頃は「少し変わっているね」と個性として受け入れられていた発達障害の特徴。

 

社会人になると個性ではなく、集団からずれているものとして悪目立ちしてしまう場合があります。

 

学生時代は「忘れ物が多いうっかりキャラ」「いつもケアレスミスするドジなやつ」とみんなの笑いを取っていても、社会に出てからは同じようにいきません。

 

でも、いきなり生き方を変えるなんて大変なことです。

 

学生時代はうまくいっていたのに、状況が一変するのは本当につらいことです。

 

そこで今回は、発達障害はなぜ仕事のミスが増えてしまうのか、どう対策すればいいのか解説していきたいと思います。

 

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発達障害で仕事のミスが増える原因って?

1.集中力のコントロールが苦手

発達障害の方には集中力をコントロールするのが苦手という特徴があります。

 

集中しなければならない場面でなかなか集中できなかったり、他のものにも気を配らなくてはいけない場面で集中しすぎてしまいます。

 

例えば、仕事中にぼーっとしていて指示を聞き逃したり、集中しすぎて電話や回りの声が入ってこなかったりします。

 

2.ワーキングメモリーの機能が十分に働かない

ワーキングメモリーとは、一時的に記憶を保持するシステムです。

 

例えば、電話番号を一時的に覚えたり、複数の作業を同時にこなすときに使う、人間に備わった記憶システムのひとつです。

 

発達障害の方は、ワーキングメモリーの機能が十分に働いていないという説があります。

 

そのため、ワーキングメモリーの影響で、同時に作業をこなすようなマルチタスクが苦手だったり、いっぺんに複数の指示を出されると、どれかが抜け落ちて忘れてしまうことがあります。

 

3.衝動性のコントロールが苦手

発達障害の方には衝動性をコントロールするのが苦手という特徴があります。

 

例えば、思いついたら即行動のように、しっかりと考える前に行動に移してしまいます。

 

何か作業の途中でも、思いついたら他のことをやり始めて、それぞれの作業が不十分になります。

 

また、確認せずに仕事を終了してしまうことが、ミスの多さにつながる場合もあります。

 

 

発達障害でミスの多さを改善する対策は?

1.時間で区切る

集中しすぎてしまう場合は、時間で区切ることも大切です。

 

集中しすぎることで気づかないうちに疲労をため込んでしまいます。

 

疲労が蓄積することでミスにもつながります。

 

10時と15時にはコーヒー休憩の時間など、あらかじめ決めてしまうことで、適当な休憩を取ることができます。

 

集中力を継続させるには練習が必要です。

「まずは1分、次は5分間は集中しよう」

と、時間で区切り、少しずつ集中できる時間を延ばしていくことも大切です。

 

2.メモ魔になる

上司から指示されたこと、気になったこと、なんでもメモしましょう。

 

「これは覚えてられるだろう」という簡単なこともメモするのがポイントです。

 

あとから見返すと、意外と覚えていないもの。

 

細かいところまでメモすることで、ミスなく仕事をすることができます。

 

一度間違ってしまったものを、注意点としてメモしておくのも良いでしょう。

 

3.確かめをする

最後に、確かめをすることも大切です。

 

確かめをせずに、仕事を終えるのは楽ですが、ミスにつながりやすくなります。

 

例えば、エクセルに関数が入っているから数字だけ入れれば大丈夫だろうと思っても、数式が壊れている可能性もあります。

 

最後にもう一度、手で計算をしてみる、文章なら読み返してみる、など確かめはするように心がけましょう。

 

 

仕事のミスを減らす上での注意点

今回ご紹介した対策を実施してみても、仕事のミスが減らない場合があるかもしれません。

 

発達障害の別の特徴とミスの多さが関係していたり、発達障害とは関係ないところに原因があるのかもしれません。

 

ある仕事でミスが多いと指摘され、落ち込んでいた場合でも、職種を変えたことで自分の特徴がプラスに働き元気に働けるようになった方もいます。

 

仕事のミスが多い原因や対策は今回紹介したものだけではありません。

・自分はどんな場面でどんな風にミスをしてしまい、どんな点を指摘されるのか?

・同じような場面で他の人はどんな風に行動しているのか?

ゆっくりと自己分析してみるのも良いと思います。

 

 

さいごに

今回は「仕事でミスが多い」原因と対策について紹介しました。

 

自分の特性を理解し、特性に合わせた対処法を考えていくことで、仕事のしやすさ、生活のしやすさは随分と変わるものです。

 

自分ひとりで考えてみることも大切ですが、第三者の客観的な意見を聞くことや、専門家のアドバイスを聞くことも有効です。

 

Remeには、カウンセラーに相談できるサービスがあります。もしも自分の特徴のことや対策など、気になる方はぜひ相談してください。

 

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石上友梨

臨床心理士

大学・大学院と心理学を学び警視庁に入庁。5万人の職員のメンタルヘルスを管理し、カウンセリングや心理検査、メンタルヘルス講義、拳銃選手のメンタルトレーニングなど幅広く活動。6年目で退職し、フリーランスに。発達障害を支援する活動に力を入れている。‬>>HPはこちら

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年11月8日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。