自信をつける上で役立つ3つの心理学的観点とは?臨床心理士が解説

2019.03.04公開 2019.05.16更新

自信をつけるための心理学の3つの視点

自信をつけるためには、挑戦と成功の体験を多く積み上げていくことが大切です。

 

また、自分に関するイメージを向上させることは、自信や自己効力感にプラスの作用を及ぼし、挑戦への勇気をもたらすことにも繋がります。

 

これらのことを踏まえて、自信をつける上で役立ちそうなヒントを集めてみました。

 

【関連記事】

>>自己効力感を高める4つの要素と3つの方法とは?臨床心理士が解説

 

理想自己と現実自己

私たちが持つ自己像(自分に対するイメージ、と考えると分かりやすいかもしれません)には、

「理想自己」

「現実自己」

という二種類があります。

 

理想自己とは、個人が「こうありたい」と強く望む自己像であり、現実自己とは「こうある」と個人が実際に知覚できる自己像のことを指します。

 

「自分に対する理想と現実」といった感じでしょうか。

 

そして、この理想自己が高い水準に設定されていると、自己評価が低くなってしまうことが分かっています。

 

ある程度の料理が作れる人でも、「専門店で出てくるような料理を作れる自分」が理想であれば、その腕前に自信を持つことができない…という具合です。

 

自分に自信がないと感じる時、それは自分に対する理想が高くなりすぎている時かもしれません。

 

自信をつけていくためには、等身大の自分を見つめなおし、現実的な目標を設定することが大切です。

 

先ほどの料理の例で見ると、「レパートリーを増やす」という身近な目標をクリアすることで、料理の腕前に今よりも自信を持つことが出来るかもしれません。

 

親近効果

多くの情報を記憶する過程で、最後に触れた情報ほど覚えておきやすいことを「親近効果」と呼びます。

 

主に対人場面で取り扱われることが多いテーマですが、このことは自己イメージに関しても当てはまるように思います。

 

例えば、何かのプロジェクトを完遂した場面を想像してみます。

 

その反省をする際、「全体としては良い結果だったが、あそこは失敗した」と思うよりも、

「あそこは失敗したけれど、全体としては良い結果だった」

とする方が、ポジティブな印象があるように感じることと思います。

 

自己イメージは記憶(経験)の積み重ねでもありますから、自分について考える時は「良いイメージを持って終わる」ことを意識してみましょう。

 

ツァイガルニック効果

ツァイガルニック効果とは、

「達成できたことよりも達成できなかったことの方が記憶に残りやすい(思い出しやすい)」

という心理学上の現象のことです。

 

このことは、自分から別れを告げた恋人よりも、別れを告げられた相手に未練が残ることに一因している、とも言われています。

 

あなたがもし何かに対して「うまくいかないことの方が多い」「だから自信がない」と感じているのは、このツァイガルニック効果に依る部分もあるのかもしれません。

 

不安を感じながらでもとにかく行動してしまえば、予想とは違う結果が得られることも。

 

挑戦と成功体験の積み重ねは、自信を作る最大の要因です。

 

 

さいごに

「自信を持つための努力」と聞くと、大げさに感じられて何だか身構えてしまいますね。

 

しかしその正体は、

・ちょっとした成果の積み重ね

・とにかく挑戦をする!という思い切り

によるところも大きいものです。

 

自信のなさは、そのことに関する「伸びしろ」がある証でもあります。

 

不安を感じながらでも構いませんから、まずは飛び込んでみることから始めましょう。

 

その過程こそが、未来の糧となるものと信じています。

 

 

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【参考】

「自信感形成要因および自信感の発達的変化」

「理想自己と自己評価及び自己形成意識の関連について」

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鈴木さやか

臨床心理士・公認心理師

心理系大学院修士課程を修了後、臨床心理士資格を取得。福祉分野のケースワーカーとして従事したのち、公的機関でテスター兼カウンセラーとして勤務。子どもの問題(不登校、非行、発達障害等)や労働、夫婦問題をはじめ、勤労者、主婦、学生など幅広い立場への支援を行っている。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年3月4日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。