発達障害の部下への仕事の教え方や指導の5つのポイントとは?臨床心理士が解説

2018.11.09公開 2019.05.16更新

「どう指導したらいいか分からない。」これは発達障害の部下を持つ上司からの相談で多く寄せられるご意見です。

 

発達障害の方への指導法は少し工夫が必要です。

 

上司の方は、他の部下への教え方や指導法では通用せず、どうしたらいいか分からず困ってしまい相談に来るケースが多いです。

 

私が産業領域で心理カウンセラーをしていた時の経験では、発達障害の方が自ら相談に来るよりも、上司の方からの相談を受ける方が圧倒的に多かったです。

 

みなさま苦労していますが、5つのポイントを押さえることで指導が楽になりますので実践してみてください。

 

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発達障害の特性が仕事に与えうる影響

発達障害の方には様々な特性があります。

 

どのような仕事をするかによって、特性と仕事の相性が悪い場合は仕事への影響が大きくなります。

 

例えば、

・聴覚過敏という音に敏感な特性を持つ方が電話応対が多い仕事に就いた場合

・集中力のコントロールが苦手な特性を持つ方が細かい作業やミスが許されない仕事に就いた場合

などは影響がより大きなものになるでしょう。

 

 

発達障害の部下が上司に求めること

人によって困っているところ、つまづいてるところは様々です。

 

まずは部下に直接聞いてみることをおすすめします。

 

上司の想像の範囲外で困っていることが多いので、「そんなことで悩むな」「気にしないで」と流さないことも必要です。

 

困りごとを率直に聞いたうえで、上司が支援できることと出来ないことを検討し、本人に伝えることが大切です

 

 

仕事の教え方・指導の5つのポイント

1.具体的に伝える

曖昧な指示ではなく、何をどうするのか具体的に伝えるようにします。

 

言わなくても分かるだろうという暗黙のルールが通じない可能性もあるので、なるべく簡潔に細かく伝えた方が良いです。

 

2.視覚化

耳で聞いた情報を記憶として保持するのが苦手なので、目に見える形で指示することも有効です。

 

機械の操作方法は口頭で伝えるだけではなく、マニュアルを渡すのが良いでしょう。

 

また、想像するのが苦手なため、何かを教えるときは実際の物を見ながら伝えることをおすすめします。

 

3.メモを取らせる

自分の特性に気づいていない部下は、なかなかメモを取ろうとしない可能性があります。

 

まずはメモを取る癖をつけること、そして上手なメモの取り方を伝えることで、一度伝えた仕事の再現度が大きく変わってきます。

 

メモの取り方が苦手な方も多いので、ふせんを貼ったり多機能ノートを使うなど道具に頼る方法もあります。

 

4.相談して良いことを伝える

発達障害の部下はあきらかに困っているのに、なかなか相談して来ない場合が多いです。

 

相談して良いのか分からなかったり、人に頼るのが苦手な場合があります。

「何か困ったことはないか?」

「相談して良いんだよ」

と声をかけ、部下が相談しやすい環境を作ることも大切です。

 

発達障害の方はストレスが高くなると特性がより強くなる傾向があります。

 

環境を整えることで特性が薄くなる場合もあります。

 

5.叱るときに人格否定しない

これは発達障害の部下に限らないことですが、人格を否定しないように気をつけましょう。

 

怒られ続けて自己肯定感が低下している方は、二次障害として鬱になりやすいです。

 

また、言葉に敏感な特性を持つ部下は、上司のひとことにとらわれ、怒りを強く感じたり、環境を変えない限りいつまでも続くことがあります。

 

 

発達障害の部下と接する上での注意点

想像力の苦手さがあるので、LINEやメールだと文章の意味を誤って受け取る場合が多く、大切なことは対面で伝えた方が良いです。

 

また、発達障害を持つ部下に配慮する場合は、出来る範囲でやることが大切です。

 

限界を超えた配慮は上司の方の負担になるだけでなく、本人にとっても後々良くない方向に進みます。

 

例えば、

上司の方が振り回されて鬱になってしまったり…

最初は過度な配慮をするも、だんだんと限界が来て部下に当たってしまい、部下も傷つき体験になったり…

双方のためにも、可能な範囲の配慮を目指すのがおすすめです。

 

 

さいごに

発達障害の部下を持つと苦労することも多いと思います。

 

発達障害の方は悪気があってミスをしたり、仕事のペースが遅かったり、トラブルを起こす訳ではありません。

 

発達障害の方は能力に凸凹があります。

 

他の方より凹んでいるところがあるということは、突出しているところもあります。

 

部下の得意な部分を見つけて伸ばしてあげるようになれると良いですね。

 

しかし、すぐに見つけるのは難しいです。そんな時は専門家に相談してみるのも良い方法です。

 

Remeには、カウンセラーに相談できるサービスがあります。

 

もしも自分の特徴のことや対策など、気になる方はぜひ相談してください。

 

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石上友梨

臨床心理士

大学・大学院と心理学を学び警視庁に入庁。5万人の職員のメンタルヘルスを管理し、カウンセリングや心理検査、メンタルヘルス講義、拳銃選手のメンタルトレーニングなど幅広く活動。6年目で退職し、フリーランスに。発達障害を支援する活動に力を入れている。‬>>HPはこちら

  • 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
  • 本記事は2018年11月9日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。