中年の危機で離婚する夫婦の特徴と後悔しないための5つのポイントとは?

2019.08.26公開

第二の思春期と呼ばれる “中年の危機” 。

 

「これからの自分の人生に不安を感じる」「自分の人生はこのまま終わっていくのか……なんとかしなくては」という焦りといった感情を特徴に、様々な心理的変化が生じます。

 

最近仕事でやる気が出ない、健康への不安が急に出てきた、見た目の変化がとても気になる……これらは中年の危機のサインである可能性も。

 

また、中年の危機によって離婚リスクが高まるケースも多々存在します。

 

今回は中年の危機と離婚をテーマに、心理学的ポイントから後悔しない選択肢の選び方を解説していきます。

 

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中年の危機で離婚は多い?

心理学の“ライフサイクル理論”から中年の危機を説明することができます。

 

人生には何度か超えないといけない壁が出現し、それを超えることで心理的に成長していくと考えられています。これをライフサイクル理論と呼びます。

 

わかりやすい例として、思春期が挙げられます。

 

「自分とは何者なのか?」、ご自身のアイデンティティを求め、もがき苦しむ世代ですね。

 

学校や親から与えられるルールに反抗し、自分自身が人生で実現したいこと、大切にしたいこと、生きることの価値を見出そうと必死に生きる時期であると言えます。

 

当然、親や友達、学校の先生など身近な人と激しく対立することもあります。

 

ただ、こういった対立の中で、考えたり悩んだり反省することで徐々に “自分らしさ” を確立していくことができるようになります。

 

逆に、こういった対立を避けてしまったり、「あなたは絶対にこうしないといけない! 」と強く抑圧されることで自分探しが阻害されてしまうと自分らしさを確立できず、「自分はどうして生きているのだろうか? 」という悩みをずっとくすぶらせてしまうことも。

 

これを “アイデンティティの拡散状態” と心理学では呼びます。

 

つまり、

“悩む→模索→自分らしさの確立”
“悩む→模索できない→悩みが解消されず自分探しが続く”

という構図があるのですね。

 

さて、思春期の苦しみの真っ只中にいるときは、「今自分はアイデンティティを探していて苦しんでいる!」とは、当然思うことはできません。

 

様々な苦労を乗り越えたあとに、「ああ、あの頃は思春期で大変だったなあ」と感じられるものですよね。

 

では、中年の危機の話に戻りましょう。

 

中年の危機は“第二の思春期”とも呼ばれます。

 

ここまで読まれた方はお気づきのように、40代を超えた頃から“私らしさ”を探す時期が再度訪れます。

 

心理的な変化として、

・仕事でこれ以上の展望が望めず、やる気が出ない
・白髪が増えた、ちょっとしたことで疲れてしまうという体調変化に焦りを感じる
・閉経や更年期症状を感じ、自分の年齢的変化を受け入れられない
・こどもが成長し、妻(夫)とどう過ごせばよいのかわからない

といった悩みがテーマになりやすいようです。

 

これらの根底に通じる感情は、「もうこれで自分は終わってしまうのか……?」という焦燥感。

 

その結果、

・キャバクラで若い女性を口説き、まだ自分はいける!という感覚を得ようとする
・ホストクラブで男性と話し、自分の若さを肯定しようとする
・妻(夫)以外の人と性的関係を持つことで、自分の可能性を見出そうとする

というような行動化が起きやすくなります。

 

さらに特筆すべきは、“青年期からの葛藤を持ち越している人” “気分が落ち込みやすい人” のほうがこの行動化が起きやすい点です。

 

先程お話した “思春期にアイデンティティを見いだせず、「自分の人生とはなにか? 」をくすぶり続けている” ケースや、これまでうつ病になったことがある、人と比べて不安になりやすい方の場合、中年の危機が比較的長く続いたり、行動化が激しくなりやすい可能性があります。

 

中年の危機が長期化・激化した場合、実際に離婚するという選択肢を選ぶことに繋がりやすく、実際に離婚に関する統計を見てみると40代の離婚率は第3位となっています。

 

中年の危機は離婚リスクになり得ると言えるのではないでしょうか。

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広瀬絵美

臨床心理士

心理学の大学を卒業後、広告会社にて勤務。退職後、心理系大学院修士課程を修了し臨床心理士資格を取得。精神科病院にて従業員のメンタルヘルスケア業務に従事する。また、国立研究所にて職場組織や妊婦さんのメンタルヘルスに関する研究にも携わっている。理想的な「ワークライフバランス」を目指し、研究と実践の両面から支援を行っている。一児の母。

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2019年8月26日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。