認知行動療法の効果とは?期間や効果ないケースは?臨床心理士が解説
認知行動療法の効果とは?
認知行動療法の効果研究は外国だけではなく、日本でも行われており、抑うつ症状の改善に有効なことが分かっています。
ストレスに強くなる
考え方の幅を広げ、柔軟な思考を身につけることで、物事を客観的に見られるようになったり、ストレスにより強くなります。
気づく力がつく
考えや気持ちに目を向けていくことで、自分自身について意識し、気づく力が養われます。
自分の状態に気づくことは、無理をしないことや、より自分らしく生きることへと繋がっていきます。
再発防止
自分の自動思考やスキーマに気づき、バランスの良い考え方を身につけることで、次に強いストレスがかかった時に再発しにくくなります。
気持ちのコントロール
不安など感情や気持ちと向き合うこと、コントロールすることが苦手な方に向けた認知行動療法プログラム「統一プロトコル(UP)」もあります。
様々な精神疾患への効果
現在は、睡眠障害や摂食障害、統合失調症など、他の精神疾患に関する効果も実証されています。
また、認知行動療法をベースに、様々な精神疾患に合わせたプログラムが開発されているのも特徴の一つです。
例えば、時間管理など発達障害の方が、苦手なものに対処するためにアレンジされた認知行動療法もあります。
他にも、過敏性腸症候群や自律神経失調症など、幅広い症状に合った認知行動療法のプログラムも開発されていますので、興味がある方は調べてみるのもおすすめです。
効果が出る期間の目安は?
認知行動療法は即効性はなく、短期的には効果が出にくい点があります。
人が考え方を変えるのは時間がかかります。日々練習をして、柔軟でより幅広い考え方を実践していく中で、少しずつ考えのパターンが変化していきます。
どのくらいで効果が出るかは個人差がありますが、平均的には6~16回ほどの回数で、2ヶ月~半年ほどで認知行動療法のカウンセリングが終結すると言われています。
しかし、個人差がかなり大きいので、他の人と比べて焦るのはやめましょう。
自分なりの変化に目を向け、それでも効果がないときはカウンセラーと相談し合い、目標や方向性を修正していくことが大切かなと思います。
認知行動療法の効果がないケース
認知行動療法の効果が出にくいケースをご紹介します。
精神疾患の症状が重い場合
認知行動療法は主体的に取り組むワークが中心となるため、ある程度症状が回復してから開始することをおすすめします。
体調が悪い中では、うまく考えがまとまらず、集中して取り組むことが難しい場合が多いです。
また、自己判断で開始し、症状が悪化してしまう場合もありますので、必ず主治医の先生と相談し、取り組むことをおすすめします。
モチベーションが低い場合
認知行動療法に対するモチベーションが低い場合は効果が出にくいです。
誰かに言われて取り組んだり、嫌々やっている場合などです。
認知行動療法は自分で能動的に取り組む必要があります。
自分の考え方のくせを探したり、
どんな時にどんな考えや気持ちが湧くのか、
どんな行動を取るのか…
具体的に思い出す必要もあります。
宿題が出る場合も多いですし、考え方を広げていくためには、継続的にコツコツと取り組む必要があります。
モチベーションが低い場合は、継続して取り組むことが難しく、効果も出にくいと言えるでしょう。
言葉でやり取りするのが苦手な場合
認知行動療法はカウンセリングでも、自主的にワークブックに取り組む場合でも、言語化が中心となります。
自分の内側にある気持ちや考えを言葉にすることや言葉のやり取りが苦手な場合は、認知行動療法に取り組むことがストレスになる場合もあるかもしれません。
また、重度の認知症や言葉が発達途中の幼少期など、言葉によるコミュニケーションがスムーズにできない場合は、認知行動療法は難しい可能性があります。
さいごに
今回は認知行動療法の効果についてご紹介しました。
現在は様々な精神疾患への効果が認められており、様々な書籍も出版されています。
認知行動療法を受けられる医療機関も増えています。
興味がある方は、自分の体調や主治医と相談しつつ、取り組んでみるのもおすすめです。
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【参考】
・認知行動療法とは(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター)
・認知行動療法への3つの誤解 -エビデンスをあげて反論する- 丹野義彦(東京大学 総合文化研究科)
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2019年1月18日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。