【臨床心理士解説】毒親育ちで恋愛苦手、友達ができない背景にある3つの心理とは?
いわゆる「毒親育ち」だった人の中には、恋愛や友達作りに苦手意識が強い方も少なくありません。
1989年にアメリカのスーザン・フォワードの著書『Toxic Parents』(『毒になる親』)で初めて使われた「毒親」という概念。
毒親育ちで恋愛できなかったり、友達ができない背景にはどのような心理があるのでしょうか?
そこで今回は、いわゆる「毒親育ち」がゆえの恋愛や友達作りへの苦手意識の背景にある3つの心理について心理学の視点から臨床心理士がご紹介いたします。
「毒親」は医学的用語ではなく、あくまで一般的な呼称(概念)です。
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①罪悪感、自罰感情が強い
毒親との関係のなかで、以下のようなメッセージを言葉や態度を通して繰り返し感じてきた場合、強すぎる罪悪感や自罰感情を持ってしまうことがあります。
「あなたのせいで家族が上手くいかない」
「あなたにはがっかりさせられてばかり」
「私を幸せにするのはあなたの義務だ(なのにそれができていない)」
「あなたのために私は何もかも我慢しているのよ」
親子関係から、このような物事の捉え方や信念が身に付いてしまう場合です。
・悪い出来事が起こるのは全て自分のせいだ
・私はダメな子、愛されない人なのだ
・私なんかが幸せになったり誰かに大切にされることなど望んではいけない
そうすると友人関係や恋愛関係でも、ネガティブな出来事をいつも自分に関連付けて自分を責めたり、周りから悪く思われていないか非常に気にして疲れてしまったり、そもそも人と関わることに恐怖を覚えて楽しめなくなってしまうことがあります。
「あの人の機嫌が悪いのはきっと私のせいだ」
「皆が楽しくなさそうなのは私がここにいるからだろう(私がここにいない方が良いのでは)」
「私なんかが楽しんでいてはいけない、自分の意見を言うなんてとんでもない」
「私のことを褒めるなんて、何か裏があるに違いない」
このような心の声が絶えない場合は、強すぎる罪悪感や自罰感情があるのかもしれません。
②見捨てられる不安が強い
毒親との関係のなかで以下のような経験を繰り返ししてきた場合、見捨てられ不安が強まることがあります。
時に自分に関心を寄せられ時に冷たく突き放された経験
親の望む通りの自分でなければ愛されないという経験
親が自分のことを代わりに全てやってしまい自分でチャレンジできなかった経験
親の気分によって暴力や暴言を受けた経験
親子関係の中で、このような物事の捉え方や信念が身に付いてしまう場合です。
・役に立たなければ(良い子でいなければ)愛してもらえない
・人は信用できない、いつ裏切られるか分からない
・私は自分一人の力では生きていけない
そうすると友人関係や恋愛関係でも、相手の些細な言動からすぐに嫌われたと感じてしまったり、相手が離れていってしまうのではという不安のあまり相手の気持ちを試すような行動や激しい束縛、自分から関係を断つような言動をしたり、常に周囲に必要とされる存在でいなければと、相手にNOが言えず頑張りすぎてしまうことがあります。
誰しも人に好かれたい、嫌われたくないという気持ちは持っているものですが、
・相手の言動が非常に気になり強い不安や焦りを感じやすい
・相手を繋ぎ止めておきたくて自分を犠牲にすることがある
・本当は大切な相手なのに自分から関係を断つような言動を繰り返してしまう
などの場合は、見捨てられ不安が強いのかもしれません。
③人に対して期待を持つのが難しい
毒親との関係のなかで、以下のような経験を繰り返ししてきた場合、人に対して期待を持つのが難しくなってしまうことがあります。
・無視をされた経験
・世話をほとんどしてもらえなかった経験
・自分の気持ちを受け止めてもらえなかった、話を聞いてもらえなかった経験
親子関係の中で、自分を大切にしてもらう経験や、人と関わることの温かさ、安心感などを経験することができず、このような物事の捉え方や信念が身に付いてしまう場合です。
・誰も自分を助けてはくれない
・この世は危険なところだ、人と関わることはリスクだ
・どうせ上手くいかない、良いことなど起こらない
そうすると友人関係や恋愛関係でも、人と関わること自体を諦めたり、常に人と距離を置いたり、自分の気持ちや意見を表現することが難しかったり(表現する気になれなかったり)、孤独感や悩みを抱えていても人に相談する、助けを求めるという発想が浮かばず一人で抱え込んでしまうことがあります。
人と関わるのが極端に面倒だと感じる(人と関わることを諦めている)
人に自分の気持ちを伝えるのが難しかったり、伝えても意味がないと思感じる
人の気持ちに共感するのが難しい
困った時に誰かに相談してみようと思えない(そういう発想が浮かばない)
などことがある場合、その一因として、人に対して期待を持つのが難しいということがあるのかもしれません。
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【参考・引用文献リスト】
水島広子(2018). 「毒親」の正体―精神科医の診察室から― 新潮社
斎藤学(2015). 「毒親」の子どもたちへ メタモル出版
- 本コンテンツは、特定の治療法や投稿者の見解を推奨したり、完全性、正確性、有効性、合目的性等について保証するものではなく、その内容から発生するあらゆる問題についても責任を負うものではありません。
- 本記事は2021年9月26日に公開されました。現在の状況とは異なる可能性があることをご了承ください。