【引きこもりのご家族向け】8つの対処法と声掛け例を臨床心理士が解説
CRAFTに基づく8つの対処法
このCRAFTの中のコミュニケーション方略が、個人的には秀逸だと思っています。
以下、引きこもりに対するCRAFTから抜粋してまとめているので8つになっていますが、元のCRAFTでは、7つの方法になります。
①会話する時間を短くする
・長い話は、本人を退屈させる。
・また、過去の話しを蒸し返しやすくなる。
・なるだけ30秒以内に会話を終わらせる。
・ポジティブな終わり方をするように心がける。
【例】
×「また、そんな言い方で怒って!あなたは、昔から、こんなことを繰り返してるのよ。いつもそう。そんな言い方をしているうちは、変わらないよ」
◯「怒ったように言われると、悲しくなるから、もう少し優しい言い方をして、ちゃんと聞くから。」
②「して欲しくないこと」ではなく、「して欲しいこと」を伝える
禁止をされると感情的なわだかまりが生じ、どんな行動を取っていいか分からない。なるべく、して欲しいことに言葉を変えて伝える。
【例】
×「インターネットばかりするのはやめなさい」
◯「時々は、外に出て散歩をしてみたら?」
③特定の行動について言及する
態度、考えを取り上げて会話を進めると変化が分かりづらい。なるべく、特定の行動を取り上げて会話を行うと、本人・家族の両者にとって変化が分かりやすい。
【例】
×「家にいるときは、手伝いをしてよ」
◯「家にいるときは、お茶碗をあらってよ」
④自分の気持ちを把握する
自分が怒りを感じた場合、それを遠回しに伝えてしまうと、相手を遠回しに非難しているニュアンスになってしまいます。
自分の気持ちを伝えるか否かは慎重に考える必要があるが、自分の気持ちを把握することは必要になります。
【例】
×「そういうことをやっていると、周りの人にどう思われていると思う? あなたは、どう思うわけ?」
◯「そういうことをやっていると、私は悲しくなるのよ」
⑤本人の気持ちに共感する
共感がないコミュニケーションをとり続けると、相手が頑なになってしまいます。本人なりの辛さに共感することで、頑なな態度に理解を示しましょう。
【例】
×「そういうことばかり言っていても何も始まらないよ」
◯「確かにこの状況だと、もうなにをしても変わらないって絶望的になると思う」
⑥部分的に責任を受けいれる
変化の過程で、本人は家族にも責任があると言う時があります。
その際に、その言い分を認めることで、頑なな姿勢をとき、変化へと繋げましょう。
【例】
×「お前が悪いって、いうけれどさ。そういやって人のせいにしかできないと何も変わらないぞ」
◯「確かに、私の言い方が厳しかったり、お前の気持ちに合わないこともあった。」
⑦悪循環に入っていることを悟らせる(自省を促す)
今の行動を続けていくとどうなるかについて、考えてもらうようにしましょう。
【例】
×「このまま、家にずっと居ても何も変わらないぞ!」
◯「このまま家にずっといたら、傷つかなくてすむかもしれない、でもそれも何十年も続くわけではないからね」
◯「このままずっと家にいたら、10年後、20年後は、どうなっていると思う?」
⑧支援を申し出る
たとえ、援助を拒んでいるように見える人でも、何かのタイミングで助けて欲しいと漏らすことがあります。
また、支援を受けてもいいかなと思う時もあります。
そのチャンスが巡ってきた時に、支援を申しでて、なおかつ相談機関の受診も迅速に行いましょう。最善の策は、その日に受診することです。
【例】
×「まずは、外出することからはじめてみなさい」
◯ 「まずは、どんなことから手伝えそう?」「今から、明日受診できるところがないか探してみるね」
さいごに
引きこもりから抜け出すための特効薬はありませんが、日頃のコミュニケーションといった小さな一歩から変えてみることは、とても大切なことになります。
少しずつでも練習し、ご本人やご家族が自信を深めていくことができれば、ご自身を変える一歩になるのではないでしょうか。
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- 本記事は2016年9月1日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。